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第62話 長男オロチマル

~紅葉もみじside~


私は裁きの鏡の中に入り、長男であるオロチマルと戦闘体勢に入りました。


サポート妖怪たちは皆私たちに術として後を託し、その妖怪名を叫ぶことでその能力を発動させられるようになりました。


オロチマルは大太刀を前に構え、私は二刀の刀を握りしめて戦闘を始めました。


「いざ参る!貴様の武をここで示すがよい!」


「望むところです!あなたのような残酷で卑劣な男には負けません!」


「意気込みだけは褒めてやろう!人間程度の魔力ではこの我には敵わぬ!」


「それでも私はもう昔の弱い自分ではないです!あなたの想像を越えるペースで強くなっているところをお見せしましょう!」


私は二刀の刀をるりさんの回転打撃を参考に振り回し、オロチマルも一本のリーチのある刀で間合いを取っていた。


刀の打ち合いは本来は戦では最後の手段としての一騎打ちですが、今回は人間と妖怪の絆をかけた女と、人間に失望し卑劣な方法で滅ぼそうとする悪魔の戦いで、戦国時代の戦とは正義感が違いました。


オロチマルはオロチマルなりに正義感があり、人間という悪い心を持って生きる者を排除して地球を平和にしたいと思っていたのですが、私にはそれが本当に平和を築くものなのか疑わしかった。


妖怪たちもかつてはそう思っていたのですが、命を捨ててまで妖怪との絆を信じ、人間をやめてまでも元人間のアクドーの野望を食い止めた元人間の妖魔大王さまの活躍があり、今こうして仲良くしています。


その長年の絆を破壊して自分たちの理想のために犠牲にさせる事が平和への行動とは思えず、私はオロチマルの圧倒的力に抵抗します。


「柄が短くも刀身が長いとは面白い刀だな、紅葉もみじとやら。」


「この様な刀は西暦が終わってから脇差と同じ片手で使え、刀身が打刀と同じで斬りやすいようにアレンジされた比較的新しい刀です。」


「なるほど、返答に感謝する。変則的な刀ともなれば我の常識的なやり方では勝ちにくいようだ。ならば…これならどうだ!ぬぅんっ!」


「うっ…!」


「ほう、蜘蛛の糸でギリギリのところで防ぐとは…。どうだ、三日月を描くように胸元を斬るだけでなく、同時に3本の刀身で斬りかかられる気分は。」


「これは…生半可な剣術ではなさそうですね…。」


「しかし紅葉もみじよ。貴様はいつの間に蜘蛛の糸を習得したのだな。」


「ええ…土蜘蛛さんのサポートで蜘蛛の糸を張ることが出来るのですよ…。幻かと思いましたが…まさかあるはずのない本物の刀が突然現れるとは思いませんでしたが…。」


オロチマルの刀は一呼吸のうちに3つの刀身が襲いかかり、まるで本当に刀が3本あるかのような感覚がしました。


いいえ…正確にはあるはずのないもう2本の刀が本当に存在し、目の前に現れたと言うべきでしょうか。


私はギリギリの判断で蜘蛛の糸で魔剣を凌ぎ、1本こそ斬られるも軽傷で済みました。


オロチマルは余裕の笑みで私を見つめ、切っ先を私に向けてこう言いました。


「人間は学習もせず同じ罪を繰り返すものだと思っていたが、貴様を見るとまだ違う人間がいるのだとわかった。随分と反省し成長したのだろう。貴様だけはよい好敵手であった。案外人間と言うのも悪くはないものだ。」


「そうでしたか…。学習できて何よりです…。」


「だが…それは貴様のような妖魔使いだからこそだ。人間の多くは罪を罪とも思わず、己の欲望と感情に支配された下等生物であることには変わりない。貴様が何故そのような罪深き下等生物を庇うのかは想像がつく。やはり同族には甘いところは人間らしいようだな。我は生憎同族に構っていられるほど甘くはない。我は我の野望を叶えるためにここにいる。」


「その野望とは…?」


「同じ罪深き人間でも強い者は残し、弱い者は排除し、我が支配して人間共を自然の奴隷とさせよう。今まで人間共は自然に酷い事をして来たのだ。動物たちも同じ運命を辿っている。その自然や動物たちが人間から逆転し、人間共に苦しみと屈辱を味合わせ、いかに自分たちが愚かであったかを痛感したまま滅びゆくのだ。自分たちがいかに力がなくちっぽけで、どれほど自分勝手であったかを反省したまま地獄で裁きを受けるのだ。」


「そんなこと…」


「そこは貴様も同じだ。貴様こそ動物や植物を食しては自分の欲望で生きているではないか。人間を庇う事は自分自身を甘やかして庇う事と同じ事だ。本当は自分自身が可愛くて仕方ないのであろう。」


「それは…」


「ふん、やはりここまで言えば頭の整理もつかぬか。核心を突くと人間は整理が出来なくなる弱いものよ…。さぁ紅葉もみじ…ここで我に葬られることを誇りに思うがいい!」


皆さん申し訳ありません…私は自分自身の弱さに向き合っていたつもりでしたが…考えてみれば動物たちの命を奪ってまで食事をして、処分される苦しみを理解していませんでした…。


肉食動物も同じ事だと言えば彼にまた諭され、精神的に追い詰められてしまうと悟ってしまい、言葉で抵抗する事をやめてしまいました。


私は頭がパニックになって今にも暴れそうでしたが、自分の過去を思い出して理性を保ちました。


そして今まで感じた自然や動物たちへの感謝の気持ちが大きくよぎり、先ほどまで弱気になった自分が嘘のように心が軽くなりました。


「オロチマル…あなたはひとつ勘違いをしていますね。」


「ほう…?」


「人間は確かに当たり前に溢れてしまうと感謝が足りなくなります。そして犠牲をも当たり前に思い、対価というのを混乱させたでしょう。ですが…それはもう西暦時代での話です。もう新暦になられてからは自然や動物たちの生きる権利を考え直し、人間以外のあらゆる生き物も発展するように努力しました…。そして生きるために食すであろうお肉やお魚なども苦痛を与えずに食品となるかを模索し、ついにその努力が実りました。そして生きるためとはいえ皆さんの命を奪って申し訳ない…あなた方の犠牲を無駄にしないしあなた方の分まで感謝して生き続けますと誓っているのです。父上であるアクドーは元々は西暦の人間でしたね…。ならば新しく生まれ変わった人間の底力をお見せします!」


「面白い…やれるものならやってみるといい!貴様の底力など蟻以下だと思い知らせてやろう!」


つづく!

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