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盾持ち令嬢の英雄譚  作者: 雨降波近
第一章 わたくし、また何かやっちゃいました?
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第十三話




 キールとアーデルハイトが向かい合う。

 二人を交互に見て、マックスハイムが宣言する。


「この決闘は、私、マックスハイム=レイヴンアローが見届ける。両者、異存は無いね?」

「はい、ありませんわ」

「あるわけ無いだろう」


 ふん、と鼻を鳴らすキール。


「……アディ。事ここに至って、決闘を取り下げろとは言わない」

「はい、お父様」

「けれど貴族が決闘をする、ということの意味。それをよく考えなさい。これも……そうだね、勉強だ。代償の重すぎる、ね」

「……すみません」


 迷惑をかけている、とようやく気付いて。アーデルハイトは目を伏せる。けれど、引く気は無い。

 何がなんでも――キール様を謝罪させてみせますわっ! と、より強く意気込んだ。


「それでは、両者離れて」


 マックスハイムに言われて、キールとアーデルハイトが距離を取る。

 通常、決闘はある程度の距離がある状態から始まる。これもまた、盾持ちのアーデルハイトが上級魔道士のキールに不利な点である。


 二人が十分に離れ、また向かい合う。それを確認すると、マックスハイムが宣言する。


「それでは――始めッ!」


 マックスハイムの掛け声と同時に、アーデルハイトは駆け出す。前方――ではなく、斜め前に。

 直後。アーデルハイトの立っていた場所に、風の刃が突き刺さる。


「――足は動くようだなッ!」


 キールは言うと、続けて連続で風の魔法を放つ。

 無色透明の風の刃。これが連続して、アーデルハイトを狙い撃つ。


 アーデルハイトは走り回り、これを回避し続ける。シールドバッシュで弾く自信はある。けれど一発弾いても、また次がすぐに迫ってくる。

 だから弾くために足を止めては、的になるだけ。それが分かっているから、小技は足で回避する。


 やがて、しびれを切らしたキールが誘いを掛ける。


「これならどうだッ!」


 言うと、キールは同時に風の刃を無数に放つ。逃げる場所の無い、全方位攻撃。


「――シールドバッシュ!」


 アーデルハイトは、これを好機と見た。キールに向かって進みながら、正面の刃だけ弾く。

 強い攻撃を放ったキールは、当然次の攻撃までに時間が掛かる。その隙を狙って攻撃をするつもりだった。


 しかし、これもキールの作戦のうち。


「残念だったなァッ!!」


 なんと、キールはもう片方の手から、渦巻く炎の魔法を放ったのだ!

 実は、先程の全方位攻撃はブラフ。当たっても、引っかき傷にすらならないような弱い攻撃。


 それを見せつけ、まるで攻めに入ったように見せかけたのだ。そうして前進してきたアーデルハイトを、本当に準備していた攻撃で打ち取る。と、いう作戦だった。


「――っ!」


 完璧に、アーデルハイトの意表を突いていた。

 慌てて盾を構え、足を止める。


「シールド、バアァァシュッ!!」


 気合を入れて、力を込めて。魔法を受け止める構えを取った。

 そうして――炎の渦と、小さな盾が激突する。

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