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盾持ち令嬢の英雄譚  作者: 雨降波近
第二章 今更戻れと言われても、もう遅いですわ!
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第十一話




「ごちゃごちゃうるせえんだよォッ!!」


 大男が、剣をアディに向けて振り下ろす。

 体重差、身長差。色々な要素で負けているアディ。正面から受け止めるのは難しい、と考えた。

 サフィラの時と同様に、受け流そうと盾を構える。


「――くっ!」


 けれど、さすがに力の差が大きい。受け流すことは出来ても、体勢が僅かに崩れてしまう。

 このまま受け流し続けても、いずれ疲労が溜まってミスをする。つまり負けてしまう。


「オラオラァッ!! どうしたァッ!!」


 大男は、大ぶりで剣を何度も振るう。それらをアディは弾き続ける。どちらかと言えば、アディ側が劣勢であった。


「お嬢様ぁっ!!」

「アディ!!」


 クララとサフィラ。二人の心配する声が響く。

 それはしっかりと、アディの耳にも届いていた。


 ――さすがに、正面から制圧するのは難しそうですわね。

 と、アディは考え、作戦を変える。


 ここで――新しいシールドバッシュを、実戦で初めて使ってみることにしたのだ。


「ハッ!」


 アディは、大男の剣戟を弾き、反動で後ろに飛び退く。一度距離を置く。


「逃げてちゃあ勝てねぇぞォッ!」


 大男は言って、アディを追う。実際、大男の言う通り。逃げたところで、状況は変わらない。むしろ――壁際に追い詰められたら。剣戟を受け流す余裕すら失われてしまう。


 けれど、アディの目的は逃げることではない。

 むしろ、その逆。攻撃の為に距離を取ったのだ。



「――シールドスプリントッ!!」



 そして次の瞬間。アディは技の名前を叫ぶと同時に。

 なんと盾を後方に向けて振り抜いたのだ!


 虚空を空振るシールドバッシュ。けれど、スキルのエネルギーはしっかり集まり、開放される。

 花咲くような光が、アディの後方で弾ける。そして――その反動を利用し、アディは飛び上がった!


「なァッ!?」


 大男は唖然とする。跳躍し、急激に距離を詰めてきたアディに対して。剣を構えようとするが間に合わない。

 そして――これで終わりではない。アディはさらに、追撃の為にスキルを発動させる。



「シールドォ――パンチィッ!!」



 飛び上がったことにより、大男の顔面に手が届くから。

 アディは、拳を振りかぶった。


 そして同時にシールドバッシュを発動させて――振り抜く!

 大男の顔面に、拳が直撃すると同時に。盾に集まったエネルギーが開放。

 花弁のような光が弾けて。さらに拳を加速させたのだ。


「――グゲェッ!?」


 その拳の威力は極めて高い。シールドスプリントで加速し、さらにシールドパンチという加速拳を叩き込んだのだから。

 圧倒的な速度を持った拳は。十分に、大男をノックアウト出来るだけの威力を有していた。


 大男は――アディの拳のエネルギーを全て叩き込まれた。顔面を変形させながら、勢いよく吹き飛ぶ。

 二転、三転と転がって。ようやく止まった頃には、大男の意識など吹き飛んでいた。


「――わたくしの、勝ちですわね」


 と、アディは勝利を宣言するのであった。

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