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第84話 就任式

臨時ニュースが流れきた。


それは白銀雪子さんが亡くなってしまったという悪いニュースだった。


アルコバレーノの後継者として期待されていた分、世界中で悲しい空気に見舞われた。


それでも私たちアイドルは仕事をしなければならない。


私たちは10月に行われる大阪ドームでの単独ライブに向けて稽古に励み、芸能界のお仕事をこなしていった。


「何か、白銀さんが亡くなってからアルコバレーノの勢いが落ちてきちゃったね。」


「元々あの子は心臓病を患っていたらしいね。それが芸能界に出て無理が祟ってしまったのかもしれないよ。」


「残念でございますね…。彼女たちの心に傷がなければよいのでございますが…。」


「もし亡くなったことで勢いが落ちるのならば…私のライバルはその程度のレベルだったということです…。白銀さんが亡くなったのは私だって辛いです。でも…前に進まなければ、ファンの皆さんに失礼ですから。」


「もみじちゃん…。」


「確かにもみじの言うとおりね。直接関係のない私たちだってショックだけど、関係が深い彼女たちが立ち直れないようでは、この厳しい世界は生き残れないわ。」


「残酷だが…それが芸能界の真実なのだ。私たちもいつトラブルに巻き込まれてもおかしくないのだからな。」


「そうだね…。それにアイドルサマーライブではファンのみんながパニックになっちゃったしね…。」


「はなは人に気を遣える分、人の不幸を悲しむことが出来るんだ。」


「それでこそはな先輩について行こうと思う私たちがいるんです。白銀さんの分も……この大阪ドームでのライブを成功させましょう。」


「みんな…。そうだね。ここで立ち止まったら成功するはずのライブも失敗するもんね。私たちなりに精一杯頑張ろう。」


「うん!」


「皆の衆、ウォーミングアップはもう済ませたのだな。」


「はい!」


「よい。大阪ドームでのライブはもうすぐだ。だがアイドルサマーライブでのショックは某も大きい。せっかくの期待の星が儚く消えてしまったのだ。そこで我々は一度追い込むことをやめ、休息をしようと思う。今宵はいい月が見れるそうだ。たまには羽を伸ばすのもよいだろう。」


「はい!」


「それと…焔間さんも連れていくといい。彼女は京都市街地での獄魔大量発生の際に某の呪いの刀を使い、ザイマ一族との勝利に貢献した。彼女も人妖神社の手伝いや妖魔界の指揮で大変だろう。それに…今宵に新たな妖魔大王の就任式が決まった。その式にも参加してみるといい。」


「はい!」


こうして大阪ドームでのライブを控えつつもアイドルサマーライブでのショックを癒すためにリフレッシュするように言われ、私たちは一度稽古に励むのをやめる。


妖魔大王さまはもうこの世にも妖魔界にもいなく、魂は私たちと同化する事で消滅し、もう輪廻を回って転生する事はない。


そのために新たな妖魔大王の就任式が行われる。


一体誰が新たな妖魔大王になるのかは人間は知らされていないし、妖怪たちもその事を人間に知らせてはいけない掟になっている。


夕方になった私たちは浴衣に着替え、月見団子を用意して復興した人妖神社の一部の縁側で月見をする。


「本殿はまだだけど、大分復興は進んでるよ。」


「ヒメギクちゃんも今までお手伝いありがとう。おかげで私たちはザイマ一族に勝てたんだよ。」


「こちらこそパパの無念を晴らせてくれてありがとう。でも戦いはまだこれからだよ。その時はまた一緒に戦おう。」


「うん!」


「みんな、見るといい。これが人間界の満月だ。」


「今日はスーパームーンだから、より大きな満月よ。ささ、お団子も食べましょう。」


「うん!美味しい!」


「ひまわりちゃん…またフライングして食べるんだから…。」


「ひまわりは相変わらず行動派だね。戦いの時の名将っぷりが信じられないよ。」


「ん?何?」


「何でもないさ。それよりも月が綺麗だね。」


「ウサギさんがお餅を突いているでございますね。やはり美しいでございます。」


「かぐや姫はあの月で今頃何をしているのかしらね。」


「きっと幸せに過ごしているだろう。私たちとは寿命が違うから今も生きているかもしれないな。」


「かもね。」


「そう言えば今日は妖魔大王の就任式だよね?ちょっと行ってみようか。」


「ううん、その必要はないよ。」


「え?」


「だってここが妖魔大王就任式の会場だから。」


「ヒメギク、知ってたんだ。」


「ということはまさか…!」


「ふふっ、それは本番のお楽しみにね。」


ヒメギクちゃんは私たちに何か隠し事をしていて、全部知っているといういたずらな表情で笑顔を浮かべた。


その笑顔はどこか怪しげでもみじちゃんと同級生のはずなのに大人びていて、人間よりもはるかに長く生きていたことがすぐにわかった。


そして就任式が始まり、人間は本来その式に参加出来ないけれど、私たち月光花と花柳先生夫妻、そして人妖神社の一員のみ特例で許されて式に参加する。


「えー…これより、新・妖魔大王就任式を始めます。一同…礼。ではまず我々妖魔界から月光花の諸君に感謝の言葉を伝える。天風ハヤテくん。」


「はい。みんなも知っての通り、私たち妖怪は本来は人間を化かし、そして長きに渡りいたずらをしてきました。中には人間と共存した妖怪もいるでしょう。そして西暦の終わりに人間と妖怪は、一度は険悪な関係で殺し合うほどの状態でした。前・妖魔大王さまはそれを治め妖魔界を創り、人間との交流を深め、そして固い絆で結ばれました。それが脅かされようともザイマ一族の洗脳に負けず、月光花という希望の光によって勝利し、妖魔界の平和をもたらしました。本当にありがとうございました。」


「続いて、新・妖魔大王からの就任の言葉です。焔間ヒメギクさま、お願いします。」


「えっ…!?」


「マジで…!?」


「これは…!」


「なるほどね…!」


「やはりそうか…!」


「適任かもしれないわね…!」


「ご立派でございます…!」


「皆さん、改めて新たに妖魔大王を襲名します焔間ヒメギクです。父である旧名、春日聖一郎は妖魔界を創っては治め、そして長い平和な世界を築きました。そんな偉大な父は私たちと同化する事で魂が消滅し、もう輪廻の世界を通じて転生する事はありません。未来のために自分を犠牲にし、私たちに未来を託した父と比べれば、私は未熟で不満があるかもしれませんが…私もまた父の遺志を受け継ぐ身として、妖魔界と人間界の絆を確固たるものにしてみせます。」


ヒメギクちゃんのスピーチは心に重く響き、私たちも全力でサポートしようと誓い合った。


最後には人妖神社の協力で花火が打ち上げられ、京都の平和と未来の繁栄、そして妖魔界での新たな妖魔大王の就任を祝い、大人のみんなはお酒を飲んで楽しんだ。


私たちは臨時で京都奪還記念ライブをし、ヒメギクちゃんを特別ゲストに呼んでセンター兼メインボーカルになってもらい、妖魔大王就任をお祝いした。


そして10月中旬を迎え…大阪ドームでの1stライブが行われた。


つづく!

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