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盾持ち令嬢の英雄譚  作者: 雨降波近
第二章 今更戻れと言われても、もう遅いですわ!
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第五話




「では、まずはクララから確認なさいな」


 アディは、まずクララに水晶へ触れるよう進める。


「私からですか?」

「ええ。一度、どのようなものか自分の目で見てみたいのですわ」

「そういうことでしたら」


 指示に従い、クララが先に水晶へと触れる。

 すると、水晶が淡い光を発する。そして、水晶を据え置く台座の部分へと、光が吸い込まれる。

 受付の女性は、台座の部分に目を向ける。受付側に、数値を表示する仕組みがあるためだ。


「なるほど、分かりました」


 そして、受付は確認した数値を何かに書き記していく。


「では、次の方、どうぞ」

「わたくしですわね」


 思いの他、あっさり終わった。アディは拍子抜けしながらも、水晶に触れる。

 すると――クララの時よりも遥かに強い光が発生。水晶が見えなくなるほどの光が溢れ、台座へと吸い込まれる。


「こっ、これはっ!?」


 受付の女性は、目を見開いた。信じられない、と言った様子で数値を確認。二度見、三度見してから、ようやくメモを取る。


「い、以上で測定の方は終了です。まもなくギルド登録証が発行されますので、少々お待ち下さい」


 言って、受付は慌てた様子で作業を始めた。


「……何なのかしら? 随分、慌てている様子ですけれど」

「……また、なんですね。お嬢様。またお嬢様がとんでもないことをしでかした、と」

「わたくし、何もしていませんわよ?」

「今更とぼけてももう遅いです。あんな強い光、明らかに普通じゃありませんよ」


 そんなことを言い合いながら。アディとクララはギルド登録証の発行を待つ。


 数分ほど待つと、受付は顔を上げた。


「すみません、お待たせいたしましたっ! こちらが、お二人の冒険者ギルド登録証になります!」


 言って、受付は二人それぞれに登録証を渡す。


「そちらには冒険者ギルドの登録者であることを証明する意味の他、本人のステータスを他人に証明する効果もあります。また、裏面に刻まれた紋章に魔力を注ぐことで、向こう三年間はカードの変更なしで登録証のステータス評価を更新可能になっています」


 受付の説明を聞きながら、アディは登録証の内容に目を向ける。そこには、自身のステータス。そしてこれを冒険者ギルドが評価した数値が刻まれていた。


--------


名前:アディ(女)

年齢:12歳

職業:盾持ち


生命:B

身体:C

耐久:S

魔力:A

抵抗:S


総合攻撃力評価:C

ダメージ増加:C 命中:D


総合防御力評価:B

ダメージ軽減:B 回避:D


--------


 ……なんだか、辛口の評価ですわね。

 と、アディは胸中で不満に思う。けれど、これがギルドの評価だ。文句は言うまい、と思っていた。


 けれど。アディのカードを覗き込んだクララが声を上げた。


「えっ!? どうしてアディお嬢様の評価がこんなに低いのですかっ!?」


 ――その難癖を付けるかのような言葉は。

 受付だけではなく。ギルド内に響き渡って。

 見事に、冒険者たちから不審げな視線を集める結果となった。

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