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第51話 オニゴロー襲撃

オニゴローによって待ち伏せされた私は塗り壁の立壁大五郎さんと共闘し、棍棒によるパワー比べとなった。


オニゴローの棍棒は金棒で硬くて重く、私のような木製の六尺棒では一撃が足りなかった。


その分素早さと機転の利きやすさに優れ、オニゴローの単純な動きを読んで翻弄する。


ところが…徐々に壁の方へと追いやられた私は不運にもオニゴローの攻撃をくらう。


「くたばれぇっ!」


「うぐっ…!」


「どうした!テメェのパワーはその程度か!」


「何というパワーだ…!」


「我の防御が通用しないだと…!」


「ほう、さっきから妙な魔力を感じると思えば…塗り壁の妖怪が憑依しているのか。人間ごときが妖怪の力を得ようなど1000年早いぞ!」


「貴様とは違う…。我々は…かつては人間と争い…憎み合っていた…。だが妖魔大王さまが…それをよしとせずに治め…人間と妖怪の絆を深く結んだ…。我は妖魔大王さまに感謝している…。人間でありながら禁術を使い…人間としての命を捨てて妖怪と化し…2000年以上も妖魔界を平和にしてきた…。貴様らザイマ一族の野望に…我々は屈しない…。」


「ほう、テメェはあくまでも人間の味方って事かよ。面白ぇ…なら人間と手を組むことがどれだけ愚かな事かこの身で思い知れ!」


「立壁さん…あなたの本音と人間と妖怪の事情…しかと聞きました。私は妖怪より命は短いからどれだけ人間を見てきたかはわからないけど…短い命だからこそ人間の可能性と、妖怪との絆をもっと築きたいと思いました。あなたの意志…決して無駄にはしません!」


「何だと…!」


「君たちザイマ一族が何故そこまで人間を毛嫌いし、かつては妖怪を率いて人間界を支配し滅ぼそうとしたかは私にはわからないが…君たちの勝手な野望で人間を滅ぼさせないよ。せっかく2000年も築き上げてきたんだ、そう簡単に邪魔はさせない!」


「こいつ…どこからそんなパワーが…!くそぉっ!」


「すみれ…力に逆らうな…。あえて利用し…自分のモノにしてみろ…。」


「はい!オニゴロー!私の友達を傷つけたこと…人間界を支配し破壊しようとしたこと…妖怪との絆をバカにしたことを…後悔させてあげるさ!はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「ぐわぁっ!」


立壁さんの言葉に感化された私は、体だけでなく心からも闘志が湧き上がり、オニゴローの強すぎるパワーにも屈することがなくなってきた。


武器が重いせいで隙が大きく、動きも単調になってきたので私はスピードを駆使して杖を回しつつ叩いた。


こういうパワータイプの悪役はとても短気で理性を失うと暴れまわるのが時代劇だけでなく特撮ではよくある事だったが、オニゴローはそうではなかった。


「ふははは!テメェなかなかやるじゃねぇか!そのパワー…俺様は気に入ったぜ!だがこれでもまだ100%のパワーは出していねぇ。次会う時は本気をパワーを見せてやろう。その前に…藤野すみれ、テメェのそのパワーを正義のために使うのはあまりにも惜しい。どうだ、俺様たちの正義のためにザイマ一族に加わらねぇか?テメェのそのパワーがあれば世界を簡単に支配出来るし、人間なんて強い奴の犬だから従わせることも出来る。悪い話ではあるまい、いい答えを期待してやろう。」


「ほう、随分上からの目線でスカウトするんだね。正義のためか…やはり争いというのはお互いに正義と思い込んで戦う宿命なんだね…。でも残念だが私は人間の正義のために戦っているわけではない。そう思い込むことで本来あるべき正しい心を失ってしまうと父さんから教わったんだ。君たちにとっての正義は地球で最も害を及ぼしている人間を全員根絶やしにし、動物や植物、妖怪たちにとっての極楽浄土を創る事だったね。その正義…他の生き物にとって悪だと言われたらどうするんだい?」


「そんなの決まっているさ。その綺麗事な薄っぺらい正義など悪だ。そんな幻想をぶっ壊してやるぜ。」


「そうか…なら君たちの味方になるわけにはいかないね。それに…どうやらここは他の悪の組織の縄張りみたいだ。これ以上争っていてはお互いに不利になるだけじゃないかな?」


「ちっ…どこまでも余裕ぶっこいて生意気な子娘だ。いいぜ、今日はこのくらいにしておいてやるよ。だが…テメェらの奥底にある罪魔の力は確かに受け取ったぜ。これで親父の復活に貢献できたってもんだ。」


「何だって…?」


「この首都圏ってところか?あまりにも罪魔の力を集めるのに簡単すぎるぜ。それにテメェラの憎しみや怒りを誘うために挑発して正解だったぜ。俺様が力任せであることは認めるが、ただの脳筋野郎だと思うんじゃねぇぞ。妖魔界のお姫さまにそう伝えておくんだな。じゃあな。」


そう言ってオニゴローは一瞬で姿を消し、荒れ果ててしまった街は戻ることなく壊されたままだった。


タイガさんとドラゴさんはオニゴローが去った後に目が覚め、何が起こったのかわからずに周りを見渡していた。


すると荒れてしまった街並みにショックを受けたのか、顔を青ざめ恐怖に震えていた。


「おいドラゴ…こんな事ってありかよ…!」


「タイガ…俺たちは今まで町のものを破壊もしたがよ…こんな理不尽な事をしてたって思うと心が痛いぜ…!」


「二人とも、ケガはないかい?」


「姐さん…あんな化け物と戦ってるんですね…。」


「あの化け物の声…俺たちにも聞き覚えあるんス…。」


「それはどういうことですか?」


「俺たちが最後の抗争をする前に、あの鬼のようなゴツイ大男と似たような声で俺たちに罪魔の力を解き放てと言われたような気がして…それから俺たちも子分たちも気を失ったんス。」


「それで姐さんが助けに来てくれて…まさか…!」


「そのまさかです。君たちが獄魔という魔物にされて暴れまわった時に、私が妖魔使いとして変身し、魂を浄化して元に戻しました。きっと君たちを洗脳し転生させたのはあいつかもしれません。」


「クソ…俺たちに屈辱を与えるだけでなく姐さんを怒らせるなんて…許せねぇ!」


「姐さん…俺たちに出来る事があったら言ってください!」


「タイガさん…ドラゴさん…。ありがとう、気持ちだけ受け取っておきます。それと…もうそろそろ京都に戻ったほうがいいです。これ以上戦火に巻き込むわけにはいかないのです。もし助けてほしい時が来たら…最終決戦で私たちが死の瀬戸際に追いやられた時に声を出して応援してください。きっとアルコバレーノも…ファンのみんなの声援で力をつけてきたと思います。」


「なるほど…じゃあ姐さん、俺たちこれで失礼します。」


「決して無理しねぇでくだせぇ。」


「ありがとう。君たちも気を付けてください。」


オニゴローと交戦して落ち着いた私は、ファンを公言する元・暴走族のリーダーの二人を東京駅まで見送り、ひと時の平和を取り戻す。


かつて人間と妖怪は争うほど険悪で、それをくい止めたのが妖魔大王だった。


その妖魔大王が暗殺されてクーデターが起きたという事は…アクドーという奴は元々は人間だったという情報を元にすれば、何者かが力を与えて悪魔に変えたのだろう。


ヒメギクに詳しい事を聞き出して、アクドーの情報を知らなければならないね。


つづく!

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