第2話 ザイマ奇襲~妖魔の力
「え…?はな、ザイマ一族を知っているの?てかザイマ一族って何…?」
「うん…おじいちゃんから聞いた遠い昔の話だよ。私の遠いご先祖さまはね、実は妖怪を率いる妖魔大王の付き人だったんだ。妖魔大王はザイマ一族との戦いに勝利するもそのまま息を引き取って、そんなご先祖様が妖魔大王を祀って、人間と妖怪を繋いでいたのがここ、人妖神社なんだ。」
「そうだったんだ…。それがはなの家に伝わる神話の真実…!」
「ザイマ一族…パパの仇…ここで晴らす!」
「ジャマ…スルナ…!」
「きゃああっ!」
「妖魔大王の娘よ、我々の邪魔をするではない!我々は妖魔界だけでなく、人間界を支配し、ザイマ一族がこの地上を極楽浄土にするのだ!」
「くっ…こんな時に…!妖魔の力を宿る人間がいれば…!」
「へぇ、まだあの忌々しい妖魔の力に頼るのね。やっぱりまだまだ子どものようね。」
「イキル…イキル…!ワタシダケ…イキノコル…!」
「待って!」
「はな!」
「ニンゲン…マダイタ…!」
「てめぇ…忌々しい妖魔大王の付き人と似ているな!」
「せっかく人間と妖怪が和解し、こうやって平和に過ごしてきたのに…どうしてあなたたちは人間を滅ぼそうとするの?」
「簡単な事だ。人間とは生まれた時から罪を背負い、その罪に対して何も思ってはいない。そんな罪や欲望だらけの下等生物など、この地上では邪魔なだけだ。人間は全員地獄界で裁かれ、自然だけが過ごす極楽浄土を創りだすのだ。」
「そんな勝手なことさせない…!私は…妖魔一族の末裔、春日はな…。今まで罪を重ねつつも反省し、前を進み続けた人間たち…その人間たちに出来ない高度な魔法で文明と信仰を与えた妖怪たち…!その別種族が共存して支え合っているのが…ここ京都なんだよ!私は…その京都を守り、種族を越えた友情や友愛を大事にしたい!」
「はな…!うん!私もそう思う!難しい事はわからないけど…私もはなのご先祖様が長い間大切にしてきた想いを守りたい!確かに人間たちには罪を犯し、それを反省せずに繰り返すこともあるけれど…全員がそうじゃないって言っても甘いだけだって言われるかもしれないけど…それでも私は、はなの信じる未来を信じたい!」
「グオオオオオッ!?」
「この闇の魔力は…?」
「まさか…はな!」
「何これ…?篠笛…?」
「何か…闇に支配されるけど…悪い気がしない…?」
「あの…そこの方々!その篠笛を吹く前に…闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!と唱えて!」
「えっと…わかった!いくよ!はな!」
「うん!」
「闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!」
変身をするために篠笛を吹くと、闇の黒い霧とまばゆい月の光、そして自分自身の影が私たちを包み込み、面妖なオーラと共に私服から何か和装の動きやすい衣装になった。
私は黒の巫女装束と撫子色のミニ袴で、黒の足袋型ニーソックスに草履と大きな日本の和弓が装備された。
ひまわりちゃんは黒い浴衣衣装が向日葵色の帯に締められ、同じ黒の足袋型ニーソックスと草履、そして向日葵色の襷掛けがかけられ武器は足軽が装備していた槍が装備された。
「春風に咲き誇ることナデシコのごとく!春日はな!」
「真夏に咲き誇ることヒマワリのごとく!日向ひまわり!」
「ちっ…まぁいい!やっちゃうッス!」
「コロス…ワレダケイキノコル…!」
「危ない!」
「きゃっ!」
「はな…めっちゃ跳んでいる…!」
「すごい…!このままだと落下するから…えいっ!」
「グオッ…!」
「すごい…当たった…!」
「やるね!今度は私の番だよ!せいやー!」
「グフゥ…!」
「あなたたち!そのまま必殺技を放ってください!」
「うん!」
「オノレ…オノレェェェェェェェェ…!」
「あなたの自己中な心…浄化してあげます!撫子ノ流鏑馬!」
「私だっていくよ!夏ノ陽炎突き(なつのかげろうつき)!」
「アア…ジブンダケナンテ…マチガッテタ…!」
甲冑を着た魔物は私たちの必殺技で浄化され、その魂は普通のスーツを着た参拝客の男性の元に戻った。
必殺技の命中と同時に、さっきのザイマ一族が奇襲をかけた時に自分だけ助かろうと命乞いをしてしまったみたい。
同時に泣き叫ぶ子どもを邪魔者扱いし、生き残ろうとしたところにその隙を突かれて魔物になった。
魂が戻ると男性の胸の穴が塞がり、ついに意識を取り戻した。
「うう…ここは…?」
「大丈夫ですか?もうあの化け物はいません。」
「君たちが助けてくれたのか…。ありがとう、もう二度と自分だけ助かろうと他人を陥れないよ。これからはもう少し、心の余裕を持っていくよ。」
そう言って男性は頭を下げてお礼を言い、そのまま神社に一礼をして去って行った。
しかしそれでも禍々しい魔力は消える事がなく、燃え盛ってしまった目の前の神社と家は全焼してしまった。
私は家族の安否のために家に近づくと、身体中に痺れと熱さがほとばしり、そのまま突き飛ばされた。
「きゃあっ!」
「はな!何あれ…?はなの家が…結界に…!」
「何…あの黒い霧の悪魔は…!」
「貴様が妖魔大王の付き人の末裔なのは知っている。我はアクドー、ザイマ一族の主なる者だ。貴様の拠点である忌々しい神社は我々ザイマ一族が乗っ取った。返してほしければ人間を滅ぼすか、我々と戦い命を落とし、地獄で永遠の苦しみと、地上が極楽浄土になるのを見ていること、あるいは我々と手を組み極楽浄土にするのに協力することだ…。」
「そんな…!」
「待て!はなの家を返して!って…消えちゃった…。」
「はな!無事だったか!」
「お父さん!お母さん!おじいちゃんも!」
「どうやら奴らが現れた様じゃの…!」
「ひまわりちゃんも無事でよかったわ!それと…あの女の子は…?」
「えっと…」
「あなた方がパパの付き人の子孫の方々ですね。はじめまして、妖魔大王の一人娘のヒメギクです。あなた方は春日はなさんと、ママの春日撫子さん、パパの春日聖さん、おじいちゃんの春日守さんですね。それからあなたは…?」
「幼なじみの日向ひまわりです。」
「よろしくお願いします。あなた方二人には強い妖魔の力を感じました。でもあなた方の拠点は…」
「それなら心配はない。本社がとられたのは痛いが、支社である別荘なら無事だ。わしらは別荘で避難していたんじゃよ。」
「本当によかった…!」
「感動の再会は後だよ。はな、お父さんたちと一緒に別荘へ来なさい。ヒナギクさんもご同行願えますか?」
「はい。それに…妖魔界について話さないといけないので。」
「妖魔界に何か異変があったようね。詳しく聞きましょう。」
こうして家族と無事に再会できた私は、本社と家を失いつつも別荘である支社でヒメギクちゃんの話を聞く。
地上よりはるか下の世界にある妖魔界で何か異変があったとお母さんは言っていたけれど、あのザイマ一族と何か関係があるのかな?
もし人間と妖怪の信頼関係に傷が入ったら…また京都はあの時のように炎上してしまう。
そうならないために…ひまわりちゃんと一緒に京都を守らないと…!
つづく!




