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この世界の魔術士は学者寄り

漸く順番待ちが終わるな……


順番待ちが終わるとどうなるんだ?



知らないのか?


幸いなことに魔術士ギルドまでの距離は遠くなく、町の西側に位置している。集合でビリになることはなさそうだ。


「意気込んで出発したは良いものの、けっこう余裕できそうだな……」


思いの外魔術士ギルドが近いところにあったので、落ち着いて歩きながら周りを見ることが出来る。見た限り、建物は全て石造であり、様式は洋風に近いようだ。もっと東の方に進めば和風な町もあるかもしれない、などと考えていると、どうやら目的地にたどり着いたようだ。

【魔術士ギルド】というデカイ看板がかかっている、そこそこ大きめな建物が俺の目の前にある。


「ギルドってだけあって集会所みたいな見た目してんなぁ、入りやすさを重視したんかね……」


その建物には、俺と同じ魔術士ジョブを選択したであろうプレイヤー達がひっきりなしに出入りしていた。

よくよく見ると、入るときは装備無しのやつらがちらほらいるが、出てくるやつは皆キチンと装備をつけている。中で何かしら言われたんだろうか。


「そういや俺も貰っただけで装備着けてなかったな……今のうちに着けておくか。」


とはいっても持ってる初級魔術士の装備はローブと杖だけ。それでもローブを着けているか着けていないかで印象はそこそこ変わるだろう。

杖はありがたいことに装備していてもインベントリにしまっておけるらしく念じれば何時でも手元に呼び出せるみたいだ。


「よし、準備もできたし早速中にはいって登録してくるかぁ……」


他のプレイヤーを見習い、堂々とした態度で入り口をくぐる。

すると、中は外観とは違った雰囲気をしていた。

登録等の為であろう、受付。部屋の隅には本がぎっちりと詰まった本棚が並んでおり、そこかしこに設置されたテーブルではいかにも魔術士ってやつらが論議をしている。


「なんだここ……学会みたいなとこだな…………」


「初めてきたやつは大体同じことを言う。あんたも登録しにきたクチかい?」


独り言を聞き取ったのか、入り口近くにいたNPCが話しかけてきた。


「あぁ、その通り。町の外に出るために身分証が欲しくてね、登録しにきた感じだよ。」


「それなら、見りゃわかると思うが向こうの受付だな。今も順番待ちだから早めに並んどいた方が良いぞ。」


「そりゃどうも。あんた、毎回こんなことしてるのかい?こっちとしてはありがたいけどさ」


「好きでやってることさ。それにここにいると色んなやつの顔が見れる、面白いぞ。」


「人間観察なんて珍しい趣味してんな……」


「日常のちょっとしたこと、些細な出来事が以外と魔術に繋がったりするんだ。要はアイディア探しの一環だな。」


「へぇ、そんなもんか。まぁ、とにかく助かったよ。」


そう言って会話を切り、列へと並ぶ。


この世界の住人(NPC)たちは、スキルと言うものが使えない。故に研究し、鍛練し、自分達で魔術や技を編み出し、使用している。

しかしプレイヤーは、ジョブに就き、レベルを上げたりするだけで簡単にスキルを習得してしまう。NPCからしたら理不尽で、ズルく見えてしまうだろうが、そこは最初に出てきた【来訪者】という設定が生きてくるのだ。

彼らは自分たちと来訪者は違う存在だとキチンと認識している。来訪者と知られてデメリットになることは基本的に無い。

もちろん、NPCの中にもずば抜けて強い存在はいる。そういうやつらがいる限りもしプレイヤーが暴れたりしてもストッパーになるのだろう。


だいぶ話が脱線してしまったが、深く考え事をしているうちに列が捌けており、もうすぐ自分の番が来るようだ。


「はーい、次の方どうぞー。

登録でよろしいですかー?」


「あぁ、登録がしたい。何をすれば?」


「軽い質問に答えてもらったあと、貴方の魔力をシステムに登録してもらいます。ギルドカードと登録魔力、2つを合わせて認証としていますので」


「では早速質問に移ります。お名前と、使用できる魔術、得意な魔術傾向を教えてもらいます。」


「名前はウィズ。基本魔術は全て使用可能。得意な魔術はまだ無い。これでいいか?」


「はい。結構です。では貴方の魔力を登録させていただきます。こちらの水晶型の魔道具に触れて貰っていいですか?」


言われた通り、水晶に手を触れる。

すると体から何かが少しだけ抜けていく感覚があった。これが魔力なんだろうな。


「両方とも完了です。カードはすぐに出来上がるので少々お待ち下さい。」




「お待たせしました。ウィズさん、こちらが貴方のギルドカードになります。なくした場合は再発行にお金を取りますので気を付けてくださいね?それとギルドの規約等はカードの裏面に記載されています。難しくないので暇なときにでも確認してください。」


「あぁ、ありがとう。助かったよ」


登録が終わった俺は、もう用事は済んだとばかりに矢継ぎ早に会話を切り、ギルドを立ち去った。


「このゲーム始まったはいいけど何か待ってばかりだな……アホなやつがクレーム出してそうな気がする…………」


まぁ、これで面倒事は片付いたはずだ。さっさと合流して狩りに出掛けよう。

あいつらも待つのはうんざりしているだろう。





順番待ちが始まる。

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