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第44話 報告

平安館大学の文化祭以降、私たち月光花はさらに話題になり、東京で活動する機会も増えた。


花柳先生のプロデュースや京都府からの後押し、ローカルで活動を中心に時々東京で地上波に出演など人気も上昇している。


そんな中で今、若い人を中心に和文化ブームが起こっている。


花柳先生は少し東京に用があると言って旅立ち、私たちは学校で日常を過ごす。


「ごきげんよう。」


「ごきげんようー!」


「日向さん、相変わらず元気ね。でももう少しお淑やかになさい。」


「はーい。」


「ごきげんよう。先生は相変わらず厳しいですね。」


「ごきげんよう藤野さん。あなたもまた後輩を連れてくるのね。」


「ふふっ、いつもの事ですよ。それじゃあはな、すみれ、そろそろ教室に行こうか。」


「うん。」


私たち中等部3年生は受験というのがなく、エスカレーター式で高等部へ入学する。


ヒメギクちゃんはまだ学校に通える状態になく、私の家の手伝いをするばかりだった。


お母さんはそろそろ学校に通ってもいいんじゃないかと言っていたけれど、ヒメギクちゃんは人間の学問が分かるのか少し心配だった。


教室でいつも通りの授業を受け、昼休みになると月光花のみんなと一緒にお弁当を屋上で食べる。


「見てください先輩方!SNSで今一番の話題に私たちの名前が載っています!」


「おお…本当だ…!」


「平安館は西の名門校として有名で、文化祭をこれだけ盛り上げれば話題になるのね。」


「じゃあこれからもっと有名になれるってこと!?」


「海外のニュースでもアメリカの大統領が気になる日本のアーティストだとSNSに投稿しているでございます。」


「やっぱり和物って外国では人気なんだね。」


「あの…突然スミマセン…。」


「アナタたち、月光花ネ?」


「あ、はい…。」


「君は確か…ポーランド人留学生の子と、中国人留学生の子、そしてエチオピア人留学生の子じゃないか。」


「どうしてここがわかったのかしら?」


「ワタシたち外国人留学生は、ニッポンの文化を学ぶために来ました。」


「そこでより身近な存在で、ニッポンの文化を紹介するユーたちが同じ学校だと知って…母国に紹介しマシタ。」


「その…母国に自慢できるように、サインをワタシたちにくださいネ。」


「なるほど…恐れ多いでございますが、この色紙でよいのでございますか?」


「ハイ。7人分全員欲しいデス。」


ポーランドや中国、エチオピアから来た同い年の留学生の子たちはサインをもらうと嬉しそうに喜び、お礼を言って去って行った。


翌日も屋上でお弁当を食べていると、また違った外国人留学生に声をかけられ、今度はイスラエル人、イタリア人、日本人彼氏がファンだというアメリカ人にもサインをする。


どうしてここまで有名になったのか、私たちは少し疑問に思った。


「どうもおかしいですね…。」


「もみじ、一体どうしたんだい?」


「日本ならともかく、どうして急に海外で有名になったのでしょうか…。」


「ライブを見て日本らしい和風アイドルが珍しいんじゃない?」


「確かに月ノ姫以降は和風アイドルは不在、スクールアイドルでは世に出て有名になるのは難しいもんね。」


「そうでしょうか…?」


「おや…?皆さん!セルフチューブをご覧になるでございます!」


セルフチューブをるり先輩のスマホで確認すると、そこには平安館大学演舞場でのライブが撮影されていた。


撮影は許可制で公開する場合は有料という事になっていたけれど、生徒の誰かが学校に許可をもらって撮影し、それが海外で話題を呼んでいた。


英語だけでなく中国語や韓国語、中にはアラビア語やスペイン語などの感想が書かれ、翻訳すると高評価ばかりだった。


花柳先生は今は東京で大事な仕事をしていて相談できないので、担任の先生に相談してみた。


「すみません!失礼します!」


「あら、月光花の皆さん。そんなに慌てたら撫子としてみっともないですよ?」


「コホン…。その、先生にご相談がございます。」


「何でしょう?」


「このセルフチューブの動画は一体誰が撮影をしたのか先生はご存知ですか?」


「ええ、その動画を撮影したのは…確かヒメギクという人妖神社の巫女見習いの子だったわ。春日さんの同居している子だったわね。」


「ヒメギクちゃんが…?」


「何でも彼女たちに助けられてばかりで何も出来てないから、せめてアイドルとしての活動を裏から支えたいと言ってね。とても熱心に観ていたわ。英語の翻訳を留学生の子に教えてもらって投稿したらしいわよ。」


「ヒメギクさんって勉強ができるんですね…。」


「どうやら来年度の受験はヒメギクさんも受けるかもしれないね。」


「そうなると楽しみだなぁ。ヒメギクと同級生になるかもしれないし。」


「うふふ。きっとよい学校生活を送れるでございますよ。」


「ヒメギクちゃん…。私たちこそまだ妖魔界を救ってないよ…。恩返しだなんて…。」


文化祭にヒメギクちゃんもこっそり来てくれて、LINE(リーネ)では一切連絡がなかったのは私たちにサプライズをするためだった。


後で聞いてみたら花柳先生も撮影されて有名になる事はいい意味で想定外だったみたい。


そのために東京へ急な出張になり、何か大掛かりなプロジェクトが開かれると期待した。


1週間後、花柳先生が京都に帰ってきて事務所に私たち全員を呼び出した。


「皆の衆よく聞くのだ。まさかヒメギクさんのドッキリ企画で動画を撮影され、外国人向けに宣伝するために留学生の生徒から英語を学び、世界中へ発信された。おかげで月ノ姫の時よりも大きな話題になり、ナデシコアイドルとしてトレンドにもなった。現に留学生からサインをねだられたであろう。」


「確かに留学生だけでなく後輩や同級生、大学での先輩方にまでサインをねだられました。」


「最近は妖怪たちや京都市の子どもや高齢者にもサインをねだられました。」


「観光客にもサインくださいって言われましたでございます。」


「ふっふっふ…そうであろうな。そなたたちはなんと…あの国営テレビのNHT(日本放送テレビ)主催、紅白歌合戦の出場が決まったのだ。」


「ええーーーーーーーっ!?」


「それって本当なの花柳先生!?」


「まさか夢じゃないですよね!?」


「夢ではない。現に招待状と説明書もここにある。今年が初出場のアーティストは東のアイドル、アルコバレーノ。そして某も警戒している高飛車きららだ。」


「高飛車きらら…!」


「あやつか…!」


「ひまわりちゃんを傷つけた悪い子…!」


「そなたたちのここまでの快進撃と話題性、某の想像を遥かに超えている。故に某もそろそろ西洋の衣装、スーツとやらにするべきか悩んでいるのだ。」


「うーん…いっそのこと和装の袴衣装の方が似合うと思うよ。」


「ひまわりちゃん…タメ口な上に失礼なこと言っちゃダメだよ。」


「よい、日向さんのフランクなところ、某は気に入っている。あんまり上下の壁があると委縮するのだからな。某に慣れてきたという事で大目に見てやってくれ。」


「そうですか…。」


「でも一応、失礼なこと言わないように気を付けます!」


「やはりそこは日向プロに似ているな。さて、紅白歌合戦出場決定を記念して…某が寿司を奢ろう。存分に食すとよいぞ。」


「やったー!」


「まさか1年目で紅白だなんて快挙ね!」


「また新たな一歩を踏み出せたね。」


「ヒメギクちゃん…ありがとう…。」


~人妖神社~


「ヘクチッ!」


「焔間さん、少し温まる?」


「いえ、大丈夫です。」


「そう?最近冷え込むから風邪ひかないでね。」


(誰かウワサしているのかな…。それとも…はなたちに撮影したことがバレたのかな…。)


つづく!

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