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第87話 妖魔界へ

平安館がホロビノミコの奇襲で破壊され、ゲームに出てくる日本風の魔王城と化してしまった。


その城は日本のどの城よりも大きく、そして高くそびえていた。


幸い学園のみんは全員無事で、私たち8人が最後になった。


乗り込もうとすると、みんなは私たちの事が心配で引き留めようとしている。


私たちは何も出来ないまま学校から撤退し、人妖神社の本社で作戦会議を行った。


「むぅ…まさかザイマ一族の黒幕が、今になって現れるとはのぅ…。」


「このままだと春日家に伝わる結界では防ぎきれないかもしれないわ。」


「念のためにみんなも注意しなさい。ヒメギクさんも妖魔大王になられたとはいえ、相手から強大すぎる罪魔の力を感じる。無茶はしないでね。」


「お気遣いありがとうございます。」


「それじゃあお父さんたちは念のために結界を張るね。」


「うん。お父さんたちも無理しないでね。」


「さてと…月光花のリーダーとしては敵陣に乗り込みたいけれど、このまま行ったら間違いなく一緒に乗り込みそうね。」


「確かにみんなの必死に止める姿を思い出すとそうしかねないね。」


「やっぱり私たちには荷が重いのでしょうか…。」


「悔しいでございます…。何も出来ずに撤退だなんて…。」


「でも無闇に突っ込んだら間違いなく私たちがやられると思う。ホロビノミコのあの罪魔の力…とんでもない大きさだった。」


「うん…。あのまま行ったら私たちはすぐに負けると思う。ひまわりちゃんの勘はよく当たるから。」


「だがこのまま引き下がってもまた脅威に震えたまま人間たちは自暴自棄になるぞ。現にテレビを見ろ…。」


「臨時ニュースです。ただいま国際連合が崩壊し、世界の秩序が乱れて領土や資源をめぐって大国のアメリカ、ロシア、中国、インド、イギリスによる覇権争いで世界大戦が行われました。日本は大きな結界が張られて幸い戦争には参加せずに済みましたが、京都に黒くて大きな城が…」


「そんな…。」


「私たちの思い、世界中の人々に届かずか…。」


「酷いよ…こんなのあんまりだよ…。」


「待って。希望を捨てるのはまだ早いの。妖魔界には妖魔大王を長年支えてきた妖魔界七人将がいるの。でも七人将はパパの暗殺以降は姿を消してしまって、どこにいるかはわからないけど、見つけさえすればホロビノミコに対抗できるかもしれない。」


「それって本当でございますか…?」


「わからない…。私もパパに聞いた程度でしかないし、何より七人将さんには会った事がないんだ…。」


「それでも…それに賭けるしかないと思う。私たちはアイドルでも、戦でも悔しい思いを何度もして、そしてそれらを乗り越えてザイマ一族を追い込むことが出来た。それって普通なら怖くて絶対に出来ない事だと思う。私たちが私たち自身を信じ、可能性を捨てちゃったら…みんなが私たちを止めた時と同じように、それこそ大切な人が失われてしまう。それが一番怖いんだ…。だから私は、ヒメギクちゃんの言ったことを信じる。」


「はな…。」


「決めた!私もはなについて行く!せっかくラスボスまで登場したんだもん!ここで退き下がったら女が廃るよ!」


「ならば紅葉流の師範代候補としても逃げ出すわけにはいきません。生半可な気持ちではやられるのは確実ですので、ヒメギクさんの証言を信じて進みます!」


「私もファンクラブだけでなく、私を姐さんと慕ってくれる彼らや、同じサッカーチームを応援するみんなを守りたいよ。君は嘘をつく子じゃないって事は、承知しているからね。」


「うむ。ヒメギクのおかげで私たちはザイマ一族に勝利したのだ。一筋縄ではいかぬが、諦めてすべてを捨てるよりはわずかな希望を持って前進せねば!」


「さぁ行きましょう!みんなに見つかる前に行動し、妖魔界に向かって七将さんに会いに行きましょう!」


「そして七将さんのお力を借りられれば、ホロビノミコを倒せるかもしれないでございます!ヒメギクさん、参りましょう!」


「みんな…ありがとう。何だかパパの言ってたことが本当だと思えてきたよ。それじゃあ妖魔界へ案内するね。場所は人妖神社の本社の井戸だと言われているけど、実は違うの。」


「えっ…?」


「私でさえ知らなかった…。」


「その場所は…人妖神社の後ろにある森の奥にある、隠れ(やしろ)にあるの。妖怪に慣れてない人間に見つかったら大騒ぎになっちゃうからね。」


「そう言われてみればそうね。」


「私が妖魔界転送の呪文をつぶやくから、みんなは後ろで待っててね。」


「うん。」


こうして私たちはお父さんたちに声をかけて、神社の奥にある森の中へ入る。


森の中は妙に薄暗く、迷子になったら二度と帰れないほど複雑で、いかにも魔物が現れそうな雰囲気だった。


それでもどこか神聖で何かに守られているようにも感じた。


歩くこと約30分が経つと、ボロボロになっている小さな木造の(ほこら)があった。


そこからは怪しく回っている小さな渦状の何かが回っていた。


「これが妖魔界への出入り口だよ。ここで妖怪たちは人間界に行き来して、そして人間の姿へと変えて過ごしたり旅行したりするの。私は元・人間であるパパの血を引いているから普段から人間と同じ姿だけど、本当の姿は耳が少しだけ尖ってるんだ。本当の姿を見ても怖がらないでね。」


「大丈夫だよ。もう獄魔で慣れてるし。」


「はい。心配は無用ですよ。」


「ありがとう。それじゃあ呪文を唱えるね…ヨーベヨーベヤイセカーイヤ…ヨウマヒューマノトビラーダ…ヒラケ・ゴマ!」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


私たちはヒメギクちゃんの呪文が唱えられた後に渦に吸い込まれ、それぞれ一人ずつ散り散りになっていった。


ヒメギクちゃんは慣れているからか余裕を持って着地し、私はみんなとはぐれてしまった。


そして私たちは七人将さんを探す旅に出る。


つづく!

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