第5話 忍術道場
~紅葉もみじside~
なでしこアイドルグループの最初の仕事として、私は実家である紅葉流忍術道場の総本家の取材に応じる仕事をします。
母上は代々伝わるくノ一の末裔で、父上は京都でも有名な剣術の師範で、居合や抜刀でもご活躍なされてました。
そんな紅葉流忍術をテレビ京都の取材班が訪れ、私はその忍術の紹介をします。
「紅葉流師範代の紅葉宗司さんと、女将の紅葉雅美さんですね。本日はよろしくお願いします。」
「うむ、よろしく。」
「ええ、よろしくお願いします。」
「もみじ、ちゃんと案内をするのだぞ。アイドルになった以上はきちんと責務をこなすのだ。」
「はい、父上。」
元々私はライバルである東の紫吹流の一人娘がアイドルとしてスカウトされたと耳にし、紫吹流には忍術以外にも負けたくないと父上の反対を押し切ってオーディションを受け、この仕事を手にしました。
同時にまだ小学6年生である従姉妹のしのぶは、分家である東京からよく勝負に挑み、何度も負けてきました。
彼女の負けず嫌いには世話を焼きつつも、総本家である私も負けていられないのです。
そして…取材開始の時間が訪れました。
「おはようございます。京都こどもの会がまた始まりました。よい子のみんなは元気にしてたかなー?それでは早速、よい子のみんなに健康になれる体操を、ある先生方が教えますよー!せーの…紅葉せんせーい!」
「紅葉宗司と申す。」
「紅葉雅美です。」
「今日はどんな事を教えてくれるのですか?」
「うむ、今日は我が子のもみじが朝から始められる忍術の心得を…」
「もう、宗司さんったら。小さい子どもたちが見ていますよ?そんなに硬いと怖がっちゃいますよ?簡単に言うと、忍者さんの体操をよい子の皆さんにまねっこしてもらいます。私たちの子であるもみじおねえさんについて来てくださいね。」
「ではもみじおねえさん、その体操をよい子のみんなに教えてくださいね!」
「かしこまりました。父上、母上…後は私がご案内いたします。」
着物姿からオレンジ色の子ども向けの忍者衣装に着替え、私は少しだけ身体を温めるために独自の体操をする。
父上は慣れないテレビの撮影で深い溜息を吐き、母上はその父上の額をタオルで拭きました。
撮影時間になり、私は着替え終えたのですぐに準備をします。
「皆さんこんにちは。もみじおねえさんです。これからニンニンニンジャ体操を始めます。まずはテレビの前から離れ、お父さんとお母さんにぶつからない様にしましょう。手を横に腕を上げて…腰を回してくださいね。はい、皆さんこれで立派なニンジャになりました。ではニンニンニンジャ体操を始めます。音楽、スタート!」
「ニンニンニンジャ、ナンニンじゃ♪あんよを上げて、シノビアシ♪手を上に上げて、ニンニンニン♪」
「ほう…紅葉もみじちゃん、テレビ慣れしているね。」
「ええ、さっき雅美さんから聞きましたが、よく道場で子どもたちのご指導をなされているそうです。」
「それであんなに笑顔で動けるのだね。アイドルデビューしたと聞いたけれど、これは期待出来そうだ。」
「何せあの花柳小次郎さんプロデュースですからね。京都の星になりますよ。」
「間違いないな。」
「よい子の皆さん、ニンニンニンジャ体操で、立派なニンジャになれましたか?はい、いいお返事です。それではここで宣伝いたします。明日の朝8時、テレビ京都にて、忍道戦隊シノビンジャーがテレビの前の皆さんの前でご活躍なされます。シノビンジャーと一緒に躍りましょうね。」
「はいOKでーす!お疲れ様でした!」
「ありがとうございました。」
「あーそうそう、お友達が来ているよ!」
「お友達ですか…?」
「へへ、来ちゃった♪」
「お邪魔します…。」
「春日先輩に日向先輩ですね。ようこそいらっしゃいました。」
同じグループで学校の先輩である春日先輩と日向先輩が差し入れを持ってくださり、私の好物である八橋屋の芋羊羹を用意しました。
しかし私には先輩方から発せられている不思議な力が気になり、報道陣がいなくなった辺りで聞いてみようと思いました。
報道陣がいなくなり、父上たちは縁側でお茶をしている間に、私は先輩方を居間に招待し、不思議な力について聞き出します。
「先輩方、わざわざありがとうございます。」
「いいんだよ。同じアイドルの仲間だもん。それに、紅葉さんの仕事っぷりを見て刺激をもらおうと思ってね。」
「お邪魔じゃなかったかな…?」
「とんでもありません。お二方に来ていただいて私も嬉しいです。それから、先輩方にご質問があるのですが…。」
「何かな?何でも聞いてね。」
「先程からお二方から何か不思議な力を感じるのです。どこか闇の力と言いますか…それでも悪の力ではなく、何か聖なる力を感じるのです。お答え出来ないのであれば無理にとは言いませんが、何か知っていますか?」
「えっと…それは…」
「はなはね、人妖神社の巫女候補だからそう感じるのかも。私は何でかな…毎日神社に通っているからかな…。」
「そうでしたか…。先輩方、質問にお答えいただきありがとうございます。」
「ううん、私の方こそ威圧しちゃってごめんね。紅葉さん、お仕事お疲れ様。」
「ありがとうございます。」
~四条地区~
「はぁ…早くしろよマジで…。まさか俺の手前で売り切れにならねぇだろうな…。」
「すみません!本日分は完売です!」
「は?何でだよ!それくらいの客が来てんだぞ!そんな事も想定できないのか?」
「申し訳ありません!今日は想定以上の客足でして…」
「言い訳してんじゃねぇよ!こっちは毎日おたくのとこの八つ橋を楽しみに仕事から直行で来てるんだぞ!いい加減俺によこせ!」
「がははは!人間は怒りに任せると力任せになるのだ!何とも醜い生き物だな!じゃあ早速…出て来い!罪魔の心よ!」
「あーもう!我慢できねぇ!うがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
~紅葉家~
「この気配…!」
「四条地区の方だよ!行こう!はな!」
「うん!」
「先輩方!?どちらへ向かうのですか!?」
「紅葉さんはここで待ってて!」
私は先輩方が突然飛び出したのを不思議に思い、見つからないように忍び足で二人の後を追いました。
先輩方が向かった四条地区には、一人の会社員の男性が胸に穴を空けて倒れ、意識を失っていました。
男性を安全な場所へ運ぶと、先ほどの先輩方がナイフを持った髑髏の甲冑姿と向かい合っていました。
「アレ…タベタイ…!ゼンブ…オレノモノ…!」
「これは…あのお店の八つ橋を食べたくて自分勝手な心が出たのかな…?」
「とにかく早く浄化して助けよう!はな!」
「うん!」
「闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!」
先輩方が懐から篠笛を取り出し、怪しく吹き始めると和装の動きやすい衣装へと変身し、手に武器を持って甲冑髑髏へ立ち向かっていきました。
あの力は一体…やはり先輩方のあの魔の力は気のせいではなかったのでは…?
つづく!




