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第114話 天才現る

ワールドアイドルオリンピックが日本武道館で開催され、名だたるアイドルたちが世界中から集まり一番を狙う大会が始まる。


私たちはグループ部門のためワールドアイドルオリンピックの決勝ブロックは2日目なので今回の1日目はソロ部門とデュエット部門となる。


そこで私たちは偵察のために客席から眺める。


「すごい…世界中から武道館に集まるとチケット取れないんだね…。」


「決勝ブロック出場者のみ入れる特別関係者席がなければ入れなかったわよね。」


「そうなれば私たちにとってチャンスとなるだろう。いいライバルがソロアイドルとして、デュエットとしてパフォーマンスをするのだからな。」


「もうワクワクが止まらないでございます。」


「ソロ部門では元・月ノ姫のメンバーだった美月輝夜、聖フォルテ音楽大学付属スクールアイドルの音原エリーゼ、スピリチュアルアイドルの田中さとり、ヤンキー系姉御アイドルの藤沢拓海、さらにアフタースクールズから日野鈴香と沖田つかさが出場するんだって。」


「同時にゆかりさんから聞いたのですが天才の茶山くるみさん、そして新星の白銀雪子さんも出場するそうです。虹ケ丘エンターテイメントからは2人のようですね。」


「私もプロデューサー代理としてアイドルの事を勉強しないと。」


「肩に力入りすぎたら頭に入らなくなるよ?ヒメギクは少し焦りやすいのかな?」


「そうだね。私も少し花柳さんのプレッシャーに負けてしまったかな…。」


「あっ、もう暗転したってことは…!」


「皆さんお待たせしました!第1回ワールドアイドルオリンピック、今この武道館で開幕です!」


「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「この中継は世界同時中継でお送りします!司会はわたくし島田慎二でお送りします!審査員の方々は5人!それがこちらです!」


審査員にはアイドル評論家の秋葉鋼太郎さん、元スーパーアイドルの愛河めぐみさん、アイドルスカウトの目黒幹夫さん、世界的音楽家で東光学園音楽教員の滝川留美先生、そして月光花プロデューサーの花柳さんになった。


最初のアイドルは田中さとりで、はなも驚くほどの神聖な雰囲気でスピリチュアルなものを感じ、妖魔使いとは違った面妖さを放って会場を魅了した。


次にアフタースクールズの日野鈴香は明るい曲調で大胆不敵にバック転などカントリーミュージックに似合わないパフォーマンスで活発さをアピールした。


同じく沖田つかさは日野鈴香とは真逆のクールでカッコいい曲で女性をメロメロにし、執事風の衣装でシャイニーズ事務所の男性アイドルにはない女性らしさを兼ね備えていた。


そしてついにはなたちの先輩にあたる美月輝夜のパフォーマンスが訪れた。


「皆さま、私は元・月ノ姫のメンバーですが…それはもう過去の話で今はただのスクールアイドルとして活動しています。スクールアイドルから和の文化を発信してさらに日本の事を知ってもらいたいと思い、こうして大舞台に立つことが出来ました。ここまで来られたのは皆さまのおかげです。それでは…参ります!」


美月輝夜ははなたちと同い年で13歳のときにオーディションで合格し、大和撫子の雰囲気を持っていてすぐに月ノ姫のセンターを勝ち取った子だった。


ところがメンバーの子の親が亡くなって以降はその子がイップスになり、メンバーもそれを引きずってしまって活動休止をし、そして自然消滅という形で解散をした。


それでもアイドルを諦めたくなかった美月輝夜は解散してすぐに故郷の京都から旅立って名門国立東光学園に合格してスクールアイドルのトップに還り咲いたという経歴があった。


彼女には挫折しても自ら諦めなければ必ずチャンスはあると言わんばかりのパフォーマンスにファンは魅了されていった。


続いて特攻隊長の藤沢拓海は元・暴走族の名残で大型のバイクの大道具に乗って登場し、アイドル界のハイウェイを飛ばすほどの勢いで会場をヒートアップさせた。


音原エリーゼはとても優雅なハープシコードという外国の古典楽器を利用したきらびやかな曲ととても華やかなドレスで古き良き外国の音楽を表現した。


そして次ははなたちがかつて共演し目の前で倒れたはずのあの子がステージに立っていた。


「皆さん、お久しぶりです!ドイツから帰ってきました白銀雪子です!皆さんは過去にとらわれてしまった事はありませんか?私は昨年まで心臓病を患ったまま余命を抱え、全ての事に焦っていました。それが今となっては奇跡的に完治し、こうして歌えることに喜びと幸せを感じています。その生きていることへの感謝を込めて新たに歌わせていただきました。続いては私や皆さんの大好きな曲を歌います。」


「えっ!?あの子って確か…!」


「去年に倒れたあの子ですか!?」


「ああ…私たちはあの時は戦で忙しかったからニュース見れなかったのかぁ。」


「ひまわり、それはどういうことなんだい?」


「実は1週間くらい息を引き取っていたけどその後に奇跡が起こったかのように生き返ってね、いわゆる臨死体験をしたんだよ。それ以来は歌声に磨きがかかってドイツの国際的な声楽のコンクールに出て特別賞を受賞、翌年の今年には金賞を獲ったんだ。それからアルコバレーノがアンゴル・モアだっけ?そいつと戦ってるときに実は彼女もいたらしいんだ。」


「私たちの知らないところでそんな事があったのね…。」


「なるほど…ではさらなる進化を遂げたということでございますね。」


「まだまだ世界は広いのだな。」


「そうだったんだ。ひまわりはアイドルに詳しいよね。」


「昔からアイドルになりたいって言ってたからね。」


「えへへ。」


白銀雪子は前に共演した頃よりも歌声が響くようになり、マイクなしにもかかわらず会場中に彼女の歌が響き渡った。


あまりの感動にファンは白いサイリウムを振る事すら忘れ、審査員の中には涙を流す人もいた。


花柳さんはあまりの衝撃に扇子を仰ぐことを忘れるほどだった。


そして最後の茶山くるみの番が回った。


「あの人…前髪を切ったのかい?」


「嘘!?あの左目を絶対に見せない茶山くるみが前髪を自ら切ったの!?」


「どうやら生半可な気持ちでは勝てないとわかったみたいね…。あの15年間アイドルの天才と言われた彼女でさえここまでやったんだもの…。」


「こんなすごい大会に私たちは出るんだね…。」


「面白いですね…そうでなくては困ります。明日が楽しみで仕方ありませんよ。」


「もみじ…。」


「ヒメギクさん、あなたのプロデュースのおかげで私たち月光花はこんな大舞台に立つことが出来ました。後はファンの皆さんに今までの恩返しをし、月光花らしさをここで出しきるだけですよ。それにUMD48さんとの約束…忘れてませんよ。」


「あっ…!」


「彼女たちの分まで世界中に月光花をアピールし、批判ばかりしていた連中を見返してやりましょう。」


「もみじの言う通りだね。ここで弱気になったらみんなの期待を裏切る事になるからね。」


「ここで燃えないだなんて女が廃るわ。みんな、デュエット部門も見学していくわよ!」


「うん!」


こうしてソロ部門の見学を終え白銀雪子がソロ部門の優勝を飾りました。


一方のデュエット部門では双子のメイドアイドルの今川メイドリーミングとアメリカの黒人デュエットのリトルツインズ、そして中国のアクロバットアイドルの白虎隊の三つ巴になり、今川メイドリーミングが優勝を果たしました。


そしてついに…ワールドアイドルオリンピックの2日目の開幕です。


つづく!

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