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第96話 取り戻せ

人間界に戻ってきた私たちは人妖神社本社前に倒れ込み、私たちは覚悟を決めて平安館大学へ向かう。


向かう途中では京都中が荒れ果てた廃墟になっていて、私たちがいない間に一体何があったのかわからなかった。


この光景はザイマ一族との決着前と似ていて、ホロビノミコがもう魔の手を伸ばしていた。


自衛隊の人たちすらいないこの町で、私たちはホロビノミコの城へ向かう。


「この光景は前にもあったよね。」


「あの時は馬に乗って移動したけれど、はなの家からなら平安館はそう遠くはないからね。」


「この京都が何故こんなにも荒れ果てたのか調べられるかい?」


「うん。スマホは繋がるようだ。どれ…これは…!」


「何か情報があったのかしら?」


「これはマズいな…。東京湾にも突然城が現れ、アンゴル・モアと名乗る大魔女がアルコバレーノの武道館でのライブ中に襲撃、同時に平安館大学の敷地内でもホロビノミコによる襲撃で甚大な被害が出る。それだけではない…アメリカやヨーロッパ、中東アジア諸国による連合軍とロシアと中国による革命軍の第4次世界大戦が行われてしまったようだ。日本は謎の城の発生で両軍手が出せないとして国連から中立を申請、連合軍と革命軍は日本に少しでも手を出せば制裁を下すそうだ。」


「ホロビノミコとアンゴル・モアの同時出現で人間たちがこんなに変わり果てるなんて…。」


「幸い日本は悪の組織による災いで秩序が保たれ、国際的にもかなりの信用を得たそうです。このままでは…西暦の時と同じ事を繰り返すのでしょうか…?」


「そんなこと…させないでございます!私たちがホロビノミコを倒し、世界を真の平和に導くのでございます!このまま皆さんと…アイドルをやれずに皆さんの誰かが犠牲になって全員揃わないなんて私は認めたくないでございます!」


「るり…。」


「あの温厚で利口なるりさんが…珍しくワガママを言うなんて…。」


「だよね…やっぱり私たちの世界を好き勝手されたら私だって嫌だよ!学校をみんなで取り返し、もう一度平和な時を過ごそう!」


「うん!私たちはあの七つの大罪を乗り切ったもん!もう誰にも負けない!」


「そうなれば走りましょう!刻一刻と魔の手が伸びてくるわ!」


私たちは平安館大学まで全力で走り、もうホロビノミコには屈しないという気持ちで全力疾走をした。


世界ではまた戦争が行われ、2000年間も築き上げた国際的平和が簡単に壊され、私たちに絶望を押し付けるような感じだった。


平安館大学に着くと、江戸城よりも大きな城で難攻不落の要塞という雰囲気があった。


正門に着くとそこには花柳先生夫妻が私たちを待っていた。


「そなたたち!妖魔界への旅は無事であったか!」


「花柳先生!ご心配おかけしました!」


「よい!それよりも…アクドーの直系の子で某の先祖である花柳陽美子がまさか七人将だったとはな。きっとあの大太刀を託したのは陽美子さまかもしれぬ。」


「旦那さまは家系図を実家から探し、本当の因縁に終止符を打つとあなたたちを信じて参りました。そして妖魔界に旅立ったと妖怪の皆さまから聞き、もし帰還すればここにいずれ来ると予想してずっと待っていました。」


「それでその大太刀だが…アクドーとの戦い以来は行方不明で、おそらくそなたたちに宿る妖魔最大の力である化身に戻ったのであろう。某たちは念のために保護者としてついていく。足手まといかもしれぬが、そなたたちのプロデューサーである以上、責任を持って保護しなければならぬ。」


「花柳先生がいるなら心強いです!是非お願いします!」


「お千代先生もお願いします!」


「わかりました。皆さんの活躍を見守りますね。」


こうして心強い味方である花柳先生夫妻と共にホロビノミコ討伐へ向かう。


城の正門はかなり重く、成人男性でも開けられるかどうかの重さだった。


幸い私たちには戦いで鍛えた体と妖魔の力があったので全員で協力して開けられた。


中は戦国時代に足利家が栄えていた小田原城のように森林が生えていて、豊臣家が栄えていた大坂城のようにたくさんの河川が流れていた。


その森林は枯れ果ててはいるものの黒いカラスによって木の葉を作り、河川の水は真っ赤で血の池みたいだった。


中に入ると灼熱の暑さだったり絶対零度の極寒だったりと寒暖の差が激しかった。


城壁はあまりにも分厚く、石垣は人骨で出来ていて地獄界で最も深いところにいたというのは本当なのかと思うほどだった。


城の入り口に入るととても禍々しい罪魔の力が溢れ出ていて、まるで近づいた人を誘いこんでは無理矢理引き込んでしまいそうだった。


それでも覚悟を固めた私たちはホロビノミコの城へと入る。


「うわぁ…悪趣味な城だ…。」


「油断しないでください…。忍びとしての忠告ですよ…。」


「罪人たちのうめき声が生々しいわね…。」


「そなたたちは某の後ろにいなさい。罠があるかもしれぬから引っかかるなら某からだ。」


「花柳先生…。」


「お千代先生、花柳先生って本当にアクドーの直系なんですか?」


「ひまわりちゃん…それって失礼…」


「ええ、そうですよ。だからこそ責任感が強く、誰よりも人事を尽くしてきたのです。その威厳溢れる姿に私は惚れました。先祖の血がどうであれ、旦那さまは旦那さまなのですよ。」


「大和撫子だ…。」


「私たちが見習うべき撫子はお千代先生かもしれないな。」


「間違いないでございますね。」


「…っ!?先程から多くの罪魔の力を感じますね…。」


「もみじも感じたかい?私もなんだ。」


「すみれもなのね…。」


「うめき声が近づいてくる…!」


「うああああ…うあああああああ…」


「この罪魔の力…そなたたち!この者どもは地獄界から這い上がった罪人たちだ!この者どもの相手は某が務める!そなたたちは先に行け!」


「花柳先生!」


「旦那さま…助太刀いたします!」


「お千代!無理をするでない!」


「お忘れですか旦那さま…。私はこれでも平安館大学の武道科の教授ですよ。ホロビノミコと対等に戦えるのはあの子たち…。私たちが最後までついて行っても…残念ですが足手まといになるでしょう。」


「なるほど…月光花の皆の衆!この罪人どもは某たち花柳家に任せるのだ!」


「でも…」


「行け!某たちの希望を無駄にするでない!ホロビノミコの元へ行き、某たちも追いつくから心配するな!」


「先生を放っておくなんて…」


「行こう…はな…。先生たちなら大丈夫だよ…。ここで立ち止まったら…先生たちの行動が無駄になるし、前に進むどころか学校も世界も取り戻せないし、何より大切なモノを守れないよ…。」


「だけど…私たちの恩人をここで見捨てて死んじゃったら…!前みたいに瀕死になるのとはワケが違うよ!」


「はな…あなたの覚悟はその程度なの…?」


「ヒメギクちゃん…。」


「私はあなたの後ろ向きなところも知っているし、困っている人を放っておけない優しい性格なのもわかってる。でも…ここで後ろばかり向いていたら、一体誰がホロビノミコを倒すの?あなたは自分の甘さに負けて全員無駄死にしてもいいの…?今のはなにはガッカリだよ…。」


「ヒメギク…そこまで言わなくても…」


「ううん…ヒメギクちゃんの言う通り、私はまだ甘かったんだよ…。自分の弱さに言い訳して花柳先生に甘えていたんだ…。やっぱり私って…ダメダメだなぁ…。」


「はなさん…。」


「はな…もう心が折れて…」


「ううん、違うよわかば。はなの目をよく見てみて。アイドルになる前までのはなだったら泣いて立ち止まってたけど…今のはなは人の気持ちを考えられ、やるべき事に集中できる私たちのセンターだから。」


「だからこそ私は…逃げずに前に進む。覚悟が甘かった弱虫な私はもうおしまい。心のどこかで花柳先生を疑ってしまったみたい…。みんな…花柳先生を信じよう。ホロビノミコを倒して、花柳先生にいっぱい恩返しをしよう!」


「そうこなくちゃ!」


「どこまでも先輩について行きます!」


「それでこそ私たちのセンターだよ。」


「待っていなさいホロビノミコ!」


「花柳先生の意志…無駄にはしない!」


「長きに渡ったこの戦いを終わらせるでございます!」


「妖魔大王の名に懸けて…運命を変える!」


「月光花!!」


「いざ参る!!!」


「成長したな…我が子たちよ。」


「ええ…こうなれば私たち保護者も生き残る責任がありますね。」


「その様だな。ならば夫婦共に生き延び、そして罪人どもを討伐して追いつこうぞ!」


「はい!」


つづく!

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