わらわらと湧いてきやがる
ゴブリンは1匹いたら(ry
森の奥まで行こうとした俺達だが、奥に進むほどゴブリンとの遭遇率が上がってきていることに気付いた。ここまで数度ほど2から3匹のゴブリンの群れを片付けてきたが、レベルも上がってきたおかげでだいぶ楽になっている。
しかし、今回はそう簡単にはいかなそうだ。
まずい、まずいぞ!音に引き寄せられたのか、たまたま巡回ルートだったのか知らんが、別チームが合流しやがった!
「トール、ウォッカ!ヤバイぞ、別チームのお出ましだ!」
最初に戦闘していたのは2匹組のゴブリン、今回も初撃で1匹をぶっ飛ばしたので残りの1匹を安定して処理するだけだったが、このタイミングでおかわりが来やがった。とにもかくにも数の不利を消さなければいけない。
「トール、ウォッカ、1人2匹だ。頑張って耐えてくれ!落ち着いて敵の数を減らしていくぞ!」
「これは腕が試されそうだねぇ、でも今はレベルも上がってる。」
「あぁ、敵の連携がそう上手くない限りは2匹位なら捌けるさ。」
頼もしい限りだよ、まったく。
まずは最初の戦闘で残ったやつから片付けようか、やつは前衛組の斬撃を受けているためHPに余裕はない。ファイヤボルトでも仕留めきれるはずだ。
そんな予想通り、ファイヤボルトが命中したゴブリンは倒れ、粒子となる。
「悪いな!1人2匹とか言ったけどもう1匹やっちまったよ!」
「いいね、その調子でコイツらも頼むよ!」
今は、トールが2匹、ウォッカが1匹受け持っている状態だ。トールに言われるまでもなく、次のゴブリンを倒すためにすでにバレットファイアを待機させている。しかし、迂闊に撃ち込むとトールを巻き込んでしまうので危険なのだ。
「トール!1匹【シールドバッシュ】で弾き飛ばせ、そいつをやる!」
そう言ってからのトールの動きは速かった。今までゴブリンの攻撃を防いでいただけであったが、ここで急に攻勢にでた。まず近くにいたゴブリンに盾ごと体当たりをぶちかまし、ダウンさせる。その直後詰めてきたもう1匹に向き直り、攻撃をいなした。攻撃をいなされたゴブリンは僅かに隙ができ、トールはその隙を見逃さず後ろに回り込んだ。
「トール!お前まさか……!」
そこでトールはシールドバッシュを発動し、ゴブリンをふっ飛ばす。
俺の方へ。
「ほら、プレゼントだよ。こいつが欲しかったんだろ!」
「あぁ、最高の贈り物だね!クーリングオフしてやるよ!」
真正面から飛んでくるやつに攻撃を当てるのなんて簡単すぎる。待機させていた炎弾を飛んできたゴブリンに命中させる、当然即死だろう。
「面白いサプライズしてくれるじゃねぇか、トール。この間の意趣返しか……」
ともかくこれで残りは2匹だ。ゆっくり処理していこう。
「なんとかなったね、魔法ってホントに威力高いねぇ……」
「何いってんだよ、お前らが敵引き付けてるからこんなもの撃てるんだよ。バレットファイアなんて射程10メートルもないぞ、こんなもの普通は使わんよ」
実際魔術士は機動力がない。火属性は威力が高いが至近距離で使うと自爆の危険性があるので近寄られるとまじでヤバい。
「まぁ、俺達が強かったってことよ。戦果の確認でもしようぜ?」
一気に5体も倒したので流石にレベルが上がっている。今はプレイヤーレベルが11のジョブレベルが10だ。と、ステータス欄に何やら通知がある。アビリティ……【魔力運用:初級】?
どうやらパッシブで消費MPを僅かに軽減してくれるらしい。
そういえばジョブレベルは一定の区切りで何かあるっていってたな。これがそうなのか。
ステータスはこんなもので、ドロップの確認に移る。
錆びた剣、古びたナイフ、棍棒、相変わらずショボい武器しかない、と思ったが今回は違った。
「おっ、エレメント落としてた!ラッキーだな!」
そう、《ゴブリンエレメント》がドロップしていた。効果は力に関するものだった。近接向けのやつだな、俺には必要ないやつだ。
「そいつは二人のどっちかで使ってくれ。魔法には効果無さそうだ……」
「売って金にしてもいいと思うけどね。どうせ一個や二個だと効果少ないんだしさ。」
「それもそうだな、今回の探索でとったやつはとりあえず全部売ってから分配すっか!」
目標の魔力草は、まだ見つかっていない。
魔力草……どこ?




