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第45話 紅白まで

年末も近くなり、平安館女学校も冬休みに入り、東京での紅白歌合戦に備えて合宿をする。


学校のみんなに見送られた私たちは応援されたことを誇りに思い、新幹線で東京に向かった。


あれからSNSでも月光花はトレンド入りし、ヒメギクちゃんの宣伝力もあって妖魔界でも有名になった。


そしてNHTホールでリハーサルを行うので、私たちは楽屋でその時を待つ。


「NHTホール…大きなところだね。」


「やはり西暦の頃から続いている紅白歌合戦。歴史を感じるよ。」


「うむ、私たちはこの1年でここに立つまでになったのだな。」


「そうね。気を引き締めていきましょう。」


「ですが…隣の楽屋が少し騒がしいですね。」


「ちょっと見に行ってくるね。」


「あ、私も。」


隣の楽屋はガールズバンドの生徒会役員さん、ライバルのアルコバレーノ、そしてひまわりちゃんの天敵の高飛車きららさんのはず。


もしかしたらきららさんが何かトラブルを呼んだのかもしれない。


そう思うと心配になった私たちは楽屋の方を覗いた。


するときららさんは楽屋の方々を哀れむように見下しながら出ていき、私たちに気付いたきららさんは威圧するように声をかけた。


「そこをおどきなさい。あなた方のステージでなくってよ。」


「高飛車きらら…久しぶりだね…!」


「あら、まだ京都でご隠居なさってなかったのですわね。てっきり引退して解散したのかと思いましたわ。京都という田舎でひっそりと過ごす方がお似合いでしてよ。」


「どうしてそこまで酷い事を言うの…?」


「酷い?何の事ですの?パパから教わりましたわ。他人など犠牲になろうとも蹴散らし、自分がトップになれればあそれでよいのですわ。あなたたちのような虫はお邪魔なのよ。だから…そこをどいてくださる?いつまでも同じ空気を吸っていると頭が痛くなりそうですわ…っ!?」


「もみじちゃん!?」


「もみじ…どうしてここに!?」


「先程から先輩方の帰りが遅いと思い、心配でこちらを伺いましたが…聞き捨てならない先輩方への侮辱が耳に入りまして…。私の事はどうなろうと構いませんが、私の憧れの先輩方への侮辱はこの紅葉もみじが許しませんよ…?」


「紅葉もみじ…!?ふぅ…厄介な子に目を付けられましたわね。彼女の忍び足に免じてこのくらいにしておきますわ。ですが覚えておきなさい…あなた方をいつかわたくしに歯向かった事を後悔する事になりますわよ…?」


私とひまわりちゃんの帰りが遅くて心配になったもみじちゃんが駆けつけ、悪口を言われたところにもみじちゃんは怒りを露わにし、背後から忍び足で脅すように耳元で囁いた。


もみじちゃんは一見礼儀正しくて優しいけれど、負けず嫌いな性格で仲間への悪口を許さない正義感のある子でもあった。


さっきの出来事でアルコバレーノさんの紫吹ゆかりさんと柿沢橙子さんが来て、私たちを励ました。


「先程無礼者が現れたというが…そなたたちは運動会の…。」


「えっと確か…そう!月光花だ!動画見たよ!ボクたちも負けていられないと奮起したよ!」


「恐縮です。まさか海外でも人気になれるとは思いませんでした。」


「もみじ…大丈夫であったか?」


「いえ、お気になさらず。それよりもゆかりさんも彼女には気を付けてください。何やらアルコバレーノに因縁がありそうです。」


「むっ、そうか…。念のためにさくらにも伝えておく。そなたたちも気をつけるがよい。」


「はい!」


「じゃあそろそろ行くね。ボクたちに会いたいって人が大道具やっているから。」


「ではまた、ごきげんよう。」


「アルコバレーノの紫吹ゆかりさんと柿沢橙子さんだよ…!」


「私たちここまで来たんだ…!」


「先輩方、感心ばかりしてはいられません。彼女たちとは対等にぶつかり合える関係になられました。ここからが本当の勝負です。」


「う、うん!」


(高飛車きらら…彼女の経緯について調べる必要がありますね…。)


もみじちゃんはいつになく燃えていて、私たちも感化されるようにリハーサルを行った。


音響や照明、演出の確認を済ませ、先輩アーティストであるSaturnさんに少し声をかけられる。


あの有名なシャイニーズ事務所のエース級のグループで、一人のカッコいい男の人が声をかけてきた。


「君たちがあの京都から来た和の子ネコちゃんたち?はじめまして、僕は鬼龍院岳斗(きりゅういんがくと)。こう見えてメンバーの最年長さ。カワイイ子ネコちゃんたちとの出会いに祝福を…痛いよもう、また耳を引っ張るのかい?」


「またなりふり構わず口説きに行くのやめろ。だから独身のまま30歳迎えるんだよ。俺は天ノ川龍馬(あまのがわりょうま)。一応Saturnのリーダーだ。もう一人メンバーがいるが、あいつ…同い年しかいないアルコバレーノに夢中だな。名は御子柴翔(みこしばかける)だ。よろしくな。」


「ええ、よろしくお願いします。」


「月光花の順番は…アルコバレーノの次の白組、エルザイルさんの次でございますね。」


「きっとアルコバレーノも人気曲で勝負をするつもりだ。だが今回は同じ紅組だ、競って勝つことよりもファンを楽しませることに集中しよう。」


「つばきの言う通りだよ。私たちはまだまだこれから前進し、トップアイドルに王手をかけるんだから!」


「それじゃあ明日の本番に向けて…頑張ろう!」


「おー!」


「ふっふっふ…そなたたちはどこまで某を驚かせるのだ?」


「花柳先生!?いつの間に!?」


「先ほど番組ディレクターと話しを済ませてな。せっかくだ、願掛けに明治神宮に行こうではないか。そこで紅白歌合戦の成功と、来年もよい1年を過ごせるようにお祈りを捧げるのだ。」


「あそこでございますね。かしこまりました。」


リハーサルをすべて終えた私たちは明治神宮でお祈りするためにNHTホールを後にし、アルコバレーノのみんなともう少しお話したかったと思いLINE(リーネ)を交換する。


移動中に桃井さくらさんから同期アイドルたちのグループに全員招待され、そこにはSBY48の今の神7や、アフタースクールズ、スマイリング娘。の方々など豪華なメンバーだった。


明治神宮に着いた私たちは鳥居に向かって一礼し、聖水で手や口の中を清める。


もうみんな神社での礼節を学校で学んでいたから何も言わなくても手順通りにお祈りし、今年の1年への感謝と紅白歌合戦の成功、そして来年もいい年になれるように願った。


そしてついに…紅白歌合戦の本番の日がやってきた。


つづく!

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