第83話 アイドルサマーフェス
平安館学院野球部は甲子園では2回戦敗退になり、私たちのチアは叶わなかったけれど私たちにはまだアイドルサマーライブがある。
8月も終わりに近づき、私たち月光花やUMD48さんの他にもアフタースクールズさん、アルコバレーノ、SBY48さんなど人気グループや多くのソロアイドルも出演する。
とくに白銀雪子さんはアルコバレーノのみんながイチオシで期待の新人アイドルとして紹介されていた。
そしてライブ当日、前田あかりさんと桃井さくらちゃんがなにか譲り合っていた。
「ここはやっぱり、SBY48の永遠のセンターであるあかりちゃんがいいって思うよ。」
「私はさくらちゃんがいいかなって思うよ。あの厳しい戦いを乗り越えたんだから。」
「やっぱり譲り合うんだね。」
「気持ちはわからなくもないがな。」
「このままでは二人の譲り合いが終わらないぞ。」
「あかりちゃんも遠慮しやすいですから…。」
「一生終わんねぇからいっそのことじゃんけんにしたら?負けた人が合図を仕切るってのがいいな。」
「そうするね。いくよ、じゃんけん…」
「ポン!」
「私負けちゃった。」
「それじゃあ合図をお願いします、あかりちゃん。」
「わかった。それじゃあ…私がアイドルー!って叫んだら、みんなはサマーラーイブ!って叫んでね。円陣組んで右手をVサインにして円を作り、そのまま頭の上まで手をVサインのまま上げてね。いくよ!アイドルー…」
「サマーラーイブ!」
SBY48のセンターに選ばれた前田あかりさんが掛け声を出し、先頭を仕切る双子のメイド喫茶アイドル今川メイドリーミングさんが会場を盛り上げた。
綺麗なハモリだけでなく自家製のお菓子をファンのみんなにプレゼントをしたりした。
次に藤沢拓海さんで、バイクの大道具に乗りながら大旗を振って暴走族の特攻隊長を演じた。
特定のファンに人気で、オフィシャルグッズの特攻服が売り切れが続出しているらしい。
「姉御ー!」という不良の女の子のコールが聴こえた際は照れくさそうに手を振るなど、少しだけギャップを感じた。
続いてどんなアイドルが束になっても勝てないと言われてる天才、茶山くるみさんの出番が来た。
「うわ…これが天才のライブ…!」
「アルコバレーノさんはこんな先輩とご一緒だったのでございますね…。」
「すごい…!」
「そうですよね。確かに彼女は凄いですね。」
「あなたは…!」
「突然声をかけてすみません。私はUMD48のセンターを務めてます白石美穂です。そしてこちらの二人は私の同期で幼なじみの…」
「指原文乃です。」
「小泉るいかです。」
「西日本の王者と言われている皆さんにお声かけられて光栄です。」
「いえいえ、あなた方の京都でのご活躍をずっと見ていました。そしてザイマ一族との決戦も我々も応援に来ました。あの時の勇姿は今でも忘れません。」
「見てたんだ…。」
「なんだか私たちも有名人になってきたね。」
「人妖神社の巫女さんでセンターを任されている春日はなさん。普段はトラブルメーカーでも囲碁と将棋の名将の日向ひまわりさん。中性的な見た目で同性に人気のある時代劇俳優の子の藤野すみれさん。高校なぎなた全国大会でいきなりベスト8に進出した冬野つばきさん。西日本の伝統忍術の本家で師範代の紅葉もみじさん。学業優秀で盆栽のコンクールにも出場したリーダーの常盤わかばさん。そして紺野流日本舞踊の家元の子で生徒会長の紺野るりさんですね。」
「皆さん個性的かつ日本の文化の継承者でアイドルをなさってたと考えると、ザイマ一族との決戦で勝てたのは当然の事かもしれないですね。」
「妖魔の力については同じ京都出身の文乃から聞きました。皆さんはその中でもとてもお強いのですね。」
「私たちはただ京都の平和のために戦っただけで大したことはしていないです。でも…皆さんの応援のおかげで勝てました。応援ありがとうございます。」
「こちらこそ京都が破られたら大阪もどうなっていたことでしょう。では皆さん、茶山くるみさんが終わったら私たちの番です。どうか見ていてください。」
「私たちも…海外の推薦に恥じないパフォーマンスをします。見ていてください。」
UMD48さんのセンタートリオの3人に声をかけられ、私たちもすっかり有名人になったと実感した。
茶山くるみさんの番が終わると、UMD48さんの大坂ならではの面白さとアイドルらしい可愛らしさを兼ね備えたパフォーマンスをし、会場をまた盛り上げた。
シークレットゲストに栗山真希さんと沙希さん、さらにはチェリーブロッサムの二人まで出演し、私たちにとってもレジェンドたちがゲスト出演して驚いた。
桃井さくらちゃんだけは知っていたみたいで、いいサプライズになっていた。
そしてついに私たちの番が回った。
「ついにこの時が来たわね。私たち月光花はザイマ一族との決戦後も驕らずに成長していくわよ。」
「もちろんだ!」
「私たちらしくいこう。」
「今日の掛け声はたまには他の人が言うのもありじゃないか?」
「じゃあ言い出しっぺのつばきで!」
「いきなりすぎない…?」
「私は構わないぞ。」
「えっ…いいの?」
「つばきは私と違って柔軟なのよ。」
「では…日ノ本に咲く黒き花!」
「「夜空を灯す淡い月!」」
「月光花!」
「「いざ参る!」」
私たちはいつもの和のテイストではなく、今度はセーラー服で大正浪漫や昭和モダンな曲になり、和洋折衷をアピールした。
いつも和ばかりだと飽きられてしまう事を危惧した花柳先生はいつもとは違う月光花を見てほしいと新曲を作成していた。
最後は夏らしくオリジナルの盆踊りの曲を歌い、和太鼓を叩きながらみんなで手を叩いたりよいよいと掛け声を出したりして盛り上げた。
ついにアルコバレーノの番になり、最高のライバルのパフォーマンスが見れる。
「みんな、殺陣は練習したかしら?」
「まぁ、アタシたちがモノクロ団と戦った時の動きだぜ。」
「確かにそうですね。でも…それを攻撃ではなく演舞で見せるのははじめてですね♪」
「ファンのみんなをいっぱい笑顔にしようね!」
「それじゃあいくよ!希望を導く7つの光!輝け!」
「アルコバレーノ!」
「殺陣…?」
「何だろう…?」
殺陣というワードが聞こえ、一体何なんだろうと思っていたら、アルコバレーノはそれぞれの武器の小道具を持って動き、会場を一気にヒートアップさせていた。
その次の白銀雪子さんはアイドルと声楽家の二刀流アイドルとしてまるでオペラを観ているかのような感じで、アイドルとしての格の違いを見せられた。
そんな白銀さんを見てもみじちゃんとつばき先輩、わかば先輩は何か深刻な顔をしていた。
最後に世界一のアイドルグループSBY48さんが大取りを締め、アンコールのテーマソングを歌う…はずだった。
テーマソングを歌い終え、一人ずつファンのみんなに感謝を込めて一言マイクに込める。
そんな時だった…
「次は白銀さんです。…白銀さん…?」
「はぁ…はぁ…!」
「白銀さん…!まさか…!」
「雪子ちゃん!」
「しっかりしろ!誰か救急車を呼ぶんだ!」
突然新人アイドルの白銀雪子さんが胸を押さえて苦しそうに倒れ、だんだん意識が遠のいていくのがわかった。
わかば先輩は冷静に救急車を呼び、つばき先輩は落ち着いた態度でファンのみんなに説明と謝罪をした。
アルコバレーノのみんなは普段冷静なみどりちゃんと海美ちゃんもショックを隠し切れず、ただただ白銀さんの容体を確認するだけだった。
救急車が到着し、そのまま搬送されていった。
こうしてアイドルサマーライブはアクシデントに見舞われながらも終了を告げた。
つづく!




