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第102話 罪魔退散

私たちの妖魔の力が合体した大きな化身は私たちの魂と同化していて、それぞれの意志が合えば動くようになっていた。


そのため心がバラバラでは化身は動くことが出来ない。


私たちは武器を外して手を繋ぎ、心と魂に問いかけるように化身と一つになった。


「どんな手を使おうとも…私の罪魔の力による裁きを止める事は出来ませんよ?それともこれで強くなられたおつもりですか?」


「強くなったか…むしろ私たちは強くなったというより、一つになったと言う方が正しいかな…。私たちが心を一つにすれば、ホロビノミコの圧倒的罪魔の力や人間による七つの大罪よりも大きくて強くなれる!ホロビノミコ!あなたの裁きをここで止めてみせる!」


「小賢しい…全員まとめて斬り捨ててさしあげましょう!」


「そんなの…余計なお世話だよ!やぁぁぁぁぁっ!」


「うぐぅっ…!!」


「よっしゃ!」


「ひまわりが作戦もなしに突っ込むとは珍しいな!」


「私だってはなの幼なじみだもん。幼なじみが頑張っているのに、私が頑張らないわけにはいかないよ!」


「そうだね…クラスメイトの私も頑張らないとね。」


「友情ごっこですか…?そんなもの…私の罪魔刀で斬り捨ててさしあげますよ!」


「ふんっ!」


「何…!?」


「残念だけど君の罪魔の力では…私たちの心には敵わないよ。」


「指二本で止めるなど…!」


「今度はこっちの番よ!やあぁっ!」


「ぐはぁっ!」


「左手だけで気功を放つとはお見事でございます!」


「バカな…私の罪魔の力の前では…妖魔の力などちっぽけのはずです…!それが何故…こんなちっぽけな力に押されるのですか…!?」


「悪魔にはない人間にとっての大きな妖魔の力…それは私のような妖怪にはない努力と成長力、そして無限の将来性だよ!」


「それに…私たち人間と、妖怪による特別能力が合わさればどんな罪魔の力が相手でも跳ね返せるのでございます!」


「ふざけるな…この私が妖魔の力などに負けるはずがありません!私の魂を賭けて最後の切り札を受けるがいい!地獄ノ魔神斬(じごくのまじんざん)!」


「みんな!」


「うん!」


「「罪魔退散(ざいまたいさん)妖魔月光斬(ようまげっこうざん)!!!」」


ホロビノミコの刀と私たちの化身の刀は鍔迫り合いを始め、私たちは背中を押して支え合う。


ホロビノミコは余裕の体勢で刀を振り下ろそうとし、私たちは圧倒的パワーで押されつつあった。


代田さんは自分ではとても戦えないと判断して後ろで私たちを見守って祈っていた。


化身の刀の刀身にヒビが入り、ついに私たちは押されていった。


「うう…強い…!でも…」


「まだ終わりません…!皆さんの未来のためにも…!」


「ここで負けるわけにはいかないんだ…!」


「私たちは日ノ本を護りし…!」


「神話を受け継ぐ妖魔使いでございます…!」


「月光花として人間界を…!」


「妖魔大王として妖魔界と六道界を…!」


「私たち8人で…七つの大罪を乗り越えるんだ!月光花っ!」


「「いざ参るっ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」


「何!?うっ…うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」


こうして私たちは形勢逆転して化身の力でホロビノミコを一刀両断し罪魔の力に勝利を収めた。


ボロボロになった私たちは支え合う余裕をなくし、自分たちの武器を杖代わりにして支えた。


ホロビノミコは傷口から黒くて禍々しいオーラを消滅させながら私たちにこう言った。


「妖魔使いよ…よくぞこの私を倒しました…!人間の無限の可能性と…妖怪の特別な力…この私にもしかと届きました…!ですが残念な事に…人間が悪しき欲望を抱いたとき…私は再び生まれ変わり…もう一度その罪を償うべく…新たなホロビノミコとして裁きを下します…!遥か1万年の時を過ごし…再び蘇る私を思い出し…永遠に罪を犯し…そして極楽浄土と化する人間界を精々ご堪能ください…!その時はあなた方は…年老いて輪廻を回り…そして妖魔の力を持っていないでしょう…!未来永劫…人間が存在する限り…私は永遠に生き続けるの…で…す…」


「やっぱり人間って、ずっと罪を背負い続けるんだね…。」


「生きるためとはいえ、行き過ぎた欲望は他人だけでなく自分をも滅ぼしてしまう…。」


「たとえそうだとしても、私たちは前を見るしかないのだな…。」


「そうね…。ホロビノミコはそうやって生まれて来たものね…。」


「私たちがどんなに頑張っても…遠い未来にはまた蘇るでしょう…。」


「妖魔大王として責務を果たしても…さすがに1万年も生きれる自信ないな…。」


「また人類は同じ事を繰り返すのでございましょうか…。」


「へへっ、やだなぁ。そんなの簡単じゃん。私たちで新しい神話を創ってさ、せっかくアイドルやってるんだからそのアイドルソングで世界中に私たちが体験した七つの大罪と、それを乗り越える音楽をもっと作ればいいじゃん。確かに簡単な事じゃないけど、みんなでホロビノミコを倒したんだからどんな困難があっても乗り越えて行けるよ!」


「ひまわりちゃん…。」


「その通りだ。お前たちにはどんな罪を背負っても罪を償い、そして死なずとも乗り越えられる妖魔の力を備えている。」


「その声は…」


「ヤタノ・スメラギさま…!」


「お前たちに礼を言おう。私や日ノ本の神々でさえ成し遂げられなかったホロビノミコの討伐に成功し、遠い未来にまた蘇るとはいえ、人間たちにもう一度新たなチャンスを与えたことを。そして妖魔大王の娘よ、お前のおかげで再び妖魔界と人間界の絆はさらに深まり永遠の繁栄を築くだろう。そして残るお前たちの使命は…この戦を後世に語り継ぎ、そしてお前たちの心の声を遺す事だ。さすればもう二度とホロビノミコは復活しないだろう。そして私自身が…この世界にとって幻であらんことを祈る…。真の平和を築くためにもだ…。妖魔使いよ、ここでお別れだ。お前たちの健闘を称え、私は神ノ国へと還る。幸運を…。」


「ヤタノ・スメラギさまって、あの旧・日本神話の八咫烏だったんだ…!」


「その日本の神の使いと言われている八咫烏に…この世界を託された…!」


「それにしても…身体は黒いはずなのに…神々しい黄金の光が見えたでございます…!」


「でも…何だか疲れてきた…ね…」


こうして平安館大学やその付属校を取り戻し、ホロビノミコを討伐した私たちはそのまま意識を失い、身体が少しだけ軽くなったような気がした。


あれから一週間が経ち、前に助けてくれたダイダラボッチの代田さんが経営する代田建設によって平安館は復興し、私たちは京都府立洛北総合病院で目を覚ました。


そこには総理大臣と京都府知事、さらに平安館の理事長や花柳先生夫妻の姿があった。


花柳先生は安堵したように溜息をついて座り込み、お千代先生は私たちに抱きつきながら涙を流した。


理事長は学校奪還のお礼を言い、京都府知事からは特別住民票と名誉京都府文化大使に任命し、総理大臣からは感謝状と国民栄誉賞、さらに月光花を国際日本文化大使に任命した。


一方のヒメギクちゃんは妖魔界では偉大なる妖魔大王さまとして称えられ、そして人妖神社でも神様として祀られるようになった。


退院した当日…私たち月光花7人は、とんでもない運命を背負うことになった。


つづく!

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