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第118話 アメリカンドリーム

東京を出発した私たちはロサンゼルスでのライブに成功し、今度はアメリカンドリームを彷彿させる大都市ニューヨークを訪れる。


そこには西暦の頃から続く高い高層ビルがたくさんあり、日本にはない超国際的巨大都市だと改めて感じる。


ホテルに着いた私たちは受付のシャンデリアに感動し、早速スマホのカメラで撮影するなどして長旅の疲れをリフレッシュする。


「すごい…まるで高級ホテルみたい…!」


「ねぇねぇ!今日の晩ご飯はバイキングだって!いっぱい食べて元気になろう!」


「食べるのはいいけど食べ過ぎてお腹壊したり太ったりしないでね。」


「わかってるよわかばー。」


「うふふ、ひまわりさんは相変わらずお元気でございますね。」


「ひまわり先輩の元気さに何度も励まされました。本当にすごい人です。」


「確かに唯一の元気枠だしね。ひまわりはクラスでも人気者でムードメーカーだよ。」


「うん。幼なじみとして何度かトラブルに巻き込まれたけど…その元気さのおかげで幼稚園の頃に友達になれたんだ。恥ずかしがり屋で友達がいなかった私にとって最高の友達なんだ。」


「羨ましかったりしないの?」


「少しだけ羨ましかったかな…。あんなに社交的に人と話せて、私みたいに内向的で臆病だと人と話すのが怖いって思っちゃうし…。ヒメギクちゃんも落ち着いているけど外交的だよね。」


「妖魔大王候補として一応帝王学も学んできたからね。パパみたいにはなれないけど目標としてパパを越えるつもりだよ。」


「皆さんお待ちしておりました。案内人のデイビッドです。皆さんのお部屋を案内します。それに…ライブ当日はわたくしもお客様としてご参加致しますので楽しみにしていますよ。」


「はい。デイビッドさんのような方に某の子たちの活躍を見せられて光栄に思います。では皆の衆、それぞれの部屋で過ごすようにな。」


「はい!」


こうして私ともみじは400号室、はなとひまわりは401号室、すみれとつばきは402号室、わかばとるりは403号室、花柳先生夫妻は404号室に入る。


夫婦水入らずで花柳先生夫妻は何かお話をされるのかもしれないので私たちは用がある時以外は404号室に近づかないようにした。


それからみんなはライブのレッスンを個人で行い、私はプロデューサー見習いとして花柳先生の代わりにスケジュールを確認する。


個人レッスンを終えたら花柳先生に報告をして今日のスケジュールを終えるんだけど…


「焔間さん、少しだけ残るのだ。そなたにしか話せない事がある。」


「え…はい。わかりました。」


「ごめんなさいね、旦那さまはずっとこの事を考えていたのです。それも話せる人が私しかいなくてずっと抱え込んでいたのですよ。あなたのようなプロデューサー見習いになら話せると思い勇気を出してあなたに話をしに来たのです。」


「そうでしたか…。お千代さんもありがとうございます。事情を知れて嬉しいです。」


「では話を戻そう。今後の月光花についてだが…活動休止も解散もしないとだけは伝えておく。だが本題はその様なものではない。焔間ヒメギク殿、世界ツアーの大阪でのライブを終えた時、そなたを月光花の正式なプロデューサーに任命する。そして某は月光花のプロデューサーを降板する。」


「え…?どういうことですか…?花柳さんのおかげで月光花は大きくなりました。まさか月光花を捨てるのですか…?」


「捨てるのではない。もう某がいなくても十分大きくなった。某の下から卒業して一人立ちしなければならない。それに…某のようなアクドーの直系がプロデュースするには月光花はあまりにも大きくなりすぎてしまった。もう偉大なアイドルなのだから某の下を離れて比較的親友に近い焔間さんの下ならより二人三脚で成長できるし、もっとアイドルとして高みに登れる。」


「そうですか…。いわゆる花柳先生から卒業するということですね…。」


「勘違いしてほしくはないが、某が立ち上げた事務所を退所せよという事ではない。事務所は変わらず所属し、プロデューサーが焔間さんに変わるだけだ。それに妖魔大王として七人将を近くに置いておきたいであろう?」


「それは…否定できません。確かに近くにいればより妖魔界と人間界を管理しやすくなりますし、何より一緒にいてすごく楽しいです。でもこの話は…」


「妻であるお千代にはもう話してある。だがこの話は決して皆の衆に話してはならない。この話をする時は大阪でのツアーファイナルライブの前日のみだ。それ以前に話す事は決してならぬぞ。もし悟られてしまえば皆は悲しんでライブに集中できないであろう。そしていつまでも某に依存してしまい、いずれ自分たちで考える自主性が生まれなくなる。いい上下関係とは依存することではなく、支え合い自由であるべきだと某は思うのだ。強制したり枠にはめたりではいい信頼関係は生まれぬ。すまないな…このような話をしてしまって。月光花の未来のために某はあえて卒業させるという決断を下したのだ。焔間さん、何か質問はあるかね?」


「いいえ…花柳さんの覚悟を聞いて私も決意しました…。その期待に応え、そしてその依頼をしかと受け取りました。みんなには大阪でのツアーファイナルライブ前日までは決して情報を与えません。月光花をさらにいいアイドルにすることを約束します。卒業した後も事務所の社長としてどうか見守っててください。」


「恩に着る…。」


「旦那さま、どうやら防音設置の部屋にした甲斐がありました。あの子たちは焔間さんの帰りが遅くて私たちの部屋にいると思い込み待っているようです。」


「そうか。わざわざロックキーのホテルを選んでよかったようだな。では焔間さん、今後の事はよろしく頼んだぞ。」


「はい。ありがとうございました。」


こうして私は花柳先生に月光花の今後の話をされて正式にプロデューサーに任命される。


みんなはこの話を聞いたらきっとはなはパニックになるし、ひまわりは人懐っこいから認められずにトラブル起こしそう…。


すみれとわかばとつばきは受け入れるかもしれないけど、るりも花柳さんの事を慕っていたからおそらくはショックを受けるかもしれない。


もみじはこれも運命だと受け入れつつも今後の活動に影響が出る可能性もある。


私はみんなに話すべきと思いつつも花柳先生の覚悟の事を考えると話せないと板挟みになってしまった。


部屋を出ると心配してくれたはなとひまわりは私を待っててくれたのかすぐに声をかけてきた。


「ヒメギクー!どこに行ってたと思ったら花柳先生夫妻の部屋だったんだ!」


「ごめんね、プロデューサーとしての打ち合わせが長引いてしまって。」


「それで…どんな話をしたの?私たちには内緒の話?」


「ううん、今後のスケジュールとライブの予定、それからツアー終了後の…ううん、何でもない。今は世界一周ツアーに集中しよう。私も見習いとして頑張るから。」


「うん!わかった!さぁはな、今は観光の時間だよ!早くニューヨークを楽しもう!」


「待ってよひまわりちゃん!置いて行かないでー!」


こうしてニューヨークの観光を終えたみんなはそれぞれ部屋に戻って眠りにつき、リハーサルも難なくクリアして本番に臨む。


ライブ当日はロサンゼルス以上のファンの人数でアメリカではアルコバレーノより人気なんだと感じた。


中には着物姿でサイリウムを振るアメリカ人もいて、世界中で日本文化ブームが起きていることを知る。


こうしてニューヨークでのライブを終了し、その次のサンパウロとシドニー、ヨハネスブルグでのライブも無事に終えた私たちはロンドンへ向かった。


つづく!

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