第79話 入学式
京都に平和が訪れ、私たちも進学をして高等部へ入学する。
桜色と小豆色の袴制服から薄い京紫と紫紺の袴制服へと変わり、少しだけ京都の雰囲気になってきた。
新しい制服を着た私は…いつも通り寝坊したひまわりちゃんを迎えに行く。
「ひまわりちゃーん!」
「ちょっと待ってて!今着替えているから!」
「高校生になってもまだ直らないんだ…。」
「ごめんってー!」
「ごめんなさいねはなちゃん。うちの娘は一度寝たらなかなか起きなくて…。」
「いいえ、アイドルの合宿でもう慣れましたから。」
「お待たせー!」
「もう、また遅刻するよ?」
「はなはすっかりプロ根性が身についてるね。」
「人の事はいいから早く行きなさい!はなちゃんを待たせておいて!」
「ひっ!お母さん厳しいよー!じゃあ行ってきまーす!」
いつもの様にひまわりちゃんは寝坊をしては慌てて朝食を食べ、そして袴衣装なので着替えに手間取っていつも通りギリギリ間に合う。
前は置いていったけど、アイドル仲間になってからは置いていくと何かスキャンダルが起こりそうで出来なくなり、私もいつしか遅れそうになっていた。
クラス発表ではひまわりちゃんと同じクラスになり、高等部教員の雪代先生が担任になった。
黒髪だったから妖怪だと気が付かなかったけど、雪代先生の正体は銀髪の雪女なんだ。
教室に着くと前は隣のクラスだったすみれちゃんも同じクラスで隣の席にいた。
「ごきげんよう、二人とも。相変わらず振り回されて大変そうだね。」
「ごきげんよう、すみれちゃん。」
「ごきげんよう。ファンクラブの子たちは?」
「あの子たちは全員後輩で、中等部に残っているよ。今度はもみじがターゲットになっていて、私といつも一緒にいるからどんな生活なのかなどの質問攻めにあってるみたいだよ。」
「プロのアイドルやるとそういうのあるもんね。」
「はなはマスコミへの対応大変だったかい?」
「でもおかげで知名度が上がって、お参りに来れば魂も浄化されると御利益があると話題になってるんだ。」
「私も囲碁部や将棋部の先輩方からいきなり全国大会候補が高等部に来たって大喜びされたよ。」
「ふふっ。みんなもそれぞれ大変なんだね。つばきもなぎなたで2年連続全国出場を目指し、わかばもまた学力が上がり、るりも高校生日本舞踊コンクールのリベンジも果たすと張り切っていたよ。」
「もみじちゃんも忍術部でありながら剣道部の助っ人も頼まれて、平安館幼稚園でニンニンニンジャ体操を布教しているみたい。」
「私たちって…すっかりスターだね!」
「かもしれないね。」
「はーい皆さん、ごきげんよう。」
「ごきげんよう。」
「今日からあなたたちの担任になります雪代麗香です。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「それと…春日さんと日向さん、そして藤野さん…よくご無事で戻ってきましたね。入学式の後にその三人は武道館に残るようにね。」
「は、はい。」
こうして白い着物姿が似合う雪代先生が担任になり、男子部の平安館学院と同時進行で入学式を行う。
男子部は中等部の団十郎茶の馬乗り袴から高等部の薄墨色に変わり、上の着物は中等部の抹茶色から高等部の京紫に変わる。
婚約者の稲田くんも高校で野球部に所属し、甲子園連続出場を目指してレギュラー獲得に挑む。
そして入学式を終えた私たちは先生の言われた通りに残り、控えていた先輩たちが拍手でお出迎えしてくれて、高等部の教頭先生が私たちだけでなく中等部からもみじちゃん、在校生からわかば先輩とつばき先輩、そして先ほど生徒会長挨拶をしたるり先輩が呼ばれた。
平安館理事長が笑顔で迎え、私たちの名前とグループ名を誇らしく読み上げる。
「感謝状、月光花の春日はな殿…日向ひまわり殿…紅葉もみじ殿…藤野すみれ殿…冬野つばき殿…常盤わかば殿…紺野るり殿…そして転校生の焔間ヒメギク殿…。貴女方はザイマ一族との死闘を制し、京都に一時的平和を取り戻し、神話の終止符の第一歩へ近づけたことをここに賞します。新暦2019年、4月1日、平安館大学理事長、藤原永政。」
私たち月光花に感謝状が贈られ、平安館内では私たちは英雄のようにおもてなしをされる。
ザイマ一族に勝てたのはみんなの応援のおかげであることに変わりはなく、花柳先生にお願いしてみんなへの感謝を伝えるチャンスをもらった。
授与と同時にマイクをもらい、リーダーのわかば先輩がみんなに感謝を伝える。
「皆さん…この度は私たちの死闘を見守り、応援してくださってありがとうございました。この戦いに勝利したのは言うまでもなく…皆さんが危険を顧みず、人間としての未来への可能性の底力を見せられた事、アクドーの雄叫びに屈することなく洗脳されずに駆けつけてくださった妖怪たちの協力があった事、そして意識を失っている間に今は亡き妖魔大王さまのサポートで最後の力を得て勝利した事に感謝致します。皆さんがいなければ、今頃私たちはザイマ一族に敗れ、極楽浄土の世界を許し、皆さんまで道連れにしてしまったことでしょう。みなさんが命の危険がありながらも勇気を出して駆けつけて応援し、パワーをくれたことが最大の勝因だと私たち月光花一同は思っています。そして先祖がアクドーだった花柳先生は罪滅ぼしとは仰いましたが、彼がいなければ妖魔の力を集めることが出来ず、彼が因縁に終止符を打とうと自分を犠牲にしてまでも挑まなければ、私たちも結束する事がありませんでした。私たち月光花は…皆さんだけでなく、花柳小次郎先生を尊敬し、感謝し、そしてこれからもお互いに支え合って過ごしていこうと思います。月光花代表、弐年弐組常盤わかば。」
わかば先輩の言葉は私たちにも心に響き、客席を見ると涙を流す人までいて、会場は拍手喝采となった。
入学式と表彰式を終えた私たちはいつも通り花柳先生の下で稽古を受ける。
いくらプロデビューして話題になり世界でニュースになったとしても、ここで驕って足止めしてちゃダメなんだ。
月光花はこれからももっと精進し、世界で一番の日ノ本アイドルを目指します。
つづく!
P.S.ここからは黒幕が出るまで日常編に入ります!




