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第34話 朗読

~常盤わかばside~


日本文学に精通している私は、平安館小学校の国語の授業の音読の手本となるために朗読を収録する。


平安館だけでなく京都府の全小中学校にも配布予定で、京都の小さなスタジオで朗読をする。


今回の収録作品は…芥川龍之介さんの「蜘蛛の糸」、「河童」、「羅生門」、夏目漱石さんの「吾輩は猫である」、「坊ちゃん」、「こころ」、「それから」、森鴎外さんの「舞姫」、川端康成さんの「雪国」」、「眠れる美女」、太宰治さんの「走れメロス」、「人間失格」になる。


今回の参加者は私含めて声優の清水サリさん、落語家の笑鶴亭両兵衛(しょうつるてい・りょうべえ)さん、そして歌舞伎俳優の片岡篤ノ介さんと豪華な先輩方になる。


「それじゃあ皆さんよろしくお願いします。それぞれの担当はもう決まってます。今から配る資料を見て各自スタジオに行くようお願いします。」


「私、清水サリは羅生門と舞姫、眠れる美女ね。」


「ワシ、笑鶴亭両兵衛は吾輩は猫であると雪国、そして走れメロスかぁ。」


「僕、片岡篤ノ介は河童とこころ、それからだね。」


「そして私、常盤わかばは…蜘蛛の糸と坊ちゃん、そして人間失格ですね。」


「わかばちゃんは朗読がはじめてだから最後にしておくね。まぁ日本文学を普段から嗜んでいるから大丈夫だと思うけど。」


「はい。」


「緊張せんでもええよ。わかばちゃんのおばあちゃんは日本文学界でもスゴイ人らしいんやろ?」


「おばあちゃんですか?」


「何せ常盤早苗さんだからね。私もよく彼女の本を読んで朗読の練習したのよ。」


「僕もよく歌舞伎で日本文学を原作にしてやってたんだよ。わかばちゃんはアイドルでこんな豪華な人たちに囲まれてるから凄い朗読力なんだろうね。」


「皆さんとご一緒できて光栄です。皆さんの朗読、参考にさせていただきます。」


清水さんは声優として多くの朗読会にも参加し、たくさんのお客さんの目の前でやってきたので経験が豊富ね。


笑鶴亭さんは落語で日本独自の節回しや自在な緩急が武器で、抑揚のある音読力で独特な世界観を創りだしていた。


そして片岡さんは歌舞伎で鍛え上げた声量と重く圧し掛かるくらい声に圧があり、すぐにその光景が浮かんでくる声色だった。


そして私の収録時間になり、私は曇ったメガネを拭きながらマイクの前に立つ。


「じゃあわかばちゃん、最初は蜘蛛の糸をお願いします。」


「よろしくお願いします。」


「それじゃあ…スタート!」


「蜘蛛の糸、芥川龍之介。語り手、常盤わかば。ある日の事でございます。御釈迦様おしゃかさまは極楽の蓮池はすいけのふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮はすの花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色きんいろの蕊ずいからは、何とも云えない好よい匂においが、絶間たえまなくあたりへ溢あふれて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう…」


「はいOKでーす!わかばちゃん手慣れているね!」


「ありがとうございます。」


「やっぱりおばあちゃんの影響かな?」


「はい。えっと…小さい頃によくおばあちゃんの朗読を寝る前に聴いていました。おばあちゃんも日本文学の筆者で、自分の作品に取り入れるためにいろんな方々の作品を読んでいました。」


「おお…これは他にも期待できそうだね…!次は坊ちゃんいこう!」


「坊ちゃん、夏目漱石。語り手、常盤わかば。親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使いに負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた…」


このまま2作品目も収録を終え、一発で終えられたことに少しホッとする。


最後の人間失格はドラマにもなった事があり、ある程度は学校でも知名度があった。


だからこそプレッシャーがあり、私はまた緊張でメガネが曇ってきた。


~京都駅周辺~


「ふむふむ、やはり人間が多いと公害が多いですね…。どうやって絶滅させましょうか…。」


「もしもし母さん?俺だよ俺、息子のタカヒロだよ。実はクレジットカードを落としちゃって、それを更新するには金が必要でさ。今から教える口座に100万振り込んでほしいんだ。」


「おいユータ!ここのコンビニからお菓子を万引きしろよ!じゃないと絶交だからな!バレたらお前が勝手にやったって事にするぞ!」


「さぁ行きましょうポチ公。片づけるのめんどくさいもの。」


「人間は犯罪を犯してなんぼの生き物ですからね。では少しばかり獄魔として生まれ変わらせ…ん?」


「きゃああああああああっ!」


「何だこいつは!」


「もう俺の人生はおしまいだ!ここで好きに暴れて死刑になってやる!うおおおおおおおおっ!」


「ほう、人間にも罪に対しての行動力があるのがいるとは…。彼を中心として罪魔を読んでみますか。さぁ醜い人間共よ、貴様らの罪魔を解き放ち、獄魔として生まれ変わりこの世を極楽浄土にするのです。」


「うっ…あああああああああああああああっ!」


~スタジオ内~


「緊急速報です。ただいま京都駅周辺で魔物が発生しております。今すぐに遠くへ避難し、安全を確保しましょう。」


「ええ…わかばちゃんの最後のシーンだったのに…。」


「すみません!急用を思い出しました!」


「え…わかばちゃん!何で急に!?」


「皆さんは早く避難を!京都駅に行ってきます!」


「そこって…やめなさい!って…行っちゃった…。」


京都駅周辺で罪魔の力の反応があり、どこかでザイマ一族の幹部が接触したと考察した私は急いで京都駅に向かった。


しかし私は運動が大の苦手で、走り込みをしていても体力がつかず、たった100メートル走っただけで疲れ果ててしまった。


そんな時に私に頼もしい助っ人が現れた。


「わかばさん!お待たせ!」


「ヒメギク!?どうしてここに!?」


「わかばさんが体力に自信がないと花柳先生から聞いたよ!私の馬に乗って京都駅に行こう!」


「ええ!お願いするわ!」


ヒメギクの黒くて大きな馬に乗り、彼女にしっかり捕まって京都駅に向かう。


その馬は激しい走りの割に安定感があり、あまり目線がブレずに体が揺らされることはなかった。


京都駅に着くと京都タワーを中心に獄魔たちが好き放題な行動をしていた。


「これは酷いわね…私が京都に平和を取り戻すわ!闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!そよ風に舞い誇ることワカバのごとく!常盤わかば!あなたたち…いい加減に愚かな行為をやめなさい!」


つづく!

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