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第30話 サッカースタジアム

~藤野すみれside~


私は京都パープルスタジアムで京都パープルサンバ対エフユナイテッド千葉の始球式に参加する。


パープルサンバはセカンドリーグに落ちてからもうしばらく経ち、今年は大きな補強でチームは強くなってきた。


ゲーム会社の新天堂がメインスポンサーになり、今年こそファーストリーグを狙う。


そのためにサポーターでありアイドルである私は京都パープルサンバの始球式に呼ばれたんだ。


元・日本代表で韓国系日本人の李孝則(リ・タカノリ)選手がそばに駆け寄って来た。


「君が花柳小次郎さんの期待の新星だね。直接会うのははじめてだね。藤野すみれさん。」


「お会いできて光栄です。スタジアムでいつも応援しています。」


「知ってるさ、いつも最前列で10年間応援していた女の子だよね。応援届いてるよ、いつもありがとう。」


「今年こそは私もファーストリーグ昇格のサポートします。」


「さぁお待たせしました!我らが京都パープルサンバを10年間も応援してくれた京都の新星アイドルユニット、月光花から藤野すみれちゃんが始球式に参戦だ!すみれちゃんのシュートは決まるのかな?」


「少しだけ緊張してきたよ…。」


「大丈夫、君はあれだけ練習したじゃないか。あのキーパーの安藤勇大さんに気持ちを込めてシュートしてごらん。」


「わかりました…。すぅ~…はぁ~…。よし、いきます!それっ!」


「うおっ!?」


「おお!ナイスシュート!」


「これは女の子とは思えない強烈なシュート!やはり月光花の貴公子はダテじゃないぞ!」


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「すみれさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「ありがとう!私の出番はここで終わるけれど、私からのお願いがあります!どうか私が終わったからとそのまま帰らずに、選手たちがサッカーを全力で頑張る姿をご覧になってください!サッカーは点がなかなか入らないけれど、その一瞬一瞬が見逃せないスリリングなスポーツだよ!最後まで観ていってください!」


「はい!」


「安藤さん、藤野さんは不思議なオーラを感じますね。」


「リーくんもそう思うか?俺も不思議と惹かれるんだ。」


「ここまでカッコいい女の子なんてレアだもんな。俺たちパープルサンバも負けてられないぞ。」


「はい!監督!」


「ではキックオフ!」


こうして試合が始まり、序盤はエフユナイテッド千葉のペースになっていった。


MFの熊野アンドリュー選手が斬り込んでドリブルし、ついに安藤選手の元にFWの佐藤寿敏選手の強烈なシュートが跳んできた。


「くっ…!」


「なんといきなりゴール!京都が序盤から守備が乱れたぞ!」


「切り替えていこう!怯んでたら同じ事を繰り返してしまう!」


「これから逆転していくぞ!」


「パープルサンバ!パープルサンバ!」


「すみれ…大きくなったな…。」


「立壁さん、今日も応援に来てくれたんですね。」


「当然だ…。我はこのチームが好きだ…。君も同じ…。」


「ふふっ、私が小さい頃はファーストリーグで優勝したこともありました。その光景を見てこのチームに憧れました。ですが…選手同士の喧嘩事件以来、チームは崩壊して翌年に落ちましたね。」


「うむ…だが我らは見捨てずに応援した…。それが唯一の誇り…。すみれ…京都人として…応援だ…。」


「はい。立壁さんも苦手な大声を出してくださいね。」


「参ったな…すみれに言われると…ぐうの音も出ない…。」


「ほらそこ!私語よりも声を出して応援してくれい!」


「すみません。パープルサンバ!パープルサンバ!」


観客席で応援すると、立壁大五郎さんが静かに声をかけ、3年ぶりの再会に喜びを味わいたかったが、そんな余裕はなかった。


応援が足りなかったのか、選手たちの動きも鈍くなってきた。


その代わりにエフユナイテッド千葉は調子を上げてきて徐々に加速していった。


このままチームは負けてしまうのか…。


~パープルサンバスタジアム外~


「よぉ…しばらくぶりだな…!?」


「テメェとは決着つけなきゃって思ってたんだよなぁ…!」


「覚悟しろよ!白虎爆走隊の虎ノ門タイガ!」


「それはこっちのセリフだ!神龍暴走族の龍ヶ崎ドラゴ!」


「暴走族の抗争か!はははは!もっとやりやがれ!だが…これでは力が足りん!さぁ暴走族共!力ずくで罪魔を解き放ち、獄魔として生まれ変わって人間共の悪しき心に染まれ!」


「うがっ…うああああああああああああっ!」


~パープルサンバスタジアム~


「おや?何やらバイクのエンジン音の騒音が試合の邪魔をしているようですね?」


「あーっと!警備員たちが化け物に襲われています!これは試合中断です!」


「何だって…?まさか…!」


「ちょっとそこの君!どこに行くんだ!?」


「皆さんはスタジアムで避難をしてください!」


「……………。」


私は大きな罪魔の力を感じ、すぐにスタジアムの外へ駆け寄った。


警備員の人は全員避難を済ませ、警察が駆けつけるも拳銃での威嚇も通用せず、バイクで走り回って暴れていた。


その惨状を見てすぐに懐から篠笛を取り出し、変身するために怪しく吹いた。


「闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!時雨に咲き誇ることスミレのごとく!藤野すみれ!君たちの暴走を…止めてみせる!」


「ジャマナザコガ…!コウソウノジャマヲスルナ!」


「テメェラ…!ヤレ!」


「オラオラオラオラー…!」


「力任せに立ち向かっても私には勝てないさ!はあぁぁぁぁぁぁっ!」


「ウアァァァァァッ…!」


「コノヤロウ…!ナラソノブキヲウバエ!」


「ヨコセ…!」


「しまった…!」


「ヘヘヘ…クラエ!」


「うっ…!」


「イイオンナダナ…ソノママツレサロウゼ…!」


「ウス…!」


「くっ…!」


武器を手から離され、武術で抵抗しようも彼らは暴走族で喧嘩のプロだ。


いくら杖道や殺陣での武術に慣れていると言えど、不良とはいえ一般人に手を出すことは許されない。


このまま私はやられてしまうのか…と思った瞬間、立壁さんが人間から姿を変えて私に憑依した。


「立壁さん…?」


「黙っててすまない…。我の正体は…妖怪・塗り壁…。」


「塗り壁…?」


「これで…防御力上がる…。痛みも少ない…。自分だけじゃない…仲間も…守る…。」


「立壁さん…あなたに出会えたことを誇りに思います!」


私は武器を奪われて鉄棒で殴りかけられるも、立壁さんの能力で防御力が上がり、私の体は壁のように硬くなった。


同時に逃げようものなら土魔法で岩の壁を作って道を塞ぎ、ようやく杖を手に戻して舎弟たちを浄化した。


残るは敵対同士の総長二人で、私はその二人の大獄魔とにらみ合った。


「そんなに二人とも喧嘩ばかりして…何があったんだい?」


「ダマレ…テメェニハワカルマイ…!」


「ヨノナカハ…テキシカイナイ…!」


「ニンゲンハ…ドイツモコイツモテキダ!」


「なるほど…不良によくある世の中への不満だね。ならば浄化したらゆっくり君たちの話を聞こう。それまでもう少しだけ痛いの耐えてほしい。」


「オマエニ…オレノナニガワカル!」


「フザケルナ…ユルサネェ!」


二人の大獄魔はどこか世の中を冷めた目で見ていて、過去に辛い経験があったのだとすぐにわかった。


この心の荒み具合はおそらく誰も彼らの事を認めてくれず、ずっと孤独と恐怖に苦しんでいたのだろう。


早くこの罪魔から解放しなければ…彼らはまた悪評が広がってさらに不良を拗らせてしまう。


急いで彼らの魂を浄化しなければ…。


つづく!

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