第24話 通販の宣伝
~春日はなside~
私は衛星放送のアニメ専門チャンネルで流すCMに出演するために、京都のスタジオで撮影する。
書道の道具で、幼稚園くらいの年齢でも書道が体験できるおもちゃを宣伝する。
私はその撮影のために甚平に着替えて撮影の準備を進めた。
「春日さん、今日はよろしくお願いします!」
「はい!よろしくお願いします!」
「しかし春日さん、流鏑馬の時と違って結構人見知りなんだね。あの時はかなりカッコよかったよ。」
「そんな…私はただ夢中で…。」
「ははっ、謙虚な姿勢だね。それじゃあ実際にこのお習字らくがきを試してみて。」
「わかりました。」
私は書道の大手メーカー・サムライ文具が発売する「お習字らくがき」を試す。
実際に使ってみると、子どものラクガキボードに小さな筆型のタッチペンを使って字の練習をするためのもので、感覚が本物に近かった。
大手書道文具メーカーがここまで再現させるのに相当な研究費用を賭けたんだって思うと、この商品に期待できるかもしれない。
他の書道経験者の俳優さんの菅田勝さんや歌手のMISAさん、最近子育て系の動画を上げているセルフライバーのうたママさん、そしてもみじちゃんと一緒に教育番組に出演したひろみおねえさんもこのCMに出演し、コメントを残すなどの収録もする。
そしてナレーションの岩田光彦さんの収録も始まり、私たちは商品についてのコメントの撮影をした。
「あなたのお子さんに、書道を習わせたいけど…お値段が高くてまだ早いかな…。そんなご家庭に速報です!このお習字らくがきなら、小さなお子さんでも気軽に習字と同じ感覚で字を書く練習にもなります。簡単なひらがなやカタカナも…こんなにラクラク。そして何よりも、インクや墨汁を使う事がないので、垂れない、跳ねない、そして汚れない!この筆でなぞれば自動的に字がほら!浮かんできた!でもどうやって消せばいいの…?なんて思ってるなら待ってください!このバーを横にスライドするだけで何度も書けるようになるんです!ではお子さんだけでなく大人の方々にも聞いてみましょう!」
「これなら小さなお子さんでも墨汁を飲み込むことがなさそうだね。」
「筆が崩れたりしないから、買い直す事がなさそう。」
「我が子に試したおかげで、子どもが字が上手くなったのよ。」
「はじめて書道をする小さなお子さんなら、きっと楽しめるかも。」
「試してみた皆さんのご評判のよさとは裏腹に、この商品のお値段は4980円です!でもこれだけじゃありません!お子さんが一人だけでなく二人もいるよーってご家庭のお母さまもご安心ください!なななんとこの商品を2セットをこのCM終了30分以内にご注文いただければ4980円です!今すぐお電話を!」
「はいOKでーす!お疲れ様でした!」
「ありがとうございました!」
「春日さん、よかったら僕たちと一緒にお食事に行きませんか?」
「え…いいんですか…?」
「あの人妖神社の巫女さんでアイドルをやっている君と話す機会なんて滅多にないからね。私たちもあなたの事を知りたいわ。」
「うちの子がね、はなちゃんの流鏑馬を見てファンになったの。あの中継をテレビで見たわ。」
「そうでしたか。それじゃあ、お言葉に甘えます。」
「それじゃあ俺がおススメのすし屋に行こう!みんなで春日さんの分を分け合って払うからね!」
「それいいですね。僕も協力するよ。」
「あら、私もはなちゃんに驕っちゃうわよ。」
「ありがとうございます!」
共演者の皆さんは私の流鏑馬を見てくれて、そこから巫女でありアイドルである私の事を気にかけてくれていた。
人妖神社の大炎上の事はあえて誰も問い詰める事はなく、花柳先生の厳しい稽古の話や皆さんのお仕事のお話をたくさんした。
そしてすし屋さんに到着し、私は京都の名物のいなり寿司を注文した。
るりさんは京都のいなり寿司は食べると人生を得するといつも言っていた。
このお店もおススメの一つらしく、岩田光彦さんの常連の店だった。
先輩の皆さんのお話を聞けて、私ももっとアイドルを頑張ろうって思った。
~北大路地区~
「ふん、人間共は相変わらず余裕のない事ですね。さてと…人間共の不特定多数を獄魔化させる事は出来ますが、一際大きいのは…おや?」
「お前どこ見てんだよ!おい!」
「ひっ…すいません…!」
「気を付けろ!」
(そっちがぶつかったのに何だよ…!)
「あの強面を中心にしますか…。悪しき心を持つ人間共よ…汝らの奥に眠る罪魔を解き放ち…獄魔として生まれ変わりなさい!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
~すし屋~
「おい、何か外が騒がしいぞ?」
「何か事件かしら?」
「お客さんはここで待ってな。アッシが見に行くぜい。」
「何か悪い予感がする…。」
「春日さん…?」
「ひいいいいいいいいっ!」
「大将!どうした!?」
「ば…化け物が大勢いて…人々が倒れてて…街を襲ってるぜ!お客さんはうちの店で避難してくれい!」
「化け物…人々が倒れてて…まさか…!」
「お嬢ちゃん!うちの中にいるんだよ!」
「春日さん!今は外に出ると…」
「人妖神社の巫女としてこの事件を見逃せないです!皆さんはここで待っててください!」
「春日さん…!」
嫌な胸騒ぎが起こり始め、私は走りながら罪魔の気を探る。
一番大きな罪魔の力は北大路通りにいて、そこを目掛けて全力で走った。
そこには揉めた後なのか二人の男性が横たわり、その周りの人々も倒れてて全員の胸に空洞があった。
人々は自分だけ助かろうと逃げ惑い、人間に変身していた妖怪たちも化けるどころじゃなくなったのか、本来の姿のまま逃げ惑っていた。
「ウウ…ニンゲン…ジャマ…!」
「怖いけど…戦わないと…!闇に潜む黒き影よ…我に力を与えよ!妖魔変化!」
今までとは違う獄魔の多さ、そして一際大きい獄魔の姿に恐怖心を抱きながら懐から篠笛を取り出し、変身のために怪しく吹く。
そしていつもの黒と撫子色の巫女装束に変身し、和弓を装備して名乗りを上げる。
「春風に咲き誇ることナデシコのごとく!春日はな!何が起こったかわからないけど…この町は守る!」
「ジャマナニンゲン…マダイタ…!オレノミチダ…ドケ!」
「きゃっ…!こんなに大勢の獄魔が…!弓では対処できない…!」
「コノテイドカ…!ニゲルダケトハムダナコトヲ…!」
「あれ…何だろう…?力がみなぎってくる…?」
「ソコヲドケ…!」
「これなら接近戦でも…戦える!はぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ウア…!」
「他の大勢の獄魔なら素手でも戦える…!日本武術の格闘術が頭に浮かぶ…!そしてとどめは…これだっ!」
「ウア~~~~~~…!」
「オノレ…コシャクナ…!」
「やっぱり大獄魔はそうはいかないんだ…!」
「ココハオレノミチ…!ジャマスルナラ…ドケ!」
「きゃあっ!」
今まで浄化した獄魔たちは魂となって人々の胸に戻ったけれど、まだ意識がない状態が続いていた。
おそらくこの大獄魔を倒さなければ、まだ胸が開いている男性も元に戻らず、まだ意識が戻っていないみんなも気が付くことはない。
わかってはいるけれど、大獄魔の力が圧倒的で私一人では勝てる気がしなかった。
このまま追い詰められてしまうのかな…?
つづく!




