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第19話 お散歩日和

~常盤わかばside~


宇治テレビさんの企画で京都の街並みをお散歩する15分の教育ミニ番組が企画され、私と紺野先輩でそのメイン出演を果たす。


しかし梅雨の雨が例年より長引き、企画は今月では打ち切りにするという噂が流れていた。


それでもせっかくのチャンスを失いたくない私たちは、雨用の浴衣を自前で用意し、梅雨だからこそ出来るお散歩コースをしようとテレビ局に申し出た。


するとディレクターさんも一本取られたなという顔で企画は進み、本番を迎えた。


「皆さんごきげんよう。紺野るりと…」


「常盤わかばの京都ゆるりお散歩です。」


「わかばさんお姉さんと共に、地元京都府の隠されたお散歩コースを子どもたちに情報を与える番組でございます。」


「るりお姉さんと一緒に、梅雨という事で雨模様の浴衣を用意しました。今日はよい子のみんなと一緒にアジサイで有名なお寺さんに行くわよ。ではお姉さんたちについて来てね。」


「わかばお姉さん、今日は雨がしとしとと降ってるでございますね。」


「だからこそこの唐傘が和を表現してて情緒あって好きですね。」


「うふふ、わかばお姉さんは日本の四季のよさをご理解していらっしゃるでございますね。」


「四季の光景が美しいのが、ここ京都のいいところでもありますので。るりお姉さんもきっと感じると思いますよ?」


「そうでございますね。ほら、着きましたでございます。ここがアジサイで有名な…」


三室戸寺(みむろどじ)ね。ここなら雨の中でも傘をさしてお散歩出来るわ。さぁ、梅雨の季節をみんなで感じましょう。」


私たちは三室戸寺の和尚さんに声をかけ、親子でお散歩するおススメのコースを紹介する。


浴衣美人が訪れたと和尚さんに茶化され、お寺のお坊さんたちは嬉しそうだった。


一度休憩に入り、和尚さんが大福を差し入れしてくれた。


縁側に座って大福を堪能し、お茶をゆっくり飲んでお散歩コースを紹介する。


「ここが山門でございますね。」


「大きな門ですね。」


「ご覧ください。私の傍には色とりどりのアジサイが咲き誇っているでございます。」


「アジサイには3色あるんですよ。土の成分が酸性ですと青くなり、アルカリ性ですとピンク色になります。では真ん中である中性になると何色になるでしょうか?」


「良い子の皆さま、10秒でお答えくださいね。」


~10秒後~


「では正解を発表します。和尚さん、それは何色ですか?」


「正解は…紫色です。ただ中性でも酸性寄りだと青紫に、アルカリ性寄りだと赤紫になるなど、成分によってアジサイは色を変えるのですよ。」


「なるほど~、アジサイは不思議なお花でございますね。」


「あ、よい子のみんなはアジサイをお口に入れないようにね?お腹を壊したりするからね?」


「えっ…そうでございますか…?」


「ほっほっほ…まぁ、そう簡単には食べないと思いますよ?でも小さい子は何をするかわかりませんからなぁ。」


「よい子の皆さんは、わかばお姉さんと和尚さんの言う事を聞くのでございますよ?」


「続いては…石庭という日本のお庭です。見てください、大きな松の木が雨のしずくに滴って美しい姿ですよ。」


「雨の中でもお散歩をすれば、きっと新しい世界が見えると思うでございます。」


「あら、少しだけメガネが曇っちゃったわ…。」


「あらあら、わかばお姉さん。少し暑くなったでございますか?はい、ハンカチでございます。」


「ありがとうございます、るりお姉さん。」


「最後に訪れましたのは、この三室戸寺の本殿でございます。」


「さて、私たちの心を綺麗にために御参りしましょう。」


三室戸寺の本殿で仏さまに御参りし、私たちの中にある邪念を追い払い、迷いと欲望を抑え込む。


和尚さんが御参りのルールを説明し、静かに仏さまに礼をする。


最後に花の茶屋にお邪魔し、お寺では珍しいパフェをご馳走する。


「このパフェはアジサイをイメージしたものですね。梅雨のジメジメした暑さを和らげてくれる冷たさ、まさにいい季節ね。」


「茶そばもすごく美味でございます。ここは期間限定でございますか?」


「ええ、来月までこのお店は開いております。あなた方みたいな大和撫子の美人さんが訪れてお客さんもきっと多く訪れるでしょう。雨の中来てくれてありがとう。」


店員さんもとても優しい方で、期間限定なのが惜しいくらいの美味しい茶屋だった。


他にもツツジやシャクナゲの道もお散歩し、雨の中をどうやって外で過ごすかを紺野先輩と共にした。


収録を終えて事務所に帰る時、紺野先輩は私にある案を提案する。


「あの…私から提案がございます。」


「何ですか?月光花の今後の事ですか?」


「ええ、私は皆さんと出会えた事と、共にアイドルとして活動出来る事を誇りに思います。ただ…学校では先輩後輩の関係があまりにも表に出ているのでございます。それで皆さんが委縮して意見を言えないのではと憂いているのでございます。」


「となると…もしかして…?」


「はい。今後の月光花のために、アイドルとしては先輩後輩禁止にしませんか?私はまだ先輩らしいことを一切していないでございます。それに…後輩の方から学べるものも、先輩という壁で学ぶ機会を失い、委縮してしまうでございます。」


「なるほど…じゃあこうしましょう。基本は友達と同じ話し方をする。さん付けや敬語は自由にする。でも学校では表に出さない事。それでいいでしょうか?」


「はい。それでしたら皆さんともっと距離を縮められるでございます。」


「えっと…るりさん…。」


「はい…。」


「何か…照れくさいわね。先輩なのに名前で呼ぶ上にタメ口だなんて…。」


「うふふ、最初は慣れないものでございますよ?私は普段からこの口調でございますのでお気になさらず。ね?わかばさん♪」


「うう…みんなに何て説明したらいいのかしら…?」


「恥ずかしさのあまりにメガネが曇ってますね?ハンカチお貸ししましょうか?」


「お借りします…。」


今日から先輩後輩の壁はるりさんによって壊され、今後のコミュニケーションを取りやすくなる。


私は少しだけ堅苦しい性格なので最初は照れくさい上に礼儀を気にしてしまうかもしれない。


ひまわりやすみれ、つばきならすぐに打ち解けられるけれど、最年少のもみじや人見知りのはなは私同様に時間はかかるかしらね。


またるりさんの先輩としての器の大きさと心の美しさ、そして大人の余裕を見せられ、リーダーとしてはまだまだねと実感するのでした。


つづく!

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