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18歳 太助 1
俺は順調に出世をしていた。
まずは槍衾の隊に入れられたのだが、
周りの兵隊と体格、力が違いすぎて槍衾が機能せず、
遊撃隊に入れられた。
遊撃隊は良かった。
言われたとおりに暴れればいいだけだったので、
俺の性格にあった。
ある程度周りに合わせる必要はあったが、
多少外れたことをしても何も言われず、
何より自分の手柄重視で良いようだ。
それよりも自分の得物が問題だった。
俺の力では数打ちの刀や槍ではすぐに壊れてしまう。
隊の先輩に棍棒を勧められ使い始めると、
これが良かった。
力いっぱい殴ればよいだけで、
武器が壊れることなど気にする必要がない。
何より刃物は、刃こぼれや血糊、折れたりするので、
扱いに修練がいる。
棍棒には必要がなかった。
それなりに手柄をあげ手元に金も入ってきて余裕もできた。
そこで、従者を雇うことにした。
この時代は首を取ることで手柄を示す。
それが結構な手間なのだ。
しかも、その間は手が止まり無防備になってしまう。
そこで、自分が倒した武将の首を取る人間を雇うことにした。
それが太助だ。
太助は、次郎の趣味なども理解しており便利な人間だった。