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①すぐに諦めないで!

【Gavaは数あるプログラミング言語の中でトップの人気を誇る言語です!

 当マガジンでは初心者でもすぐ理解できる記事を10,000件以上記載しております!

 これからGavaを勉強しようと思っている方は参考にどうぞ!】


「…………全く分からねえ!」


 コスプレメイドの新菜にゲーム製作を言い渡されてから2日。

 埃を被っていた解説書を読み漁ったり、ネットで分かりやすく解説されているサイトを閲覧したりしていたが、ゲーム製作についての理解は全く深まっていなかった。


「うがー! なんでこんなに多くの言語があるんだ、共通語で統一しろ!」


 探せば探すほど目につくプログラミング言語。

 種類が多く、どれを重点的に勉強すればいいかが分からない。


「手出しにくいだろうがー! もうイヤだー!」

『ま、まあまあご主人。基礎や考え方はほぼ同じですから』


 ツインテールの少女が視界に映りこむ。

 装着したMRデバイスが姿と声を表現した人工知能。それは空中をふよふよと漂う。

 その表現は負荷がかかる為、意識をPCからMRデバイスへと移していた。

 今の仕事は俺へのアドバイス。

 というかストレスの捌け口。


「GavaとGavaScriptの違いって何だ!?」

『えと、簡単に言えばGavaはスマホやPCのブラウザ内で動作するアプリを作成する言語です。で、Scriptはブラウザ上のみで──』


 似た名前のクセに本質から全く異なる言語。

 紛らわしいんだ、名前を変えてくれ。


「もういい次! C言語は必須なのか!?」

『えっと、アプリはC言語だけでも書けますが、それぞれフレームワークが対応している言語がありまして。ご主人が使っているNodroidOSならGavaで、uOSならObjective──』


 フレームワーク……構造?

 OSの違いで言語も変わるだと? 舐めるのもいい加減にしろよ。


「やめだやめだ次! 結局どれを覚えればいいんだ!?」

『ええっと、覚えて損がないのはGava、GavaScript、Objective-D、PPHでしょうか。PPHの代わりにRythonを学んでも良いかもしれません。一個覚えれば他言語の習得も早く──」


 コイツ、簡単に言ってくれる。

 既に頭はオーバーヒート。


「うがあああああ! 日本語で喋ってくれえええええ!」

『お気を確かにご主人!』


 もうダメだ……出来るワケがない。

 気を抜けば崩れ落ちそうな体を支えるのに疲れ、思わず机に突っ伏す。

 だらしない恰好になると、つい不満が口から出てしまう。


「…………何必死になってたんだろ」


 そうだ、一週間でゲームを作るなんて素人には無理だ。

 まして言語もまともに知らないんだ、不可能に決まってる。

 完成したところで褒美が出るワケでも……新菜が何か言ってたな。イイコトって何だろ。

 考えるのも辛くなってきた。


『現実逃避ですか!? 諦めが早すぎますよご主人!』


 なんとでも言えポンコツAI。

 俺は疲れたんだ休ませろ。


「…………もうゲームなんて嫌いだ」

『ふぇ?』


 決して本心ではない。

 だが裏側を知るごとに自分の理解の無さに嫌気が差してきた。

 何も知らないでハヤナのゲームを馬鹿にしていたんだ。


「…………ほんと、馬鹿みたいだ」

『…………』


 情けないな俺。

 たかだか二日程度で弱音を吐くなんて。

 ほら、ハヤナの顔が曇っちまったじゃないか。

 すぐに泣きわめくぞ、『私のゲームをプレイしないつもりですか!?』って。


『……そうですね。少し、ゲームから離れた方が良いかもしれません』


 帰ってきたのは予想外の返事。

 それが聞こえるとともに視界が急激に変化した。


「なんだ……これは?」


 散らかってはいないが狭苦しい俺の部屋に、突如として青々とした緑が姿を現す。

 それらは瞬く間に床と壁を覆い尽くして生い茂り、どこからか川のせせらぎが聞こえてきた。


『正直、没入感が乏しいMRはアトラクション利用に向いていません……』


 それに合わせたかのように姿を消したハヤナの声が耳を打つ。

 この処理を優先した結果だろうか。


『ですが、せめて……ご主人がゆっくり休息できるなら』


 いつもの泣き虫はもういない。

 クーラーの涼しさと、視覚と聴覚から脳へ送られる涼しさに包まれる。

 解像度の高い緑たちは、クーラーが生み出す風になびいて揺らいだ。

 だが仮初の太陽に向かって伸び続けようと、ただただ耐え忍ぶ。

 それを見ていると、不思議と気持ちが落ち着いていく。


『子守歌でも歌おうかと思いましたが……ご主人は、流石にお気に召さないでしょう』


 何だ、いつになく気が利くじゃないか。

 あーだこーだと喚いていなければそれなりに見えるというのに。


「…………何でもいい」

『え……?』


 全く、余計なこと気にしやがって。

 ついこの間言ったじゃないか。


「…………何でもいいから、歌ってくれよ」


 嫌われることなんて気にするなって。


『は……はい! ではお言葉に甘えて、【アイ☆ドル】OPテーマの“星空デーモンシンデレラ”! ハヤナ、歌います!』


 清涼な空間にデスボイスが響き渡った。



 ☆ ☆ ☆



『では十分に休息出来た所で、勉強を再開しましょう!』


 悪びれた様子もなくハヤナは言う。


「休息……出来たと思ってんのかコラ?」


 触れられるのなら触れたい。そして引っ叩いてやりたい。

 脳に深刻なダメージを負ってしまった。


『ご主人は私のライブを無視してベッドで寝てたじゃないですかあ!』

「お前の支離滅裂な電波ソングが頭から離れねえんだよ! 全く寝れねえ! つーかOPって何だ!? 【アイ☆ドル】にOPなんて無かっただろ!?」

『私が考えた、アニメ化が決まった時に採用されるであろうOPです! ご主人は幸運ですよ? 未だ地球上の誰も聴いたことがないのですから!』


 それは幸運なのだろうか……確かに幸運だろうな。

 被害に会ったのが俺だけという幸運。全人類よ、感謝しろ。


「もういい、それは二度と歌うな。歌詞やメロディの情報も削除しておけ」

『な、何を言うのですかご主人!? 私の予想では、廃退寸前のCD販売に貢献するという見積もりがですね!?』

「いい加減にしろ! ……ほら、勉強するから必要な時には教えろよ」


 放り投げたテキストを開く。

 しかし、何故また勉強する気になってしまったのだろうか。

 ハヤナに情が湧いた? いやいやそんな馬鹿な。

 ニート生活では金が稼げないからだ。作ったアプリに広告でもつければ小遣い程度の収入が入るだろう。きっとその為だ、間違いない。


『仕方ないですねえ……えと、どこまで進んでましたっけ? Gavaのオブジェクト指向だったでしょうか』

「…………まるで意味が分からん」


 テキストでは分かりやすく解説しているつもりだろうが、正直要領を得ない説明。

 今の俺には理解できない。


『ま、まあ無理に理解する必要はありませんので。使う必要がないのならば、インターフェイス、コンストラクタ、デストラクタも省略して構わないでしょう』


 そんな未知の単語を言われても困る。

 それぞれがどんな機能や特性を持っているかまるで分からん。


「くそっ……HTMLしか触ったことないんだぞ」


 分かってはいたが簡単にはいかない。

 愚痴をこぼすとハヤナが驚きの声をあげた。


『え!? それは本当ですかご主人!?』

「何だよ、馬鹿にしてんのか? 青春時代に黒歴史Webサイトを作ったこと馬鹿にしてんのか!?」

『ご主人の嬉し恥ずかし赤裸々ブログなどに興味はありませんが……』


 何を口走りやがる人工知能。

 まさか……見つかった?

 いや、もう削除してあるんだ。見つかるワケがない。


『しかし光明が見えましたよご主人!』

「……何が?」


 今の話のどこに光明が?


『HTML6とGavascriptを組み合わせれば、タップするだけのゲームくらい作れます! 比較的簡単かと思いますので!』

「…………」

『ご主人? どうされました?』

「…………それを先に言えええええ!」

『ご主人が黙ってたからじゃないですかあああああ!』


 むう、確かに俺が悪いな。

 仕方ない、口だけでも謝罪を──。


『あ、ご主人のブログ見ますか? 復元したものをアーカイブ保存してあるのですが……』

「…………」


 なに?


『なかなか痛々しい過去をお持ちのようで……ほほう……盛ってますねえ、かなり盛ってます』

「…………すぐに消せえええええ!」


はい。

J〇vaって名前出していいんでしょうか?

まあヘーキですよね。大丈夫大丈夫。

話がつまらない? それは君の錯覚だよ。


全く関係ないですが、サクセスモドキって受けが悪いんですかね。

某戦国要素とアイドル要素が組み合わさったアレとか。アレですよアレ。

はい。それだけ。

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