第98話 ホロビノミコ
ホロビノミコを目の前にした私たちは、それぞれの武器を構えて立ち向かう。
ヒメギクちゃんは金砕棒を中心に人間離れのパワーで戦う。
金砕棒は元々は鬼の武器ではなく、戦国時代から装備が硬くなり有効打撃を与えたり騎兵に対して思い切り叩くためのもので剛腕な武士が使うものだった。
それがいつしか鬼の武器となり、ヒメギクちゃんは妖魔大王として人間より力持ちなためその武器を使いこなしていた。
もみじちゃんも独特な日本刀の二刀流で素早い攻撃を繰り返し、るり先輩も扇で踊り子のように変幻自在な攻撃をする。
でも…
「どうして攻撃が通らないのでしょう…!」
「私の攻撃でさえ効かない…?」
「何やら不思議な力を感じるでございますね…。」
「どうなされました?あなた方の攻撃はその程度ですか?ならばこちらから参りましょう。」
「うっ…!」
「この不愉快な音色は…!?」
「あの篠笛…嫌な感じね…!」
「さぁ罪人たちよ、私を護り彼女たちを葬りなさい。」
「うわっ!さっきの七つの大罪の悪魔!」
「こんな事なら…浄化魔術を覚えておけばよかった…!」
「嘆いていても仕方ないだろう!今は奴を倒すのみだ!」
「つばきの言う通りよ!怯まず戦いましょう!」
「あら、可愛いお嬢さんね。お姉さんが可愛がってあげるわ。」
「君たちいい体しているから売りに出してやろうか?」
「おいしそうな肉だ…。ああ…食べてみたいなぁ…。」
「めんどくさいなぁ…さっさと殺していいよね…。」
「妬ましい…俺様より優れているものなどいないのだ!粛清してやろう!」
「私を崇めよ弱者どもよ!それが出来ぬなら地獄に堕ちて苦しむがいい!」
「また会ったな妖魔使い共よ!我はお前たちに復讐を果たしてやろう!」
「えっ…!?アクドーまで…!?」
「これは禁忌転生という呪術で、死んだはずの罪人を強引に現世に蘇らせる輪廻の六道界どころか妖魔界でも禁じられた呪術のはず…!」
「そんな禁じられたものがまさか使えるなんてね…これは予想外だよ…。」
「ここは私たちに任せてヒメギクさんはホロビノミコと戦うのでございます!心配は無用でございます!これでも私たちは七人将さまの試練を突破し、お力をいただいたのでございます!」
「わかった!みんなが勝利する事を祈って戦うよ!」
「まずはこの私が強欲な会長を倒さないと…!」
「私が誰なのかご存じなようだな。そうだ、私が株式会社ゼニカネ商社の会長の金尾暮男だ。いや…今はゼニモーケと名乗っている。君のような若い人材を潰してまで奴隷として働いてもらい、そして社員から金を巻き上げて搾取する。弱者から金を盗み強者が富を得る。それが当たり前だと思わないか?弱者など搾取するためにしか存在価値がない奴隷だ。自分の富と名声のために民衆を騙し、金儲けのためにあらゆる手段を取ってきた。そして世界を貧乏に追い込み私は何故か死刑となった。だが執行される前に神であるホロビノミコさまに命を捧げたのだ。君のような若い逸材は貴重だ、ここで私のために貢いでもらう。」
「そんなことはさせない…!あなたが強欲なせいで何人もお金を取られて自殺したと思う…?あなたのせいで世界中の経済が破綻し…世界が不景気に陥って飢えて亡くなった人もいるんだよ…?それも日本から発祥したなんて…!でも…あなたのその償いきれない罪を許します。だから…ここであなたを倒し、もう一度やり直させます!」
「いい目をしているね。何、心配する事はない。君はいずれ奴隷となって私が富を得て死ぬのだからね。それとも…痛い目を見るかい?私はこう見えて弓道の達人なのでね。」
「あなたに負けるほど…私は弱くないもん!」
「ならばやってみるかい?」
私は金尾暮男ことゼニモーケの強欲さに悪寒がし、絶対に許せないという気持ちでいっぱいになった。
同時に自殺してしまった社員さんや世界中の人々の怨念がまだこの世に留まっていて、世界中でバブル崩壊した中で自分だけ得をしたことが許せないでいた。
私は怒りを押さえて弓を構え、連射が難しい中で一本の矢に集中する。
「君は構えが甘いな、私の方が美しい。さぁこれでもくらいなさい。ふんっ!」
「あなたの欲深さで犠牲になったみんなに…私の想いよ届け!真・花咲ノ矢!」
「何だこの妖魔の力は…待て!命だけでもお助けを…ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
こうして強欲のゼニモーケはお金に執着するように手を伸ばし命乞いをしたものの、私の容赦ない渾身の矢は身体を貫通してそのまま魂ごと消えていった。
~日向ひまわりside~
「何だ…その貧相な姿は…?」
「教科書以上にぶくぶく太ってる…!これが田部空蔵…!」
「ボキは食べるのに忙しいんだ。悪いけど後にしてくれないか?それにボキはタベルガーだ。あー…これいらないから捨ててやろうっと。」
「何それ…!せっかくの食事を腹に入らないから残すどころか地べたに捨てて…!好きな食べ物に感謝の気持ちはないの!?」
「うるさいなぁ…。ボキは今食べれるものは食べるけどそれ以外はゴミなんだよ。そこいらの犬にでも食わせればいいだろ。」
「もう頭に来た…!あんたに食のありがたみをわからせてやる!私の槍でも喰らえ!」
「痛い…痛いってば!もう怒った!お前の肉を食べて残った肉を貧民共に食わせてやる!ウアアアアアアア…!」
「大きな口だな…!でもこの槍ならいける!日向ひまわり特製の最後の晩酌を召し上がれ!真・龍ノ火炎車!」
「でがびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
こうして暴食のタベルガーは私の炎を頬張った後に激しく燃えはじめ、食べ物に感謝しないと罰が当たるというのを教え込み魂ごと消えていった。
~紅葉もみじside~
「ねぇ…めんどくさいから早く消えてよ…。いい加減怠いから…。」
「あなたは…自分だけ怠けて成長する事をお忘れになられたのですか…?」
「何それ…?そんなの頑張るだけ無駄でしょ…?何で叶いもしない夢に向かって燃えないといけないわけ…?」
「努力なしで才能だけでトップになられた田塁早歩郎…いいえ、あなたはナマケローでしたね。あなたが怠けたせいであなたの一族は失脚して滅び…そして貴族でありながら怠けた結果人々は災害に遭っても助けてもらえなかったんですよ!あなたに慈悲というものはないのですか…?」
「ないけど…?だって人助けとかめんどくさいじゃん…。自分さえ助かればいいでしょ…?めんどくさいトラブルはマジ勘弁…。でも…本気で何かしようものなら…楽して容赦なく滅ぼすよ?」
「そうですか…。ならば私はあなたに喝を入れ、怠ける事と休む事の違いを叩きつけましょう!真・秋風木枯斬!」
「うわ…これは負けたな…。もういいや…消えよう…。」
こうして怠惰のナマケローは負けを悟った瞬間に無気力になり生きる事をサボった結果、魂ごと消滅していきました。
残るはすみれ先輩とつばき先輩、わかば先輩、そしてるり先輩のみ…。
先輩方もきっとこの戦に勝てると信じてます。
つづく!




