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現実とゲーム内のコミュ力は比例しない

僕のやってるゲームでは薬草とキノコで回復薬出来ましたよね

「キノコ、ですか。とりあえず説明文を見させてくれますか?」


「あぁ、いいぞ存分に見てくれたまえ。こいつも何かに使えると思うんだよね。」

錬金術師の彼がそういうのでインベントリからキノコを取りだし、一つ手渡す。


キノコを手に取った彼は鑑定をしているのだろう、じいっとキノコを見つめている。ついでだし俺も再確認しておくか。


《【キノコ】。なんの変哲もないただのキノコ。何かの材料にはなるだろう。食用可。》


…うん、ただのキノコだな。まじで何も情報がない。

錬金術師くんも反応に困った顔をしている。


「これは…………。使えるかどうかはわかりませんが、とりあえず試して見ましょう。HPポーションにこれを混ぜてみます、いいですか?」


「あぁ、勿論だよ。沢山あるから好きに使ってくれ」


俺がそう言うと、彼は薬草と水を取りだしポーション作製の用意を始めた。とはいっても、スキルでの作製のため作業はすぐに終わった。すりつぶした薬草と水を混ぜそこに切り刻んだキノコを追加し、スキルを発動する。

スキルの光が収まったそこには、まさにポーションというべき緑色の液体があった。錬金術師くんはそれを手早く瓶に詰め、こちらに手渡してきた。


「おお、早いねぇ。では、肝心の結果は……」


《【下級ヒールポーション】。HPを25パーセント回復する。苦い。》


因みに彼が売っている薬草と水だけのポーションの回復量は20パーセントだった。




キノコ……使えるじゃん!!


彼の方も鑑定したらしく、これまた驚いた顔をしている。それもそうだろう、ただのキノコを混ぜただけでポーションの回復量が上がったのだ。これは色んな物で試す必要が出てきたぞ……


「このキノコ、あるだけ貰えますか?お代は売れたら割り増しで返しますので……」


「ああ、好きなだけ持ってってくれ。その代わり、MPポーションも忘れるんじゃないぞ?明日取りに来るから、それまでに出来るだけ作っておいてくれよな」


彼の店はきっと繁盛するだろう。そんな想像をしながら彼の店を後にする。





「さて、戦利品の確認と行くか。皆ドロップアイテムを出してくれ。」


錬金術師の店を去った俺たちは、最初の広場に来ていた。

隅っこの方は余り人がいなく、丁度良い空間ができていたので、そこに集まり今日の戦果の確認を行おうとしていた。


「俺が拾ったのはこんなもんだな。」


「やっぱゴブリンの武器ばっかりだね。これどうするんだろう?」


出揃ったのは錆び剣、棍棒、ボロナイフ、欠けた槍。魔石がそこそことゴブリンエレメントが少々。薬草はキノコと一緒に錬金術師のとこにおいてきた。


「買い取りよなぁ……魔石はたぶんギルドで行けると思うけど、このゴミ武器たちの処理が困るな……」


「剣とナイフだけなら多分いけるぞ。」


ここでウォッカからまさかの声があがった。まさかこのゴミを買い取ってくれるところがあるのか……


「ほんと?ウォッカ、そんなところ知ってるの?」


「あぁ、確実とはいかないだろうけど、この剣とナイフは金属製だ。鍛冶屋とかなら鋳とかして再利用とか出来るはずだぞ」


「お前天才か?」


「ウォッカにしては随分と良い発想だよね」


「褒めるのか貶すのかどっちかにしろよ…………」


「でもよ、鍛冶屋なんてどこにあるかわかるか?マップには写ってないぞ?」


このマップ、主要な建物とかは表示してくれているのだが、店とかそう言う細かいのは表示しないのだ。ただ、1度行った所にはマークが付けれるからこれで細かいところは補完する感じだ。


「そういうのはさ、聞くのが早いでしょ?」


「聞くって、あ……、そうかNPCかぁ!確かにNPC経営の店ならNPCに聞いた方が早いよな、この町の住人なんだからな」


AIとの会話で情報を手にいれるのはRPGじゃ良くあることだよな。ただ普通の人間と変わらないようなここのAI達は、話しかけるだけで勝手にベラベラ喋ってくれる訳じゃない。


「まぁ、ここは俺に任せてよ。場所を聞くだけなら簡単だよ」


そう言ってもと来た道を通り、再び市場のほうへ向かうトール。

着いた先は、軽食の屋台だった。串肉の焼ける良い匂いが漂ってくる。ここまで五感を再現するのはさすがNebula、業界トップクラスは伊達ではないな。


「やぁ。串焼き、貰えるかな?」


「あいよ、何本欲しいんだ?」


「3本ほどお願いして良いかな?」


「ちょっとだけ待ってろ、すぐに焼けるからな。」


「わかった。……それにしても、良い匂いだね。タレに拘ってたりする?」


「おお、良くわかってるじゃねぇか!こいつはな、俺が何年も研究して造り出した自家製のタレよ。初見でわかるとはあんた、たいしたやつだな」


「これだけ良い匂いが出てたら誰だってこう言うさ。ところで、俺たちこの町で鍛冶屋を探してるんだけど、おっちゃん知らない?」


「あぁ、あんた来訪者か。それなら知らないのも無理はないな、串焼き買ってくれたし教えてやってもいいぞ。この町の鍛冶屋は中央の広場から北に行って、デカい水路のある道沿いに歩いていると行けるぞ。いつも煙が上がってるから近くまで行けばすぐわかるはずだぜ。それとほら、串焼き3本出来上がりだ。」


「ありがとう、助かった。また今度寄らせてもらうよ。」


そう言って串焼きをもって俺たちのほうに戻ってくるトール。


見知らぬ人間がいきなり話しかけても何だこいつ?って顔をされる、その点トールは客として話しかけていた。売り物もちゃんと買っているし、それを褒めて店主の気を良くした上で向こうから話しやすくしていた。簡単なことだがなかなか上手い話術だったな。


「まぁ、ざっとこんなものだよ。簡単だったでしょ?」


「お前、いつも思ってるけどゲームの中だとめちゃくちゃお喋りだよな……リアルじゃほぼ無口なのに……」


「いいじゃないか、ゲームの最中くらいははっちゃけても。リアルだと黙ってるほうが良いことが多かったんだよ……」


……やめよう、この話は。なにか暗いものを呼び寄せてしまう……



「まぁまぁ、鍛冶屋の場所を聞き出せたんだしいいじゃないか。さっさとこのゴミ武器どもを処理しにいこうぜ。」


話を切り替えて本来の目的を思い出させる。暗い話はゲームの中じゃご法度よ。



さぁ、いざ鍛冶屋へ。



R.I.P.OB64

この単語が通じる人は僕と同類ですね。

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