表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/122

第73話 回想

アクドーは悲しみと憎しみ、そして怒りを込めて私たちに歩んできた人生を語り始めた。


西暦の終わり近くに生まれたアクドーこと花柳亞久斗(はなやぎあくと)は普通の家庭に生まれ育ち、生まれる瞬間に悪魔による予言を聞いてしまった。


それが原因で人間を見下しては危険だと見なし、予言をみんなに言っても通じず邪険にされてしまった事でより人間は存在してはならないと拗らせてしまった。


そしてアクドーが18歳の頃からの話を始め、私たちは授業で聞いていた新・日本神話とは違う内容を語り始めた。


「我が18の若き頃だ…。大学で人間の悪行を講議したが、より社会的に孤立して親も我を見放した瞬間だ。我はまた神の声を聞いたのだ。汝は人間を滅ぼすために生まれたのだ。このまま人間を生かしておけば世界は破滅の道を歩む。出来るだけ多くの人間を闇に葬り、この世界を極楽浄土にするのだ…と。我は神の言う通りに何人も殺害し、アクドーと名乗って無差別に葬ってきた。しかし我も当時はまだか弱き人間だった…。22の時に運命の女と出会い、我はただただその女に好かれるために人殺しをやめ、身分を隠してプロポーズしたのだ。すると女はすぐに結婚を了承し、子どもを授かって結婚までしたのだ。我の聞いた予言を唯一信じ、人間の悪行を憂いてもくれたのだ。だがあの女は…我をただの駒にしていたのだ。」


「何ですって…!?」


「あの女は子を産んで以降、我を稼ぎの道具にし家に帰れば給料を全額取られ、子どものみならず自分に金を使い、使い果たしては我に金を要求したのだ。底を尽きれば暴言を吐かれ、まるで裏切られたような気分だった。そして務めていた会社が社長や会長による金の横領、社員待遇の悪さ、金儲けのために手段を選ばずに他社を陥れたり詐欺脅迫まがいな事をしたことが公にされ、我はリストラという形で職を失った。その瞬間にあの女は我にこう言った…。あんたみたいに大企業勤めだから金になると思って結婚したのに、今のあんたには何の価値もない。さっさと首を吊って消えなさい。あなたはやっぱりおかしい…あんたといると不幸にさせられるし、厄病神の生まれ変わりなんでしょ?厄病神の声だか何だか知らないけど、あんたのようなゴミはもう用済み、さっさと消えなさない!と暴言を吐いたのだ。あの愛しているという言葉は全て嘘だったのか…会社も信頼しているというのに我を騙していたのか…我は人間共に裏切られた気分だった。そして世界は第3次世界大戦で核兵器や人工ウイルスによる虐殺が多発し、我はもう限界に達したのだ。そこで我は投身自殺をし、ついに命を失ったのだ。だが我の魂は冥界に行くどころか、我が崇拝した神に出会い悪魔として転生し、京都を中心に裁きを降り注いだのだ。そして地獄界から妖怪たちを騙して地上に派遣させ、人間を滅ぼそうと計画した。だがその計画は…忌々しい妖魔大王…春日聖一郎先輩によって壊されたのだ。」


「春日聖一郎って…私の祖先の春日聖次郎のお兄さん…!」


「え…?じゃあ私のパパはあなたのご先祖様の…!?」


「ほう…。ではその二人は我にとって天敵で、最も苦しみを味合わせねばならぬ存在のようだな…。花柳小次郎…奴は我を罵り捨てた忌々しい血統を持つ者だ。先程は仕留め損ねたが、貴様らを葬った後で地獄の業火で焼いてやろう。」


「アクドーは悪魔の声を聞いて鵜呑みにし、ずっと周囲に危険を伝えても信じてもらえず、それが原因で苦しみを理解されずにより人間不信を拗らせてしまったんだな。」


「さらにもう一度その声を聞いて殺害を繰り返し、何度も訴えても振り向いてもらえず、ようやく信じてくれた運命の異性に裏切られ、見下しつつも期待されていた社会にも見捨てられ、さらに世界大戦で人間の醜態が全部さらされるという追い打ちでここまでになったのね…。」


「あなたの過去を知ってしまい、私たちもあなたに同情するでございます…。あなたはずっとお辛い人生を歩まれたのでございますね…?」


「ちょっとみんな…!やめてよ…あんな奴の言う事を鵜呑みにしちゃダメだよ!」


「大丈夫…みんなは強いから心配しないで?」


「でも…」


「ほう…ようやく人間の醜態を見抜き、我に心を許したか。さぁ我と共に人間を滅ぼし、真の極楽浄土を創ろうぞ。」


「要するに…貴様は貴様自身が不幸になったからと他人まで巻き込み、悪魔の予言をそのまま鵜呑みにして本当に実行し、貴様の勝手な都合だけで世を混乱に招いたことの方が人間の大罪よりも大きいという事に気付かなかったようだな!」


「そしてその予言を聞いて本当に実行するほどあなたの心は脆弱で意思がない。ようやく信じてもらえたからと簡単に心を許し、利用されていることに気付かないまま自分で見切りをつけず相手や社会に依存し、どこかで安心を得たかったことはわかるけれど…あなたはただ自分に甘すぎたのよ!」


「どんな過去を持っていても未来に進み、二度とそうならないよう対策をするのが人生でございます。あなたのような不幸を乗り越えずに堕落し、勝手に他人を外悪だと決めつけて予言を狂ったように信仰し、滅びの道を自ら歩んだ哀れな人間でございます!」


「そんな君の勝手な都合のために、私たちが犠牲になる義理はないと思うよ。人間たちは確かに弱くて醜い部分が目立つけれど、それだけで滅んでいい理由にならないよ。心がある故に美しい部分だってあるじゃないか。その美しい部分を見れない君の心の方がよっぽど醜いと思うよ。」


「あなたは自分で考える事を放棄し、ただ間違った考えのまま育ってしまったのです!そして道をさらに踏み外し、自ら命を絶ったことが最大のミスです!もう少しお考えになられて明るい未来を映せれば…あなたはもっと違う人生を歩めたかもしれません!」


「ぐぬぬ…言わせておけば…!」


「みんな…!」


「ヒメギクちゃん。みんなは幹部との戦いでたくましくなったんだよ。私はみんながあいつの言いなりにならないって確信していたんだ。だから私はあえて何も言わなかったんだ。」


「はな…。」


「そう言う事だよ、ヒメギク。あなたのパパの無念を晴らす仲間だから、大事な時こそ信じる事も大事だよ。それにアクドーの生き方は私も疑問に思っていたし、それで花柳先生やはなの家族、獄魔になったみんなを巻き込んだあいつを許せないんだ。だからヒメギク…一緒にあいつを倒そうね!」


「ひまわり…ありがとう。私、ちょっと人間に対して弱気になってたみたい。さっき暴徒と化した人間たちを見てしまったからかな…。でももう大丈夫、みんなと一緒なら迷う事はない。アクドー!私はあなたを許さない!自分の不幸を他人に押し付けて、平和だった妖魔界を荒らしてパパを暗殺し、人間界を破壊と混乱に陥れたあなたを…ここで成敗する!」


「ならばもう一度妖怪共を洗脳して人間を滅ぼしてくれよう。我が雄叫びを上げれば妖怪共は思考を失い、人間を殺戮するマシンになるのだ。あの時のように京都を中心に極楽浄土にさせてやろう…ウオォォォォォォォォォォォォォッ!」


「しまった…!」


アクドーの禍々しい雄叫びに耳がおかしくなり、あまりの大きさに行動すら不可能になった。


体がすくみ上り、耳の鼓膜が破れて視界が大きく回り始めた。


同時に寒気と吐き気が起こり、生きる事をやめたくなる精神状態にもなった。


雄叫びが収まると、山のふもとから大勢の憎悪によるうめき声と足音、さらに妖怪たちの大きな魔力を感じた。


私たちは築き上げた絆を壊すことになるのかな…?


つづく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ