第31話 不良になった理由
不良になってしまった彼らを助けるために塗り壁の立壁道夫さんによって防御力を上げる。
舎弟のみんなは魂となって元の身体へと還り、リーダー二人に杖を構える。
暴走族の大獄魔は鉄棒を振りかぶって一気に襲い掛かった。
「クタバレ!」
「クラエ!」
「うっ…!いくら杖でも鉄棒相手にはさすがに痺れるね…!」
「コノテイドカ…ガッカリダ!」
「ショセンハオンナダナ…ザコハダマッテシタガエ!」
「雑魚か…そうだね。君たちみたいに喧嘩は強くないし、心の闇を隠してまで強がることも出来ない。君たちは一体どれほど葛藤し、苦しんできたのだろうかと思うと胸が痛むよ…。」
「ナニガイイタイ…?」
「ただ大人のみんなに認められたかった、注目して自分という存在を示したかった、そしてちっぽけな自分を受け入れてほしかった。ドラマの見すぎかもしれないが、不良になった人はそうだと聞いたことがある。だからもう悪ぶったり自暴自棄にならなくていいんだ。浄化したら君たちの事を知るために話をしよう。」
「ハッタリダ…!ミンナクチダケソウイッテ…オレヲミステテ…オチコボレニシタ!」
「オマエナンカニ…オレノキモチガワカッテタマルカ!」
「そうか…。それなら少しだけ手荒いけれど…力ずくででも君たちの心の雨を晴れさせてあげるよ!曇天だった空が…バイクで走り抜けたら晴れ間が現れるようにね!」
「オラアァッ!」
「クソガアァッ!」
「甘い!やあぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「グフッ…!」
「ウグッ…!」
「辛い現実から逃げる事は悪いことじゃない…。逃げ方があまりにも短絡的すぎるんだよ。私だってちっぽけな存在さ…だからこそ私なりに頑張ってきたんだ。君たちだって出来るって信じてるから…私の気持ちを受け取ってほしい!五月雨豪烈打!」
「グワァァァァァァァァァッ!」
こうして暴走族のリーダー二人を浄化し、大獄魔は消えていった。
大獄魔は魂となって胸元へと還り、リーダー二人は意識を取り戻した。
舎弟たちも気が付き始め、抗争があったことすら忘れていたようだ。
そしてリーダー二人は目が合うと睨み合っていつ喧嘩が起きてもおかしくなかった。
「テメェ…何で俺の隣にいるんだよ!」
「こっちのセリフだボケェ!」
「待つんだ。そんなに荒んで何があったんだい?」
「ああ!?」
「何だてめぇ!」
「君たちの目を見ればわかるさ。どうして不良をやっているのか教えてくれないか?」
「ふざけんな!女ごときにわかってたまるかよ!」
「この女ぁ!タダで済むと思うなよ!オラアッ!」
「仕方ないな…ふんっ!」
「うわっ!」
「な…!」
「私はアイドルなのでね、あまり君たちには手は出したくないんだ。それとも…相手になるならこちらも本気で行くよ…?」
「こ、こいつ強い…!」
「タイガさん!」 「ドラゴさん!」
「こいつは藤野すみれですよ!俺はちょうど平安館女学校の子をナンパして止められた時に…つい頭に来て殴ろうとしたら俺たちを無傷で完膚なきまでに叩きのめしたんです!」
「お前が…あの藤野すみれ…!」
「ウチの舎弟が世話になっていたのか…!」
「ああ、君たちはファンクラブの子にナンパをしていた…。」
「なら相手にとって不足はねぇ!くらえっ!」
「暴走族のリーダーをなめんな!」
「ふぅ…すまない…!」
「うわっ!?」
「うおっ!?」
「これでわかったかい?君たちのように心が荒んでいては、私には絶対に勝てない。」
「くそっ…負けたわ…!」
「心か…俺が忘れてしまったものだな…。」
「君たちはどうしてそんなに世の中を恨み、暴走族になったんだい?」
「俺はな…両親が事故で死んで…小学校の時にいじめを受けて…悔しかったんだ…。そして当時の姉は高校をやめてホステスをやってたんだ…。それをいいことに学校の奴らは俺を貧乏だの親無しだの姉の水商売菌が移るぞって言われ…教師も誰も弁護してくれなかった…。だから…そんな俺をこんな理不尽な目に遭わせた世の中に復讐をしたかったんだ…。」
「俺は…お袋が男を作って夜逃げし、親父はそのショックで酒とギャンブルに溺れてしまったんだ…。その結果俺にまで虐待するようになってさ…。最終的に借金まで手を出して俺を置いて逃げやがったんだ…。そして俺がその借金を背負わされて…悪さをしてまで返さないと…俺は殺されちまうんだ…。こいつらだって…みんな学校や家族、そして世の中にひどい仕打ちを受けてきたんだ…。」
「そうだったのか…。タイガさんはお姉さん想いで家族の事を大切にしてきたんだね…。それが学校で理解されずに差別され、周りはみんな敵だって思うように…。ドラゴさんもご両親に見捨てられてずっと孤独だったんだね…。だから悪い事をしてでもお金を稼いで一人で抱え込んでいたんだね…。みんなも今まで辛い経験だったね…。」
「うう…ぐすっ…!」
「俺たち…これからどうすれば…!」
「もう大丈夫さ。後はちゃんと本音を話せる友達や大人の人に事情を話し、認めてくれなければ見捨て、助けてくれる人だけを大切にすればいい。私はアイドル月光花の一人、君たちが私たちを応援してくれるなら…私も君たちの事を応援するよ。」
「うう…負けたよ…!」
「タイガさん…!」
「俺…真面目になるわ…!」
「俺もッス…ドラゴさん…!」
「ところで…先程から殺気を感じるな…!そこにいるんだろう?ザイマ一族の幹部が。」
「ふははは!まさか貴様に殺気を感じられるとはな!そうだ、俺様がザイマ一族の豪傑、オニゴローだ!」
「オニゴロー…我の故郷を力ずくで破壊した悪いやつ…!」
「え…?立壁さんの故郷を…?」
「ああ…。」
「ところでさっきからテメェを倒そうとしたんだが…俺様のパワーでくたばりな!」
「うっ…!」
「お、おい…!」
「ほう、俺様の一撃をギリギリで耐えるとはな!テメェの事を気に入ったぜ!今回はその防御に免じてこのくらいにしてやるぜ!次に会う時がテメェの寿命だ!ふははははは!」
「あんた…あんな化け物と戦ってんのかよ…!」
「そうさ…やつらはザイマ一族。春日はなの家である人妖神社の神話に代々伝わる悪の一族さ。」
「そっか…そりゃあ俺たちじゃあ敵わねぇわけだな…。」
「春日はなって…あの人妖神社の巫女のか…。」
「そしてその春日はなを筆頭に月光花はアイドルをしながら、妖魔使いとしてザイマ一族と戦っているんだ。君たちを巻き込んでしまってすまない。」
「藤野さん…いや、すみれ姐さん!俺たちを男にしてください!」
「すみれ姐さんに俺らは惚れました!お願いします!」
「俺たちもお願いッス!」
「参ったな…私は一応中学3年なんだけどな…。」
「年下でも構わないです!」
「姐さんの強さとカッコよさに惚れました!」
「俺たち、姐さんが認めてくれるまで土下座やめねぇッス!」
「心に決めたら真っ直ぐ突き進む…暴走族も悪くはないね。それじゃあよかったら、京都パープルサンバの応援をしてほしい。私からスタッフさんに説明をするよ。」
「ごっつあんです!」
こうして私は虎ノ門タイガさんと龍ヶ崎ドラゴさん率いる白虎爆走隊と神龍暴走族のみんなとサッカー観戦をする。
立壁さんも無口ながらもう一度人間の姿になり、彼らの真っ直ぐな目を見守っていた。
サポーターのみんなも理解してくれたみたいで、むしろ応援してくれる人が増えたことに喜んでいた。
同時に今までの辛い人生に涙を流す人もいて、彼らにも愛を感じることが出来ただろう。
そして京都パープルサンバはエフユナイテッド千葉に猛攻を続け、ついに後半のアディショナルタイムで逆転ゴールを決めた。
李選手も満足そうに他の選手に抱きつき、暴走族のみんなはサッカーってスゴイなと感動を抑えられなかった。
そして翌日、タイガさんとドラゴさんによって月光花ファンクラブが作られ、妖怪たちも入会するなどファンが着実に増えていった。
つづく!




