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第76話 霊魂転生術

スキンヘッドで茶色がかかった灰色の肌、歯が欠けているもののハッキリとした発音に潰れた鼻と耳、さらにはただれた唇に細すぎる目と醜い人間の姿をやめ、肌は漆黒の龍のような鱗肌で鋭い牙を生やし、悪魔のような翼に額には第三の目、身体つきがさらに筋肉質になり、破壊の神のような姿になった。


アクドーはさらに野太くて禍々しい低いうなり声を出し、私たちを大きく威嚇した。


あまりの恐怖にみんなはざわつき、私たちでさえ怯んでしまうほどだった。


それでも私には巫女として、先祖の因縁として、みんなを守る妖魔使いとしての責任を持って先頭に立つ。


「はな…。」


「私ならもう大丈夫…。確かに怖いけど…ここで逃げたらみんなが危ないもん。責任を持って立ち向かわなきゃ。」


「よーし!みんなもはなに負けるなー!私たちも続こう!」


「うん!」


「下等生物が我を討伐するなど自惚れもいいところだ!貴様らはここで地獄に堕ちて永遠の苦しみを味わうのだ!」


「そんなことさせないわ!あなたの野望をここで止めて、もう一度京都に平和を与えるのよ!」


「ほざけ!貴様ら人間に何が出来るというのだ!これでもくらうがいい!」


「くっ…!本当に彼は人間だったのかい…?」


「銀閣寺くらいの身長はあると思います…!」


「怯むな!私たちの使命を忘れるな!」


「もちろんでございます!人間を侮っている哀れな元人間に喝を入れるでございます!」


「私からいくよ!アクドー!これでもくらえ!」


「妖魔大王の小娘ごときに我がくらうとでも思うか!たわけが!」


「うぐっ…!」


「ヒメギクちゃんの金砕棒が防がれた…!?」


「ありえない…!力士との腕相撲で勝つほどのパワーを誇るヒメギクが…!」


「何とも慈悲深い攻撃だな!ぬぅぅぅぅんっ!」


「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」


「ヒメギクさんっ!」


「なら私が!放てっ!」


「ほう…?何か当たったかね…?」


「そんな…!私の渾身の射撃が…!」


「まとめて潰れるがいい!」


「させんっ!」


「つばき!」


「危ないところだったな…。」


大きくなったアクドーに私たちの妖魔の力が一切通用せず、頑丈な鱗肌に成す術がなかった。


大きな翼で羽ばたいては台風のような風を起こしながら大きな足で大地震を起こし、さらに地獄の業火のように焼け付く炎の息を吐き出したりした。


炎で焼き尽くした直後にマイナス何度かわからないほどの凍える冷気を吐き、第一形態の時よりも感覚を狂わせた。


それでも私とひまわりちゃんとヒメギクちゃんは諦める事をしなかった。


ヒメギクちゃんはお父さんが目の前で暗殺され、ザイマ一族のクーデターを許し、妖魔界を支配されて人間界への復讐を果たせるところまで行かせた責任を。


私は目の前で実家の人妖神社が燃やされ、巫女として妖怪たちとの絆を守り、そして先祖の因縁を終わらせ、もう一度平和な京都を取り戻す責任を。


ひまわりちゃんは私と幼なじみで、私の家の事をずっと心配し、目の前で神話の再来を経験して一緒に戦うと誓い合い、ここまで来たら負けないという責任を持っていた。


「アクドーは確かに強い…。でも彼の怒りや憎しみを鎮めることが出来れば…きっとどこかに策が浮かぶはずだ…。」


「ひまわりの言う通りだよ…。彼は元々は人間だった…。彼にもどこか人間らしさを残しているはず…。」


「アクドー…あなたは本当に人間を滅ぼしたいほど憎いの…?何が原因であなたをそうさせたの…?教えてよ…。」


「ふん!貴様らごときに教えるほど安いものではないが…まぁいいだろう!我は神のお告げを聞いてからずっと人間を観察してきた!するとどうだ…人間共は神の言う通りの行動ばかりしているではないか!だから我が人間を代表してこの世界をぶっ壊し、新世界の神として極楽浄土を創ると心に決めた!貴様らの先祖が邪魔しなければ…人間は滅びるはずだったのだ!それなのに…人間共は生存し、甘い妖怪共は人間と共存を選び、我を差し置いて平和な世界を創り直しやがった!許せない…我の感じた人間共はこんなにも都合がよく自分勝手で迷惑な奴らだ!地獄の底でそう思ったのだ!もう誰も我を止める事は出来ぬ!うおおおおおおおおおおっ!」


「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「強い…強すぎる…!こんな奴に…京都は…世界は壊されるのでしょうか…?」


「何も守れなかったら…どうなるのかな…私たち…。」


「はな…これ以上は言わないで…。私だって…負けたせいで恨まれて死にたくないわ…。」


「ふはははは!泣け!苦しめ!そして我に跪け!それが人間が生存する唯一の方法だ!我を崇めよ!極楽浄土の世界に感謝せよ!我の永遠の奴隷として我を満足させよ!そして滅ぶのだ!」


「落ち着け…まだ絶望する時じゃない…。私の策略はこの程度じゃないはずだ…日向ひまわり…っ!?そうか…これならきっと…。幸いこれは禁術じゃないからはながずっと修行し…それでも苦戦して習得できなかった究極の霊界妖魔術なら…。」


ひまわりちゃんは諦めたのか何か独り言をつぶやき、ゆっくりと槍で自分を支えながら立ち上がった。


私たちは意識が朦朧(もうろう)としていて、ひまわりちゃんが何を言っているのかわからなかった。


アクドーはそんなひまわりちゃんを見て驚きはしたものの、まだ悪あがきするのかと大きなため息をついていた。


するとひまわりちゃんは、私とヒメギクちゃんしか知らないはずの呪文を唱え始めた。


「霊魂転生術…英雄召喚!」


つづく!

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