プロローグ
おはこんばんにちは!転生系小説が増えてきた昨今、作者が転生するという謎現象を起こした者です。(前世も同時進行してる。まさに謎ですね。)
のんびり、時々シリアスな作品になるよう頑張りますので応援の程よろしくお願いします!
感想、評価を頂くと半ば強制的な力が働いて(嬉しくて)更新頻度が増えます。やったね!作者の負担が増えるよ!!
海。
私は海のある町に生きてきた。
産まれも育ちもこの海辺の小さな町で、きっとこれからもここで生きていくんだと。ずっと、ずっと思っていた。
だけど、そうはならなかった。
私は、海で死んだから。
...私は海が大好きだ。
可愛い魚に大きな魚。強そうな魚に見た目がちょっと...あれな魚。(深海魚とか。)
美味しい貝に美味しい海藻。海の幸で作るお刺身とか、お鍋とか、いいよね。
…ただの食いしん坊かもしれないけれど、とにかく。私は海が大好きだ。
小さい頃から海に出てみたかった。どんな景色が広がっているんだろう、どんな仕事をするんだろう。
でもおじいちゃんは全然連れて行ってくれなかった。船には乗せてもらったけど海辺の近くを少し走っただけだ。お前が海に出るのはまだ早いって。
だから勉強した。魚の勉強に海の勉強。海に出るための船についても。船の勉強はおじいちゃんが一緒になってしてくれた。...かなりの船オタクだから。かの大戦艦のミュージアムにも行ったっけ。あの時のおじいちゃんの熱弁は凄かったなぁ。
泳ぎの練習も、もちろんやった。今じゃ町で1番の泳ぎが出来る。(みんなに聞いた訳じゃないからわからないけどね。)
海が好きで、大好きで、勉強して、努力して、ずっとずっとおじいちゃんにお願いし続けた。それでようやく願いが叶った。連れていってくれることになったんだ。
〜〜
今日は快晴だ。私の記念すべき初航海にはこれ以上のコンディションはない。きっとこの海の先には想像できないくらいに広大で綺麗な景色が広がっているに違いない。そう思うだけで私の心が弾んでいくのがわかる。
私にとって忘れられない一日になる...そう確信していたんだ。
〜〜
「まずい!囲まれてるぞ!」
「なんでこんなやつらが沖に出てくるんだよ!!太平洋ならまだしも!!」
「どうすんだ?俺らの船にゃ対抗できる設備なんてねぇぞ!」
「くそっ、こんなことになるなら孫の願いを聞いて連れてなんてこなけりゃ良かった!」
「...おい!嬢ちゃんはどこだ!どこに行った!?」
「...うそだろ!?おい!!嬢ちゃん!!いるなら返事をしろ!!嬢ちゃん!!!」
〜〜
沈む、沈んでいく。
あれほど好きだった海に。
小さいころから好きだったこの海に。
痛い。痛い。痛い。...痛い?
痛みが消えた。左腕が消えた。またひとつ痛みが増えた。直ぐに痛みが消えて、今度は右足が消えていた。私の痛覚はもう完全に狂ったのかもしれない。今まであったはずの物が無くなるのは、随分と呆気なかった。
私は鮫に喰われていた。
鮫と言っても普通の鮫じゃない。
私が想像していた以上にソイツらは恐ろしい見た目をしていた。
なんでこうなった?どうして私は喰われてる?
あぁ、そうだ。船の探索してたら銛があって、ついテンションが上がって素潜りで魚を捕ろうとしたんだ。それで潜って魚を捕って戻ろうとしたら鮫がそこにいてって感じか。
はは、なんだそりゃ。そんな映画とか小説みたいなことあってたまるか。そもそもこんな沖の方まで鮫が来るのもおかしいし、居たとしてもソナーとかで分かるはずなんだけどな。壊れてたのかな。
もう片方の足も無くなった。こうなったら泳げない。助からない。私はここで死ぬ。
あぁ、おじいちゃんに無理言ってついていかなければよかった。銛を持って潜ろうなんて考えなきゃよかった。
それにこれだけ多くの取り巻きの鮫がいるんだ。もしかしたらおじいちゃんも一緒に死んでしまう。それだけはやだなぁ。今まであんなに面倒見てくれたのに。
......確か鮫って自分より強い相手には襲ってこないんだっけ。
最期くらい足掻こう。せめて一矢報いてやる。
私は残った腕で銛を構える。片手しかないから上手くいかない。
なんとか構えると、私目掛けて1匹の鮫が襲いかかってきていた。
そんなに私を喰いたいなら先にこれを喰らってなよ。
私は銛を思いっきり突く。銛は見事鮫の目に刺さった。でも倒すまでには至らない。それでも急所は急所だ。その鮫は藻掻くように、銛を振り払うように暴れる。
一矢報いた。
これで他の鮫がビビって逃げてくれればいいな。
...でもそんなに甘くは無いみたいだ。船からは離れたけど私目掛けて一気に襲いかかってくる。
自分より強い敵は襲わないっていうのはデマだったのかな。
多勢に無勢だよ、全く。
あーあ、私もここまでか。今までみんなありがとう。
おじいちゃん。じゃあね。長生きするんだよ。
............
あぁ、すっごく綺麗だなぁ...
ふと上を見るとキラキラと光る青い水面。
そこに混じる私の赤い血。
濁っているはずなのに、目に映る光景はひとつの美しい絵画のようで。
そして私はゆっくりと目を閉じた。
〜〜
「おい!あそこだけ鮫がいなくなったぞ!」
「よし、そこから急いで離脱しろ!」
「ま、待ってくれ!孫は、ナギサはどうするんだ!」
「そんなこと言っていられないぞ!もし逃げられなかったら死ぬんだぞ!」
「こんな老いぼれ達なんかよりナギサの方が大事だ!おい!!戻れ!!!」
「...すまん。」
老人はその場に崩れ落ちる。
そして光の灯っていない虚ろな目で後ろを振り返ると、
その老人の孫娘が大事にしてくれていた白いスカーフを、赤く濁った海水が染め上げていた。
そしてその水面が激しく揺れたかと思うと、あの布はもう、無かった。
後書きはメタ発言が許される。そう古事記にも書かれてる。そう。書かれてるんですよ。ほら、ここに書かれているでしょう?(錯乱)
ここは登場キャラクターと作者が簡単な会話を楽しむ場所です。(後書きの使い方を間違ってます。)
多分ストーリーに差し障りはない、と信じていたいですね。
作者(以降 サ)「さて、いきなり転生あるあるその1、死ぬ ために鮫もどきに食べられた気分はどう?」
ナギサ(以降 ナ)「最悪どころの話じゃないよ!どうしてくれんのさ!せっかく初めて憧れの海に出たっていうのに!」
サ「そんなに海が好きなの?良かったね!海で死ねるなんて本望でしょ?」
ナ「死んだら元も子もないでしょ?!」
サ「まぁまぁ落ち着いて。死んだ!終わり!ちゃんちゃん!!ってなるわけないから。小説の意味ないから。」
ナ「まぁ、そうだけど...」
サ「と、言うわけで。次回!《かわいい!》お楽しみに!」
ナ「いやいや、かわいいだけだと分からないんだけど?!というか私が死んだのまだ納得出来てn...」