第十一話
「ごちゃごちゃうるせえんだよォッ!!」
大男が、剣をアディに向けて振り下ろす。
体重差、身長差。色々な要素で負けているアディ。正面から受け止めるのは難しい、と考えた。
サフィラの時と同様に、受け流そうと盾を構える。
「――くっ!」
けれど、さすがに力の差が大きい。受け流すことは出来ても、体勢が僅かに崩れてしまう。
このまま受け流し続けても、いずれ疲労が溜まってミスをする。つまり負けてしまう。
「オラオラァッ!! どうしたァッ!!」
大男は、大ぶりで剣を何度も振るう。それらをアディは弾き続ける。どちらかと言えば、アディ側が劣勢であった。
「お嬢様ぁっ!!」
「アディ!!」
クララとサフィラ。二人の心配する声が響く。
それはしっかりと、アディの耳にも届いていた。
――さすがに、正面から制圧するのは難しそうですわね。
と、アディは考え、作戦を変える。
ここで――新しいシールドバッシュを、実戦で初めて使ってみることにしたのだ。
「ハッ!」
アディは、大男の剣戟を弾き、反動で後ろに飛び退く。一度距離を置く。
「逃げてちゃあ勝てねぇぞォッ!」
大男は言って、アディを追う。実際、大男の言う通り。逃げたところで、状況は変わらない。むしろ――壁際に追い詰められたら。剣戟を受け流す余裕すら失われてしまう。
けれど、アディの目的は逃げることではない。
むしろ、その逆。攻撃の為に距離を取ったのだ。
「――シールドスプリントッ!!」
そして次の瞬間。アディは技の名前を叫ぶと同時に。
なんと盾を後方に向けて振り抜いたのだ!
虚空を空振るシールドバッシュ。けれど、スキルのエネルギーはしっかり集まり、開放される。
花咲くような光が、アディの後方で弾ける。そして――その反動を利用し、アディは飛び上がった!
「なァッ!?」
大男は唖然とする。跳躍し、急激に距離を詰めてきたアディに対して。剣を構えようとするが間に合わない。
そして――これで終わりではない。アディはさらに、追撃の為にスキルを発動させる。
「シールドォ――パンチィッ!!」
飛び上がったことにより、大男の顔面に手が届くから。
アディは、拳を振りかぶった。
そして同時にシールドバッシュを発動させて――振り抜く!
大男の顔面に、拳が直撃すると同時に。盾に集まったエネルギーが開放。
花弁のような光が弾けて。さらに拳を加速させたのだ。
「――グゲェッ!?」
その拳の威力は極めて高い。シールドスプリントで加速し、さらにシールドパンチという加速拳を叩き込んだのだから。
圧倒的な速度を持った拳は。十分に、大男をノックアウト出来るだけの威力を有していた。
大男は――アディの拳のエネルギーを全て叩き込まれた。顔面を変形させながら、勢いよく吹き飛ぶ。
二転、三転と転がって。ようやく止まった頃には、大男の意識など吹き飛んでいた。
「――わたくしの、勝ちですわね」
と、アディは勝利を宣言するのであった。




