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盾持ち令嬢の英雄譚  作者: 雨降波近
プロローグ
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プロローグ

お久しぶりです。

新連載になります。

主人公の成長物語となりますので、どうぞお楽しみにお読みください。




 昔、昔。今からずっと遠い昔のこと。

 クロキ=フラワーテイルという英雄がいました。


 彼は、剣を扱うことは出来ません。

 魔法も上手くはありませんでした。


 けれど――誰かを守りたい、という気持ちは人一倍強かったのです。

 だから、彼は盾を手に戦うことを決めました。


 幾度となく訪れる困難の中。彼は盾を使い、人々を護り通します。

 守られた人々は、やがて彼を『黒き盾の英雄』と呼ぶようになります。


 そして『黒き盾の英雄』は、七人の戦乙女と共に魔王と戦います。

 激しい戦いの中でも、彼は仲間を護り通しました。


 最後には――魔王が命を燃やして放った魔法すら抑え込みます。

 ついに、誰も傷つくことなく魔王を討伐したのです。


 その後『黒き盾の英雄』は、七人の戦乙女と共に幸せに暮らしました。

 そして生涯、彼が盾以外の武器を手にすることはありませんでした。




「――はい、これでおしまいですよ、お嬢様」


 乳母は、絵本を閉じて少女に微笑む。そして頭を撫でて尋ねる。


「どうですか、面白かったですか?」

「うんっ!」


 少女は、美しい黄金の縦ロールの髪を揺らしながら頷く。


「かっこよかったですわ!」

「そうですか。お嬢様もいつか『黒き盾の英雄』様のように、民を護る良き為政者となるのです」

「わたくしも、えいゆー様になれるの?」


 少女が問いかける。すると、乳母は優しい笑みを浮かべたまま頷く。


「ええ、なれますとも。そのためには、毎日のお勉強を頑張りませんと」

「わかった! わたくし、がんばりますわっ!」

「ええ、その調子ですよ――アーデルハイトお嬢様」


 こうして少女は――本来あり得なかったはずの、英雄伝説と出会うのであった。




 ――この世界は、剣と魔法のファンタジーなよくある異世界。

 よくある物語で、よく舞台になるような。

 ごく普通の異世界。


 ただ、ほんの少し違うところがあるとすれば。

 そこが、とある『悪役令嬢モノ』と呼ばれる作品に酷似した世界であること。


 そして、物語の三百年以上も前に――現代日本の地球から転生者が現れてしまったこと。



 何の因果か。転生者は悪役令嬢の物語とは何の関係も無い時代、何の関係も無い場所で。

 神様から貰ったチート能力を駆使して活躍し、伝説の英雄として語り継がれるようになった。


 そうして時は三百年後。悪役令嬢の物語が始まる十二年前。

 悪役令嬢『アーデルハイト=レイヴンアロー』が出会うはずだった物語。

 それは――英雄とお姫様が結ばれる、ごく普通の物語であった。


 けれど小さな歯車が狂い、彼女が読んだのは。

 かつて転生者が活躍した姿を描いた物語。

 黒き盾の英雄の物語であった。



 小さな小さな、本当に些細な歯車が狂ってしまったせいで。

 後の彼女が。そして世界の命運が大きく変わってしまうとは。


 この時は誰一人として――そう、たとえ神様だって知る由も無かった。

本日からNarrative Worksの初コミカライズ決定記念として、一挙連続投稿が始まります。

当作品に加えて、コミカライズの決まった『クラス転移に巻き込まれたコンビニ店員のおっさん、勇者には必要なかった余り物スキルを駆使して最強となるようです。』等、複数の作品で毎日の連続投稿が9日間続きます。


ページ下部にて、各作品へのリンクも張ってありますので、是非そちらから他作品の方もお読みください。

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