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お口に合えばよろしいのですが……

ゴブリン。

ファンタジー物の定番となっているこのモンスターは、大抵物語の序盤に出てくる。しかし、なまじ人形をしているせいで知能がそこそこ高く、油断していると普通にやられてしまうこともある。

ましてや俺たちはレベル1だ、迂闊に戦えば負けるであろう。


「どうする?幸いこちらには気付いていないみたいだ。今なら先手をとれるぞ」


「そうだね、見る限り3体はいるから可能な限り初手で数を削りたいね。ウィズの魔法で倒せそうかな?」


見たところゴブリンの平均レベルは15前後だ。

ウサギを消し飛ばしたと言えコイツらに通じるかはわからないが、試してみる必要はあるだろう。


「それじゃぁ、初撃は俺から行かせてもらうぞ。

【バレットファイア】」


今回使うカスタムスキルは、お馴染みファイヤボールを元に速度を落とさずに火力に振り切った感じだ。範囲は限界まで削って見た目は弾丸のようにしてある。射程もかなり短いのでこんな感じで近くに敵が居るときにしか使えないけどな。まぁ

小さく威力が高い攻撃は目立ちにくいので奇襲向きだ、こんなときにこそつかってなんぼよ。


魔法スキルを発動すると、杖が光ってしまうので

木の後ろ側で発動させる。そして発射待機状態で木の陰から顔を出し、ゴブリンに狙いを定める。


野郎共、呑気にお喋りなんかしやがって。声が耳障りなんだよ、今すぐ黙らせてやる。

こちら側を向いて話しているゴブリンの口めがけて炎の弾丸を飛ばす。お喋りに夢中なゴブリンは、炎の弾丸が眼前に迫るまで気付くことができず、突如として現れた攻撃に驚き、さらに口を大きく開けた。


開いた口に命中した炎の弾丸は、着弾後、爆ぜた。結構大きめな爆炎だったのでゴブリンの様子がわからない。倒せたのだろうか。


爆炎が晴れた先、そこにいたのは首から上が吹き飛んだ首なしゴブリンだった。

直後に粒子となって消え、ドロップをその場に落とした。


「うわぁ、R指定間違いなしな場面だねこれ。まぁ今ので敵のヘイトは全てウィズにいってるはず、俺はそれを受け持つよ。【挑発】!」


「そんじゃ俺もトールの援護だ、一匹は受け持つぜ!」


前衛二人が、今度は俺達の出番だ!とばかりに前へ出る。トールが放った挑発の赤い波は、複数の対象に効果があるらしく残ったゴブリンが2匹ともトールに引き寄せられている。

こうなったら戦闘は前衛頼みだ、二人が耐えてくれなければ俺も倒される。


「さぁ、レベルだけみりゃどうみても格上。どうなるか…………」




「どうしたどうした!そんなもんかぁ?高いのはレベルだけのようだなぁ!!これっぽっちもいたくねぇぞぉ??」


「攻撃が単調だね。武器を使ってるおかげですごく読みやすいよ」


どうやら杞憂だったようだ。二人とも盾を装備しているので、ゴブリンの棍棒での攻撃を上手く受け流している。まともに防いだらステータスの差でダメージを負ってしまうだろう、的確な判断だ。

あとめっちゃ煽ってる。言葉を理解しているのか知らないが、ゴブリンめっちゃ怒ってるように見える。わめきながら棍棒をデタラメに振り回すその姿は、まるで癇癪を起こした子供のようだ。


「ウィズ、こっちもいつまでも耐えれる訳じゃ無いから出来るだけ早めに倒して!」


実際デタラメに暴れはじめてから攻撃がむしろ予想しずらく、 何度か危ないところもあった。

しかしトールはキッチリ防いでいてくれた。


ゴブリンが棍棒を構えている、あれは大上段から振り下ろしだな。流せなかったらヤバそうだぞ、トール。

グギャァ、と不快な声で叫びゴブリンが棍棒を振り下ろした。


「っ!おっも!こんなに小さいのに馬鹿力過ぎでしょ……でも、流せないってわけじゃぁ無いよ!」

トールに棍棒を受け流され、地面へと棍棒を叩きつけたゴブリンは全力で振るった反動か、手を痺れさせ硬直して立ち竦んでいる。チャンスだ。


「よし、撃つぞ!巻き込まれるなよ、トール!離れろ!」

ここぞとばかりに待機状態にしておいたバレットファイアを撃ち出す。発射された炎弾は狙い違わず飛翔し、硬直中のゴブリンの頭部に命中した。


「cleanhit!これはやっただろ!」


晴れた爆炎、そこには1体目と同じように頭部を失ったゴブリンがいた。


「ナイス、ウィズ。このままウォッカの援護に行こう!」

残るゴブリンは1体のみ。そいつはウォッカが受け持ってくれている、早いとこ助けに行かなきゃな。



「イラついてんのか?動きがどんどん悪くなってんぞぉ??こんなん防ぐまでもねぇ、避けちまうぞ」


わりと余裕そうだ。


「おいウォッカ、余裕なら倒しちまえよ!遊んでねぇでよ」


「勘弁してくれって、今守りしか考えてねぇから余裕なんだよ!攻めはまだきつい!」


あまり意地悪するとまた拗ねるかもしれないので、こっちもすぐに片付けてしまおう。


「おいウォッカ、ちょっと軽めのやつ撃つから、追撃は任せたぞ。【ファイヤボルト】!」


明確な隙が見つからなかったので、速度重視の攻撃でいく。これでもそこそこ削れるはずだ。

武器を振るったゴブリンの胴体に炎の矢が突き刺さり、爆ぜる。吹き飛ばすほどの威力は無くとも、体勢は崩せた。そしてウォッカはこの隙を見逃す奴ではない。


「よっしゃぁ!【ヘヴィスラッシュ】!」


以前は片手で発動していたスラッシュだが、今回は一時的に盾をしまって両手で剣を振るっている。威力を高めるためには有効な手段だな。


ウォッカが振り下ろした剣は、ゴブリンを切り裂き、止まった。前は片手で振るっていたせいか制御が難しかったようだが、両手で持っている今なら可能なのだろう。スキル発動後の隙が明確になくなっていた。


魔法と剣技、両方のスキルを受けたゴブリンは、レベル差があろうとも耐えきれなかったようで倒れ込み粒子となって消えていった。


「いいねぇ、ウォッカ!ナイスファイト!」


「よく一人で耐えててくれた、いい立ち回りだったよ」


「な、なんだよお前ら……急に優しくなりやがって、怖ぇじゃねぇか……」


この前のことが未だに効いているらしく、疑心暗鬼に陥ってしまったようだ。


「何いってんだよ、いいプレイをした味方は誉める。当たり前のことだろ?」


「そうだよウォッカ。今回の君は頑張った、俺たちはその頑張りを評価して誉めているんだよ?それを疑うなんて酷いじゃないか」


「そ、そうか?そいつは悪かったな、すまん」


チョロい。


「まぁ、お喋りはここまでにしとこう。何はともあれ戦果の確認といこうじゃないか。」


今回のドロップは、錆びた剣が1つ、粗末な棍棒が2つ、低級魔石とやらが一つだった。

剣と魔石は初撃で倒したやつが落としていた。残りの2匹は棍棒しか落とさなかった。不味い。


「この魔石ってやつはなんなんだ?レアドロか?」


「いや、一定レベル以上のモンスターならそこそこの確率で落ちるみたいだぞ。錬金術とかの素材になるみたいだ。


「なんでわかるんだ?」


なんでって?そりゃお前…………アイテムの説明欄に書いてあるからだよ。


「ドロップはショボいな。そうだ、皆レベルはどうなった?かなりレベル差あったから結構上がってるんじゃないか?」


そう言いながら自分もウィンドウを開き、ステータスを確認する。


《ウィズ》

《プレイヤーレベル:4》

《ジョブレベル:3》

【ボーナスポイント:6】


こんなもんか。もうちょっと上がるかと思ったがそう上手くはいかないらしい。

二人に聞いても同じだったのでパーティーで経験値は共有みたいだ。


「そういやウィズ、MPは大丈夫なのか?あんだけ火力あるなら相当消費大きいんじゃないか?」


そう、ウォッカが心配しているように、俺のMPはかなり減っていた、減っていたのだ。戦闘が終わる直前に確認した時はもう2割も残っていなかったMPだが、何故か今は全回復している。

どうやらレベルアップで回復してくれる優しいシステムのようだ。


「神ゲーだよ、レベルアップで回復してる。継戦は問題なくできるぞ」


「そうか、じゃぁ次行くか!」


「それなんだけどよ、この辺キノコと薬草しか無いみたいでな、もうちょっと奥まで行ってみようと思う。」





因みにレベルアップで手にいれたボーナスポイントは全てINTにぶっこみました。火力こそ至高よ。







うるせぇ口だな!これでも喰らってろ!(爆発物)

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