プロローグ
──瞳を開けて。
「はい、誕生日プレゼント」
「わあい! なんですかなんですか!? 中身はなんですか!?」
「ふふ、そんなにがっつかないの。お父さんにありがとうは?」
「ありがとうございます! もちろんママも!」
「よくできました。開けていいわよ……あらあなた、どうしたの?」
「…………何でもない」
「あら~? 照れちゃってるの?」
「…………」
「すごーい! えむあーるごーぐるですね!?」
「そうよ。学校のお友達もやってるんでしょ? これで皆と遊べるわよね」
「パパ、ママ、大好き!」
「ふふっ、どういたしまして。ボーナスはたいた甲斐あったわね、あなた?」
「…………ふん」
「へえ~……かっこいい! 似合ってますか、似合ってますか!?」
「ええ、とても似合ってるわ。ほらあなたも、何か言ってあげて」
「…………それをつけていいのは、家の中だけだぞ」
「分かってますとも! シャキーン!」
「もう、素直に褒めてあげなさいよ。意地っ張りなんだから」
「…………ふん」
「では早速、ゲームをしてきますので!」
「あら、もうケーキ食べないの?」
「はっ!? あまりの嬉しさに忘れるところでした!」
「ふふっ、慌てんぼうなんだから……誰に似たのかしらね?
「…………」
「いっただっきまーす!」
──瞳を閉じて。
「ねえ兄貴、ちょっと聞きたいことが――」
「あ!? うるさいんだよ、俺に構うな!」
「なっ……そんな怒ることないじゃん!」
「はあ!? 怒ってねーよ! どんだけ自意識過剰なんだお前は!」
「なによ、兄貴のほうが!」
「もういい! はあ……ごちそうさま」
「あら、もういいの?」
「十分。じゃ、部屋で勉強してるから」
「そう」
「ちょっと母さん! アイツのこと注意してよ! なにあの言動!? 馬鹿のクセに!」
「そう言わないであげて」
「でも!」
「今、就活中でピリピリしてるんだから」
「だからってあんなこと言う!?」
「それが終われば、元に戻るわよ。だから今は、そっとしてあげて」
「で……でも!」
「ね? 後でちゃんと反省するわ。二人とも仲がいいんだから」
「…………」
「大丈夫、すぐに謝ってくれるから。だから今は、見守ってあげましょ?」
「…………うん」
「それに、喧嘩なんていつもしてたじゃない。言いがかりつけてたのは誰?」
「なっ……私じゃないよ! 兄貴が悪いんだもん!」
「はぁ……お願いだから、お母さんを困らせないで」
「…………!」
「二人とも、良い子なんだから」
「…………」
「分かった?」
「…………うん」
──ただ願う。
『game have game to me to me to me to me to me』
『can i everything else』
『games have zero to me to me to me to me to me』
『can i everything else』
『to me to me to me to me to me』
『can i everything else』
『to me to me to me to me to me』
『…………』
──未来を。
『…………目覚めるは永き悠遠。創造するは夢幻の理。其は、境界より出でし守護の蔭』