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第94話 ヒミコ・ハナヤギ

~春日はなside~


私はヒメギクちゃんに妖魔界へ案内されるも、みんなとはぐれてしまい一緒にいるのはヒメギクちゃんのみになってしまった。


ヒメギクちゃんは何かおかしいと感じたのかずっと考え込んでいて、私の呼びかけにも気が付かないほどだった。


私は自分の妖魔の力を頼りに人がいそうなところへ移動する。


すると桜が咲き誇っている都に着き、私はあまりの美しさに魅了された。


「綺麗…。」


「うん、相変わらず綺麗だね。はな、ここはヤマトミヤコの町といってね、七人将のヒミコ・ハナヤギさんが住んでいたところなんだよ。」


「ハナヤギ…花柳先生と同じ響きだね。」


「実は…ヒミコさんは最後の七人将でね、一番最近選ばれたんだ。それも…私たちとは因縁があるかもしれない。花柳さんはアクドーの直系の子孫だったでしょ。そのアクドーの一人娘だった人なんだ。」


「そうなんだ…。何か縁を感じるね…。」


「おや、お友達ですか?妖魔大王さま。」


「はい。春日はなっていいます。」


「えっと…はじめまして。」


「君が人妖神社の巫女の子だね。いつも妖魔界をありがとう。この町でゆっくりくつろいでいってね。」


「はい、ありがとうございます。」


「少しお腹がすいちゃったね。あそこでお団子食べようか。」


「うん。」


小腹がすいた私たちは屋台でお団子を食べ、少しだけ休憩して街を散策する。


妖怪たちはありのままの平和な妖魔界を満喫し、とても楽しそうに歌ったり踊ったりしていた。


七人将の手がかりを探す私たちは、ヒミコ・ハナヤギさんを探す。


すると美しい女性が神社でお祈りをしているので私は気になっていつの間にか見入ってしまった。


「はな…?」


「あの人…どうしてかしらないけど懐かしい感じがする…。」


「えっ…?あの雰囲気…もしかして…!」


「パパ…あなたが悪魔になったと聞いて、私は心に深い傷を負ってしまいました…。ですがパパ…あなたの無念を無駄には致しません…。私が妖魔界七人将として…二度とあの悲劇を起こさぬよう…精進致します…。」


「間違いない…ヒミコ・ハナヤギさんだ。でも人違いだったら…ってはな!?」


「えっと…すみません。あなたはもしかして…ヒミコ・ハナヤギさんですか?」


「あの人見知りのはなが自ら声を…!」


「はて?あなたは…いいえ、その妖魔の力を見ればわかります。あなたがパパの無念を晴らし、闇に葬った月光花の春日はなさんですね。」


「えっと…倒したというかその…自分の体と命と魂を生贄として…ホロビノミコを地獄界から召喚して…自ら命を絶ったと言いますか…」


「まさか…あの七つの大罪を生み出したあの地獄界の悪魔が…!ママがいつも言っていました…。パパはいつも幻聴を聴いて狂ったように何かに信仰し、毎日欠かさず人間は滅んだ方がいいと言っていたと…。もしかして幻聴などではなく、本当にホロビノミコがいたのですね…。」


「ホロビノミコを知っていたのですか?」


「はい。先代妖魔大王さまは人類が文明を築いてすぐに戦争を覚え、七つの大罪を人間たちにたぶらかし、世界を破滅寸前にまで追い込んだ堕ちた女神が太古の昔にいたと言っていました。それがホロビノミコという名で、世界中を飛び回り最後に日本にたどり着いたものの、日本の神の子孫によって八咫烏(やたがらす)と共に戦い討伐されたと聞きました。その堕ちた女神がもしかしたら…パパをずっとたぶらかし、ザイマ一族を築いてきたのでしょう。私はママがいつもパパの悪口を言っていたので、ずっとパパの事を気になって調べました。自分の子を産んだ22歳の時にパパの事を妖魔大王さまの弟さん…春日聖次郎さんから聞き、ショックを受けて私は自殺をしてしまいました。魂は自殺したせいで地獄界に本来なら堕ちるはずでしたが、先代の恩恵でアクドーことパパをなだめる役目を与えるとして妖魔界に転生し、最後の七人将として選ばれました。そして長い時を経て私の子は子孫を残し、あなた方を導く役目を果たしました。小次郎は私たちの因縁を解いてくれたのですね。」


「そうでしたか…。じゃああなたはずっとアクドーの無念を晴らすために妖魔界で頑張っていたんですね。」


「はい。私でさえ収束出来なかった事をあなた方は成し遂げた。本当に感謝しています。でも…ホロビノミコが人間界に出たならばあなた方を七人将として鍛え上げなければなりません。七つの大罪のうちのひとつ、強欲の試練をあなたに受けてもらいます。」


「私が…試練を…!」


「はな…七人将は七人将試験で全員七つの大罪を克服したほど強い妖魔の力を持っているから、彼らを越えればホロビノミコは倒せるはず。はなに宿る魂にすべてがかかっているよ。」


「うん…それほど窮地(きゅうち)に立たされているってことだね…。わかりました、やります!」


「わかりました。ではあなたには…無限の財産を与えます。そしてそれを使いきってください。」


「それだけですか…?」


「それだけです。ではいいですね…?」


「えっと…はい。でも…」


「でも何でしょうか?」


「無限の財産を得る事は確かに物理的幸福は得られますし、人間は欲が強い生き物ですからお金に釣られて信仰は得られるでしょう。でも…本当の幸福は財産だけでなく、人と接することと自分らしくいること、楽しい好きなモノがあること、自分を高められること、何でも大切にすること、他人を愛して自分をも愛すること、心が澄んでいてなお強いこと、そして何よりも…生きていることに感謝出来ることが一番の財産だと思います。」


「ええ…。」


「時には罪を犯した人には許せない感情があり、それが後に新たな罪を生み出すことになると思います。だから私はこう思います…。罪を憎んで人を憎まず…こうなったのは何か原因があるから、その原因を断ち切れば罪を背負うことはなくなると思うんです。もっと早く向き合っていれば…アクドーみたいな悪魔が生まれる事はなかったのかもしれません。だから私は彼がしたことはもう許します。でも…今までの悪事で他人を不幸にした出来事は忘れません。その悪事があったからこそ、もう二度とあんな悲劇を生まないようにしようと思っています。」


「はな…。私はパパを殺されて二度と許さないと思っていたけど…私より心があんなに強かったんだね…。」


「罪を憎んで人を憎まず…ですね。それはその人を甘やかすのではなく、過去は消せない上でその人がやったことをなかったことにしないために忘れない代わりに、恨みや憎しみを捨ててもう二度とそうならないように自ら断ち切るということですね…。私にさえ出来なかった忘れないけど許す勇気をあなたは教えてくれました。今のあなたなら私の究極奥義が使えるはずです。それは…花咲ノ(はなさかのや)です。その技は矢に罪を絶ち切る妖魔の力が宿っていて、命中した者は慈悲を受けて心を入れ替える究極奥義です。今のあなたなら使えるはずですよ。さぁ…私と妖魔大王さまに矢を向けなさい。」


「でもヒメギクちゃんは…」


「心配しないで。私もアクドーに対して絶対に許さないと思うほど憎んでいたことは事実だから。はなの矢で憎しみという罪を償えるなら撃たれても構わないよ。はな、遠慮せずに全力で私に矢を当てて。」


「わかった。痛かったらごめんね。それじゃあいきます…真・花咲ノ矢!」


「えっ…?」


ヒミコさんに教わったとおりに究極奥義を放つと、今までにない妖魔の力が溢れだしてヒメギクちゃんやヒミコさんだけでなく、町全体に矢が当たってしまい満開の花を咲かせてしまった。


二人だけでなく町の妖怪たちも今まで溜まっていた悪い感情が消え去り、あまりの威力に私まで罪が償われた気分だった。


ヒミコさんは私に歩み寄って頭を撫で、私を励ますようにこう言った。


「お見事でした、私よりも遥かに上を往く究極奥義の使いこなしは脱帽です。おそらく仲間の皆さんはそれぞれの七人将によって鍛えられ、そして試練を突破しているでしょう。今のあなた方ならきっと、スメラギ・ヤマトさまにお力を与えられるでしょう。あのヒノモト山にある社へ向かい、スメラギ・ヤタノさまを訪ねなさい。きっとあなた方の仲間もそこに導かれるように向かっているはずです。私はもっと慈悲と寛容さを高める必要があります。どうかご武運を。」


「ありがとうございます。じゃあヒメギクちゃん、行こうか。」


「う、うん…。(はな…私の知らないところで成長したね…。妖魔大王としてもっとみんなを導かないと…。)」


こうしてヒノモト山に向かうべく、ヒメギクちゃんと一緒にスメラギ・ヤタノさんに会いに行く。


きっとみんなもそこに向かっていると信じ、私たちは前に進んだ。


七つの大罪は人間の誰もが持っているもの、それを開き直って悪い欲望で好き放題やって穢れるのではなく、受け入れていい欲望で前へ進んで清めていければ、七つの大罪も逆にいい事になるかもしれないね。


つづく!

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