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うちのタンクは優秀ですな

「以外とあっさり倒せてしまったなぁ。まぁ初期モンスだしこんなもんか……」


「もうちょっと手応えがあった方が良かったなー。正直物足りねぇ……」


「俺なにもしてないからね、二人だけで倒しちゃってさ。」


「悪かったって。思いの外敵の機動力が高くて驚いちまったんだよ。それより、まだまだ時間はあるんだ、新しい敵を探しにいこう。」


ちなみにさっきのウサギのドロップは肉と毛皮だった。リアリティーの高いゲームで肉と毛皮だけがその場に残るのは正直シュールだった……


「さっきの戦闘は俺が先走ってスキル撃っちまったからな、タゲが俺に向いて即突っ込んできたしウォッカが上手くカバーしてくれなかったら危なかったかも知れん。」


「そうだよ。俺忠告してたじゃん、落ち着いていけってさ。今度からは気を付けてよね」


「いえっさー、上官どの」


反省会をしつつふざけた談笑を交える。



次のエンカウントはわりと直ぐに訪れた。どうやら今回もウサギのようだ。

今回は会話をしつつもキチンと周囲を警戒してたので、敵の接近に気付くのが早かった。


「今回は俺は様子を見ながらふたりを援護する形で戦ってみる。前衛は任せたぞ。」


「まったく。何のために俺がタンク役をやるのか理解してよね」


「だから悪かったって…………それよりも、お前らの戦闘を見せてくれよ」


今度は前衛二人で戦ってもらう。俺は必要なら援護する感じでいこう。


「じゃ、俺からいくぜ!」


掛け声と共にウォッカがウサギに切りかかる。

流石に真正面から切られるほどウサギも馬鹿じゃない、横に跳んで攻撃を回避する。その動作は軽やかであり、次の動きの為に最適化されたように見えた。


「うぉ、速いなこいつ!」


予想通り、攻撃を回避したウサギは隙だらけのウォッカに向けて飛び蹴りを放った。

しかしウォッカはゲーム初心者ではない。

今までやって来た色んなゲームをやって来て体の動かしかたはわかっているのだろう、隙だらけに見えたが振り切った剣を引き戻し、剣身で蹴りを受け止める。


「まぁでも、速いってだけだな。パワーも無いし余裕で受けきれるな」


蹴りを防がれたウサギは、剣を蹴った勢いのまま後ろに回り込み跳躍しきれいに着地した。


そこですかさずトールがスキルを発動する。


「【挑発】!こっちに来いクソウサギ!」


トールから赤い波のようなものが発生し、ウサギにぶち当たる。

スキル:【挑発】。敵対しているモンスターの敵氣心を煽り、ターゲットを自分に向けさせる技だ。

スキルの効果を受けたウサギは、すぐさまターゲットをトールに切り替え、飛びかかる。挑発の影響下にあるお蔭か、真っ直ぐにトールへと襲いかかった。


「来たね、用意はできてるよ。【シールドバッシュ】!」


ウサギの飛びかかりに合わせて別のスキルを放つトール。これは名前とモーションがそのまんまだな、解りやすい。

シールドバッシュをもろに食らったウサギは、後ろに吹っ飛んだ。そしてその先にはすでにウォッカが待機している。


「ナイスだトール、止めは俺が!」


飛んでくるウサギに対し構えるウォッカ。

これはさっきも見たスラッシュの動作だろうか、と予想していたがウォッカの叫んだ技名は、


「ぶったぎるぜ、【ヘヴィスラッシュ】!


どうやらカスタムしたスラッシュのようであり、意図的に速度を落とし威力を上げているみたいだ。あれば耐えきれんだろう。


飛んできたウサギにクリーンヒットしたヘヴィスラッシュとやらは、ウサギを両断し地面にめり込んだ。


「うわ、もしかしてダメージが大きい場合って欠損とかすんのか、結構ビビったぞ…………」


「真っ二つとかなるんだな、流石に年齢制限ついてただけはあるな。ていうかお前いつの間にカスタムしてたんだよ」


「最初の戦闘終わって直ぐだな。お前が反省会してる時だよ」


「お前喋らねーと思ってたらそんな事してたのかよ……」


「一応話は聞いてたって。ちゃんとトールと連携とっただろ?」


連携して隙をつくれば、普段当たりにくい攻撃でも当てることができる。ターゲットの概念があるゲームでは常識だな。


「やっぱタンクいると安定感あるな。変に動いてタゲとるよりタンクに任せた方がいいかもしれんな」


「いや、挑発スキルも万能じゃなくてさ。誰かに向いてるヘイトをこっちに向けさせるものだから

開幕で撃っても効き目が薄いんだよね。だから最初は誰かにヘイトを向けさせたいんだ」


「まぁ、そこはウォッカでいいだろ。前衛だし反撃の対処もできるし。」


「いいね、斬り込み隊長は嫌いじゃないぜ」


「まぁ次からは俺も参戦するから、3人で動くこともしっかり覚えよう。」


今回のドロップは肉だけだった。ショボい。


次のエンカウントには少しだけ歩いた。他のプレイヤー達もいるせいかモンスターのスポーンが追い付いていないのかもしれない。

しかし、今回は運が良かったのか二匹のグラスラビットが同じ場所にいた。


「おっ、二匹もいるなんてラッキーだな。」


「確かに探す手間は省けるけどさ、2体同時に相手するのって結構めんどくさいよ?」


「そこをなんとかするのが前衛の仕事だって。ほらいくぞ!」


威勢良く敵の前に飛び出すウォッカと、それについていくトール。

ウサギの田下は今のところ前に出た二人に向いている。


「さぁ、隙があったら何時でも撃つぜ、俺は」


タゲ取りは二人に任せて俺は様子をうかがう。

跳び跳ねるウサギ達はあいからず素早く、普通に撃っても魔法は当たらなさそうだ。


「まぁ、予測射撃は得意な分野よ。この程度当てんでネタなんて出来ねぇよなぁ!【ファイヤボール改】!」


今回放つのは火力にぶっぱした方のファイヤボールだ。弾速はデフォルトよりも半減しているため当てるのは難しいが、戦闘しているのは自分ではない。時分を見てない相手の行動を予測して進路上に置いておく感じでいいのだ。


俺が狙ったウサギは、ウォッカの斬撃をかわしたやつだ。先程と同じく一匹のウサギに斬りかったウォッカ、そして当然のように回避するウサギ。

しかし俺は逃がさない。ファイヤボールは形成したあと発射するまでは溜めておける。それを利用して待機させていたファイヤボール改をウサギが回避するであろう場所に先に撃ち込んだ。


「まぁ、今回は反対側にもう一匹のウサギがいたからそっちには避けきれないべ。逃げる場所も割り出し安い」


予想通りの場所へ回避したウサギは、直後に吹き飛ぶ。どうやら直撃はしなかったみたいだ。


「あ、少し外れてる、ダサい……」


しかし一応カスってはいたようだ、ふっとんだウサギの体力は減っている。


「うぉ、すげー威力だな……カスっただけであの威力か。」


ウサギの残り体力はレットゾーンに入っており、3割を切っていた。


「【挑発】!お前の相手はこっちだ!」


かなりの威力であったため、タゲがこっちに向いていたらしい。トールが俺のヘイトを引き受けてタゲを無理やり切り替える。


「さぁ、次は外さんぞ……」


2匹目が未だに生きているため、迂闊にバッシュを使って隙をつくらないようにしているトール。


先程から攻撃を防がれてばかりのため、気が立っているのか少し攻撃が単調になっている。

次の狙いは攻撃の瞬間だ。


「好機は今!【ファイヤボール改】!」


ウサギがトールに跳びかかる瞬間を狙う、真っ直ぐ跳んでいるので分かりやすかった。

トールにぶつかる寸前でファイヤボール改がウサギにヒットする。


ボガァン、と初級魔術では鳴りそうに鳴らなさそうな音が鳴り、オーバーキル気味にウサギの体を粉々に粉砕した。










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