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第121話 最終話 月光花

世界ツアーファイナルライブin大阪もアンコールになり、みんなはアンコール衣装であるライブ用の法被を着てステージに上がる。


ファンのみんなは嬉しそうにみんなを迎え入れ7色のサイリウムを振る。


最後の曲は私が花柳先生には内緒で作った卒業をテーマにした新曲で締めくくる。


それを歌う前にみんなはMCトークで今後の月光花についてファンに伝える。


「みんなアンコールありがとう!私たちはこの世界ツアーを最後までやれた事にちょっとホッとしているよ!これも世界中のみんなのおかげだよ!本当にありがとうー!」


「世界中を旅して月光花がこんなに愛されているなんて思いませんでした。アルコバレーノやSBY48さんに敗れても世界には私たちがトップだと信じる者もいました。世界中のファンのおかげで最期を迎えられたことを感謝します。はな先輩、出番ですよ?」


「うう…うう…!」


「わかったよ。そばで泣いているはなに変わって私からいこうか。この中にはきっと妖魔界から駆けつけた妖怪たちもいるけれど、人間と妖怪がひとつになって私たちを応援してくれることを嬉しく思うよ。その喜びを胸に…月光花はこれからも頑張ります。」


「本当に長い世界ツアーの中で複数も参加したファンがいるらしいな。私たちのためにここまで駆けつけ、そして応援してくださった。きっと長旅でお疲れであろう。初参加のファンの方も楽しめて何よりだ。最後の曲までよろしく頼む。」


「皆さまの応援のおかげで最後までやり遂げたでございます。ワールドアイドルオリンピックで敗退しても…悔しさをバネに世界に羽ばたいてみたら、いろんな世界が見えて私たちはまだやれると信じられたでございます。そして今日…こんなに素晴らしいライブが出来て嬉しく思うでございます。」


「うう…私ね…最初はアイドルなんて無理だって思ってたんだ…。でも…誘ってくれたひまわりちゃんや…アイドルをはじめてから一緒に歩んできたみんなや…アイドルになる事を許してくれた家族や学校のみんな…ずっと見守りながら応援してくれた人間や妖怪のファンのみんな…ありがとう!」


「ふぅ…さて、はなも泣き止んだところでリーダーの私が締めくくるわね。最初は私がリーダーでいいのかしら…みんな私の事を堅苦しいと思ってやめるんじゃないかしら…と不安だったけれど、その不安なんていつの間にかもうなくなったの。本当にかけがえのない仲間に出会えてよかった…。でもね…皆さんに悲しいお知らせがあるの…。」


「えっ…?」


「何…?」


「まさか解散…!?」


「そんな…!」


「やめないで!」


「いいえ!解散でも活動休止でも誰かが脱退するわけでもないわ!ただ…今のプロデューサーである花柳小次郎さんの下で今まで指導を受けて稽古に励み、仕事をもらったりライブをさせてもらったりと陰でいつも支えてくださった先生がいるの。でももう私たちを一流のアイドルと見込んで…プロデューサーである花柳小次郎先生のアイドルを卒業します!」


「えっ…?」


「どういうこと…?」


「えっとね…つまりこれからも月光花は活動を続けていくんだけどね!今までの体制を変えて新しいプロデューサーの下で活動を続けるってことなんだ!もちろん解散なんてそんなもったいない事しないし、せっかく全員家業からアイドルをしてもいいって許可をもらったから…」


「ひまわりちゃん…メタ発言はダメだよ…?」


「ああーーーーっ!」


「まったく、最後まで相変わらずトラブルを呼ぶのね…。」


「まぁそれがひまわりらしいじゃないか。戦の時のたくましさとは別人みたいで可愛げがあると思うぞ。」


「絶対馬鹿にしてるよね!?」


「つばき…私は本当にその柔軟適応力が欲しいわ…。」


「ふふっ。それじゃあその私たちの恩師に贈る新曲をお送りします。それでは聴いてください…。」


こうしてハプニングでグダグダになりながらも新曲を披露し、ファンのみんなを驚かせただけでなく花柳さん夫妻を感動させることに成功した。


実はこの曲は元々はセットリストに入ってなくて私がみんなと話し合って一緒に作詞作曲したから急遽入れてほしいとライブスタッフに頼み込んで入れたものになる。


お千代さんはみんなに勇姿に感動して涙を流し、花柳さんはそんなお千代さんの肩をポンっと叩いてそっと見守った。


そしてステージに暗転が入り、モニターには桜並木が並ぶ道が映りあの西暦時代からの卒業式の定番で名曲が流れた。


「それでは皆さん…花柳小次郎さんと花柳千代さんに来てもらいます!せんせーい!」


「皆の衆…これはどういう事だ…?」


「せーの…」


「「仰げば~尊し~わが師の~恩~♪教えの~庭にも~早~行くとせ~♪思えば~いと疾し~♪この~年月~♪今こそ~別れめ~…いざ~さら~ば~…♪」」


「旦那さま…これは…!」


「うむ…!」


「せーの…」


「「花柳先生!3年間ずっと…ありがとうございました!私たち月光花は…花柳小次郎のプロデュースから…卒業します!」」


「皆の衆…!某は…幸せ者すぎる…!」


「それから…焔間ヒメギクちゃん!いらっしゃい!」


「妖魔大王さま…!?」


「じゃああの子が新しいプロデューサー…!?」


「えっ…私…?何か用かな…?」


「せーの…」


「「妖魔大王さま!これからは…プロデュース!よろしくお願いします!」」


「うん…これからは私がプロデュースします!これからもよろしくね!花柳先生…お疲れ様でした!後の事は私に任せてください!」


「焔間さん…!」


「マジか…人間と妖怪の絆は…」


「永遠に不滅だぁーーーーーっ!」


「月光花!月光花!月光花!月光花!…」


「花柳コォーーーーーールっ!そーれっ!」


「花柳!花柳!花柳!花柳!…」


こうして世界ツアーファイナルライブは卒業証書を授与で締めくくり、ファンのみんなと一緒に仰げば尊しを合唱して花柳さんから卒業する。


あれから4年後…第2回ワールドオリンピックで前田あかりたちを筆頭にしたSBY48を下して2代目の金メダルを獲得。


私もトッププロデューサー賞を受賞して名実ともに世界の月光花となった。


花柳先生は花柳文化劇団芸能学校を設立して学校長を務め、養成所として発足しては芝居の特別講師として指導に回る。


お千代先生も舞踊レッスンの講師になり社長と校長の二足の草鞋(わらじ)で将来の日本文化人を育成する。


それから月光花は…アイドルから卒業してアーティストグループに進化し、世界の月光花伝説は始まったばかりだと言わんばかりにもっともっとファンを魅了していった。


そして私たちは大人になり…それぞれの幸せを掴み取った。


せっかくなので卒業から10年後のみんなに今どうしているか聞いてみようかな…。


「私は春日はな。平安館大学を卒業してすぐに婚約者である稲田大輝くんと実家の人妖神社で挙式を上げる。流鏑馬や書き初めなどの神事も続けアイドルとしても成功してから神社は大繁盛です。そして23歳の時に長男を、27歳で次男を出産して家業は安泰に入った。子育ても上手くいって将来は人妖神社の宮司として育てていき、サクラオーも子どもたちに懐いて少しだけ安心した。」


「私は日向ひまわり。平安館大学在学中に囲碁と将棋の棋士の資格を取得。それからデビュー戦ではいきなり二人の祖父と戦って勝利し、天才二刀流棋士現ると新聞にも載った。そして相変わらずはなとの付き合いは今も続いていて、はなの紹介でお見合いに成功して新婚になりました。今は初の子どもを妊娠中で京都の市立病院の産科で入院して出産待ちです。」


「紅葉もみじです。紅葉流忍術の跡継ぎは兄に決まり、私は兄の補佐として紅葉流を支えていきます。そして紅葉流にキッズコースも設けて準備体操に本家のニンニンニンジャ体操を取り入れて紅葉流忍術は大繁盛です。きららさんとの交流は今でも続き、ごくたまに彼女の幼なじみの神田ほたるさんとお茶を交わします。26歳になっても私は唯一の独身で結婚を少しだけ意識しています…(笑)。」


「藤野すみれです。私はアイドル引退後は女優として活動を広げ、時代劇の復活を目標に数々の時代劇の監督も務めるようになった。父さんも私の作品に出演し時代劇の復活は徐々に成功しつつある。プライベートでは塗壁(ぬりかべ)の立壁さんの紹介でお見合いをしてサッカーで気が合って同じ京都パープルサンバのファンと結婚したんだ。チームもファーストリーグに進出して嬉しいよ。」


「私は冬野つばき。平安館大学に在学中になぎなたで個人戦と団体戦を4連覇を果たしなぎなた部のレジェンドとなり、世界中になぎなたの普及を手伝ってほしいと世界なぎなた協会からオファーが来た。芸能人がやったことでさらにいい宣伝にもなり、姉と共に冬野なぎなた道場を設立、世界中の門下生と共になぎなたに励んだ。なぎなた系アーティストとしても有名になり天職だろう。」


「私は常盤わかば。平安館大学在学中に大好きなおじいちゃんが亡くなるというアクシデントもあったけれど、仲間のみんなの励ましのおかげで立ち直りアイドルを最後までやり遂げアーティストとしてもリーダーとしてもより責任感を持てるようになったわ。大好きなおじいちゃんの遺志を継ぐために盆栽を極め、たまに趣味で文学を作って芥川賞を受賞するなど順調な人生を歩んでいるわ。」


「紺野るりでございます。平安館大学を卒業してすぐに韓国の友人で同じ紺野流日舞に所属するキム・ハンスさんの紹介で今の旦那さまに出会い、4年の交際を経て結婚しましたでございます。紺野流日舞は世界各地へ旅をするようになり花柳先生からも認められて門下生の何人かが所属する事になりましたでございます。日舞の方も世界的コンクールで金賞を獲り紺野流の革新的日舞はこれからも続くのでございます。」


「私は焔間ヒメギク。現・妖魔大王として妖魔界に平和を築き、人間も気軽に妖魔界へ訪れられるように観光省を設立。はなの叔父的ポジションの天風ハヤテさんを妖魔界の首相に任命し人間と妖怪の絆をより堅く結ばせる役割を与える。あれから罪人たちは月光花の妖魔の力で浄化されて二度とホロビノミコが復活しないよう、八咫烏さまの社でお祈りを捧げてまた芸能人としての仕事へ励み、プロデューサーと妖魔大王の二足の草鞋を歩んでいます。」


月光花伝説は始まったばかり…ここからまた新たな歴史が始まるのでした…


おしまい!

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― 新着の感想 ―
[一言] つばきちゃんは結婚したのかな?10年後のそれぞれの月光花の暮らしを見てみたいので、ぜひ小説書いてください。
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