第23話 ザイマ一族
私は両親とおじいちゃん、そしてヒメギクちゃんや月光花の仲間たちを集めて支社で会議を行う。
人妖神話にはいなかったあの5人の妖怪は何者なのかをまだヒメギクちゃんから聞いてはいたけれど、詳しい事はまだだった。
そのために全員で集まって作戦会議をする。
「それじゃあみんな、くれぐれも気を落とすでないぞ。」
「はい、はなさんのおじいさん。」
「ひまわりちゃんもうちの子をお願いね。」
「了解!」
「父さんたちはザイマが寄ってこない様に結界を張って見張ってるからね。」
「うん。ありがとう。」
「それじゃあ皆さん集まりましたね。これから私はザイマ一族について詳しく話します。はなは巫女としてある程度知っているけれど、まだ幹部の5人については知らなかったよね。」
「うん、あの5人は誰かな?」
「ザイマ一族に会った事はないけれど、よほどの危険な組織って事だね。」
「はな先輩たちは今までそんな強者と戦っていたのですね。」
「話しても信じてもらえない状況とはいえ、私たちにももっと早くそんな組織があったことを知らせてほしかったものだな。」
「すみません…。」
「まぁ過ぎたことは仕方ないわ。それよりザイマ一族について話せるかしら?はなは巫女だから少しは知っているみたいだけど、幼なじみのひまわりでさえ知らなかったザイマ一族ってどんなやつらなのかしら?」
「まず神話については私が話します。西暦が終わる頃、日本は第三次世界大戦の連合国として参加し、世界中が核兵器や生物・化学兵器に見舞われた時、日本だけは戦争どころではなく、京都で一人の人間がザイマとして目覚め、京都に災いを降り注いだ。妖怪たちを束ねて人間界を支配しようとしたの。そんな時に妖怪の力である妖魔が最も強かった人間だった私のパパ…今は暗殺された妖魔大王が禁術を使って地獄に封印した。そして禁術の副作用で人間ではなくなり、人々から恐怖の対象になったの。そこで妖怪たちを束ねる新たな王、妖魔大王として人間たちにも妖魔を宿らせ、自身は妖魔界を創ってそこに居場所を得た。その入り口として妖魔大王を祀り、人間と妖怪の絆を誓い合った場所が…」
「私の家の人妖神社…。そしてその人間から妖怪になった妖魔大王の一番弟子で実の弟の私のご先祖様は神社を建てて、人間と妖怪の絆を結ぶ神社、人妖神社が建てられたんだ。ここまでは私が知っている範囲。それ以降は妖魔界はどうなったかはわからないけど、妖怪たちは人間との交流を深め、妖魔界は2000年間も平和を保ったくらいかな。」
「ところが地獄でザイマであるアクドーは…いつの間にか5人の子どもが生まれ、その子どもたちを率いてパパを暗殺し、妖魔界を混乱に陥らせ、人間界に復讐のために人妖神社を燃やして略奪した。」
「本当にひどいよ…。家族やみんなが全員無事だったとはいえ…私の大切な家を…。」
「はなさん…私たちで取り返しましょう。はなさんの無念を私たちもご一緒するでございます。」
「るりさん…。」
「それで…その5人の子どもたちは…どんな奴らなの?」
「まず長男のオロチマル。奴は人間に潜む悪い心を利用して自分は高みの見物をする悪の中の悪だよ。そして奴は誰かを利用して世界を混乱させることを喜びとするサディスト。私が最も苦手とする幹部…。」
「悪しき心の支配者ですね…!」
「次に次男のアマジャーク。どんな残虐な手をも使う卑怯者で、自分は戦わずに破壊は全部獄魔任せにするくらい計算高い奴。一見紳士的だけれど騙されないで。そうやって近づかせて後で痛い目に遭わせるのが好きだから。」
「卑怯者は私にとっての天敵ね…!」
「次に長女サトリーヌ。妖怪の心は読めないけれど、人間の心だけは簡単に読むことが出来る心理戦の天才。そしてその心を読まれたら最後、心を無理矢理開かせて人格を破壊して思い通りにさせるの。魔性の女と言ったところかな。」
「美しさ利用するだなんて…許せないでございます…!」
「次に三男オニゴロウ。奴は力任せの戦術を好み、ただただ人間界を破壊することしか考えてない。気が短くて暴力と暴言を好み、力で人間を支配して服従させる、まさに豪傑。奴のパワーは力自慢の赤鬼たちでも敵わなかった。」
「力比べでの戦いになりそうだね…!」
「最後に四男ドクロスケ。一見チャラチャラしてて親しみやすい雰囲気だけど、性根は誰にでも見下し、自分の欲望にとても忠実で欲望が叶わないと敵のせいにして暴れ回る戦闘狂。人間の事はどうでもよく、自分が住みやすい極楽浄土になればそれでいいみたい。」
「何て軽薄かつ煩悩だらけなのだ…!」
「ただアクドーは元々は人間の男性で、本来ならアクドー自身が子どもを生み出すのは不可能…。となれば誰かがアクドーにザイマとしての能力を渡したとすれば…。」
「とにかくアクドーを倒せばザイマ一族は滅ぶって事だよね?」
「そうなるね。でも気を付けて、最近様子を見に行ったら…何かいつもの獄魔召喚とは違う方法を見つけたみたいなの。きっとより大勢の人間から罪魔の力を集めてより強い獄魔を生み出すのかもしれない…!」
「そんな…まだ獄魔は強くなるってこと…?」
「最悪そうかもしれないね…。」
コンコン
「はい?」
「失礼します。天風ハヤテです。」
「どうぞ。」
「姫さま、無事だったのですね。はなちゃんもご一緒とはね。」
「ハヤテさん、どうしてここに?」
「これ、ほんの小さな気持ちですが差し入れです。天狗界で有名な人間界の和食、芋羊羹です。」
「これは…!あの芋菓子の名店である芋丁さんの…!」
「おや、もみじは知っているのかい?」
「知ってるも何も京都でも芋菓子の名店と言われていて、日本で一番の芋羊羹とテレビで紹介された創業3200年も誇る超老舗の名店です!私はそのお店のこの芋羊羹を愛用しています!もちろん他のお店やスーパーやコンビニのもそれぞれの素晴らしさがありますが、これは別格です!」
「お、おお…よくご存知で…。」
「ねぇひまわり…月光花って好きなものになると性格が変わる人が多いんじゃないかしら?」
「はなは書道でものすごい集中力と流鏑馬での気迫、るりは日舞になるとゾーンに入り、もみじは芋羊羹になると語り癖が強く、そしてわかばは盆栽になるとより頑固さが出てるけどね♪」
「もう!それはみんなに内緒って同じ現場の時に言ったでしょ!」
「ふっ、わかばはおじいさんの頑固なところが似たのかもしれないな。」
「あーもう…だから秘密にしてたのよ!」
「まぁひまわりも囲碁や将棋になると普段のトラブルメーカーが陰りを見せ、とんでもない名将になるじゃないか。」
「えへへ…陽二郎おじいちゃんがいい加減なところあるけど、将棋になるとカッコいいんだよ!光太郎おじいちゃんは堅いけどシャイなんだ。」
「でもひまわりさんは光太郎さんにはにてないでございますね。」
「それ言わない約束ー!」
「皆さん…ザイマ一族の幹部の話をしても怖くないの…?」
「正直怖いけど…ここで逃げたら私の家は取り返せないし、妖怪たちと長年で築き上げた絆を壊したくない。何よりも大好きな京都を守りたいって気持ちがあるから戦うよ。このリラックスした空気は恐怖を追い払うためのものでもあるんだ。あんまり張り詰めると心まで疲れて戦う気をなくしちゃうかもしれないしね。」
「そっか…みんなの事をよく分かった気がした。ただふざけているわけではなく、あえてそうする事で鼓舞しているって事が。それにアイドルもやってるし、笑顔が消えたらファンにも顔向けできないよね。」
「姫さまの言う通りですよ。私たち妖怪の星でもあるからね。月光花にはアイドルとして輝き、妖魔使いとして誇り高く戦ってほしい。私たち妖怪も協力する。負けないでね。」
「はい!」
幹部の話を聞いたときは怖くて逃げ出したかったけれど、お父さんやお母さんが結界を張り、おじいちゃんは妖怪たちを集めて月光花のバックアップをさせてくれた。
家族で過ごした家を取り戻すために、妖怪たちと長い間築き上げてきた絆のために、ザイマとの因縁の戦いを終わらせて京都に平和を与えるために、月光花はアイドルとの二足のわらじで頑張ります!
つづく!




