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辛い殺戮。
少年は殺戮を繰り返していた。
それも、呪いを、禍根を断つため。
少年の旅は続く。
誰にも邪魔させない。
安らかな眠りのためには――。
「くそっ、くそっ――!」
僕は、千年ドラゴンの首にナイフを振り落とし続けていた。
生えてくる、生えてくる。幾ら刺しても生えてくる。
緑色の血が飛び散る。ナイフを振り落とすと共に血が飛び散る。
千年ドラゴンは首だけになっても生きていた。
元から自由意志なんてありやしない。ドラゴンは呪いで生きていた。
それもこれも、この首の中心の――。
「さっさとくたばれっ! そのほうが、そのほうが――」
僕の瞳には涙が浮かんできた。
「そのほうが楽なんだ!」
ナイフはとうとう、千年ドラゴンの首元の骨へ到達した。
虹色の光が輝き、消えた。
僕はようよう身を離した。
「終わった……。もう、休んでいいよ……」
僕はよろよろと砂漠を彷徨う。そろそろ呪いの反動が来てもいい頃だ。
身体に激痛が走る。痛い。苦しい。
「……有り難う……」
何処かから、ドラゴン語が聞こえる。
僕は見えぬ虚空に、絶叫していた。