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第55話 アマジャーク襲来

アマジャークの襲来におじいちゃんが巻き込まれ、私は許さないという気持ちで奴に立ち向かう。


奴はメガネをクイッと動かし、不敵な笑みを浮かべて私を見下したように見つめた。


私の火縄銃では歴史上のものより装填に時間がかからず、弾丸や火薬を入れる手間がない分素早く構えられるけれど、連続で撃つことが出来ないので苦手な素手での武術で戦う事になる。


アマジャークはその事を前に会った時に知ってしまったので、私に武術でかかって来いと挑発をしてきた。


「おや?そちらからは来ないのですか?よっぽど武術に自信がないのですね?」


「生憎だけど私は腕っぷしが弱いのよ。悔しいけどあなたと素手で戦うには…私には弱すぎるわ。」


「弱さを認める辺りは他の人間とは違うのですね。正直驚きました、ここまで弱さを認め自分を客観視出来るとは。ですが…その程度の考えでよく世界を救おうと思いましたね。」


「言ってくれるわね…。それで挑発したつもりでしょうけど、あなたこそ様子を伺うのね。心理戦といったところかしら?」


「心理戦も面白いのですが…やはり白兵戦の方が面白いですね。ではこちらから参りましょう。ふんっ!」


「うっ…!」


「おや?このスピードをかわせるほどの反射神経をお持ちでしたか。」


「危なかったわ…!」


アマジャークは長い槍を持って私に振りかぶり、上から滝のように叩きこんで威圧した。


槍の性能上こういう戦術になる事はわかっていたのでギリギリかわせたものの、妖魔使いになると運動能力は大幅に向上するのね。


一つ目小僧の一志くんは私の視力の悪さをカバーすべく能力を最大限に発揮させてくれる。


同時に妖魔使いとしてのメガネには相手の能力を測れるスカウター機能もついていて、私以上の身体能力と頭脳を持っていることがわかった。


アマノジャークは槍を何度も振り下ろしては叩き込み、私を痛みと痺れで恐怖を植え付けてから突き刺そうという作戦に出た。


「ほらほらっ!人間というのは脆いと聞きましたがしぶといですね!」


「くっ…うぐっ…!」


「やはりサポート妖怪の能力でしたか。ならば…これでどうでしょう?」


「うっ…!」


「しまった…妖怪の能力を封じる禁術を取得していたのか…!」


「そんなものまであるの…!?」


「悔しいけど…古代禁術は解明されていないものも多く、妖怪を誤解していた人間による一方的な魔術さ…!ごめんね…わかばお姉ちゃん…!」


「いいの…こちらこそ今までありがとう…。この禁術を解いて、もう一度コンビとしてあいつを倒しましょう…。」


「ふっふっふ…もう面会は終わりですか?」


「ええ…いずれは私一人で戦わないといけない時が来るってわかってたわ。それが今になるだなんて想定外だけども…あの子の分まで私は頑張るわ!」


「何度立ち上がっても無駄ですよ?人間の能力などたかだか知れていますからね。」


「それは違うわ!確かに人間の能力は低くてちっぽけだけど…人間は経験を活かして成長し、未来へと進む能力があるのよ!無限の可能性は諦めたりせず、きちんと考えて行動すればきらめくのよ!昨日の私よりも…運動神経は上がってるわ!1時間前の私より…妖魔の力は強くなっているの!さっきの私よりも…もっともっと前へ!いっけぇぇぇぇぇっ!」


「ぐふぅっ…!」


「当たった…!」


私の渾身の射撃がアマジャークの胸元に命中し、一志くんの視力向上能力を使わなくても上手く当てることが出来た。


アマジャークも私の能力に驚きを隠せず、曇ったメガネで表情を隠しながら胸を押さえた。


一志くんもあまりの驚きにいつもより目が見開いていた。


「まさか…前の君とは違うというのか…!?」


「え、ええ!もちろんよ!これが人間の進化の可能性よ!」


「人間を侮っていた僕の計算ミスですね…。いいでしょう、本気を出したいところですが…どうやら最低限のミッションはこなせたようです。」


「何ですって…?」


「あなた方の憎しみと怒り、そして隠された罪の意識をかき集め、罪魔の力として利用させていただきました。これで心置きなく父さんの復活の材料として京都に戻れますね。しかも…ここで本来なら復活の儀式を行いたいところですが、別の悪の組織の縄張りみたいですし、見つかれば邪魔されることでしょう。それに他の者たちもそれぞれ上手くいったようですね。ではまた会いましょう…次に会う時があなた方の最期と宣告いたします。」


そう言ってアマジャークは一瞬で姿を消し、私は追い詰めたように見えて相手の思惑通りだったことに悔しさを覚えた。


敵の力を一瞬だけ越えたかもしれないけれど、まだ相手の方は本気ではなかった事はすぐにわかった。


次に会う時はアクドーというのが復活し、もう一筋縄ではいかなくなるのね。


罪魔の力を感じなくなった私は、すぐにおじいちゃんに近づいてケガはないか確認する。


「おじいちゃん、ケガはない?」


「ああ…ワシは大丈夫だ。それよりわかば…あの悪魔と戦っていたのだな…。」


「ええ、あいつらはザイマ一族といって、新・日本神話でもおなじみの悪の一族よ。私たち月光花のみんなも妖魔使いに選ばれて、今もあいつらと戦っているの。」


「そうか…それで最近、わかばに何かいい霊気を感じるのだな。早苗からも聞いたが、文学の方も実力を上げたようだな。」


「私なんておばあちゃんと比べたらまだまだよ。おじいちゃんにもまだ認められていないんだから。」


「やれやれ…頑固なところと自分に厳しいのはワシにそっくりで、他人を持ちあげるところは早苗にそっくりだな…。ほれ、もうワシ一人で立てるぞ。伊達に盆栽のために毎週日曜日に縁側で見とらん。」


「毎朝ラジオ体操を一緒にやってたものね。いつまでも元気でいてね。」


「ああ、当然だ。では車に乗るかの、わかばもケガはないか?」


「大丈夫よ。おじいちゃんが見守ってくれたもの。」


「よく言うわい…まったく。」


こうしてアマジャークと接触して、改めて強さを知った私は利用こそされたけれど確かな収穫を実感する。


相手の主な武器は槍で、リーチを活かして頭を使って応用の利いた戦術で相手を翻弄するスタイルであると推測し、同じく槍が武器のひまわりと戦の稽古を約束する。


もしあいつらの目的が果たされ、アクドーが復活してしまえば…私たちも罪魔の力を与えたという事になり、責任はより重大になる。


それが京都のみんなに伝わったら…想像するだけでも恐怖でいっぱいになり私は体を震わせた。


つづく!

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