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彼岸の月  作者: 指先
1/1

プロローグ 「土砂降り」

プロローグの一部。お試しなので後で消します。

「レオ!」

雨は強く地面を打った。少ない電灯の明かりが照らす路地は暗い。レオと呼ばれた男は細い道の真ん中にたっていた。スーツは所々汚れており、眼鏡の下の頬には真新しい一筋の傷。

「大丈夫だ、さっさと逃げろ」

冷静な声色でそう言われたスーツの女は彼を呼んだ金髪の男を抱えて走った。眼鏡の男は、紺色の傘が視界の端を抜けるのを待つ。そして口を開いた。

「目的はなんだ」

男は暗闇の一点を見つめている。凍りつくような視線だ。

しかし彼の耳に入るのは雨音ばかり。対話の意思がないようだ。だが男は表情を変えず、ただふっと肩の力を抜いた。

直後、鋭い刃音が路地に響いた 。




一方、路地から離れた道路沿いでは。

「アカネ、俺を送り届けたらすぐ援護に迎え」

「了解、デリック」

アカネと呼ばれた女は、金髪の男デリックを抱えて人間離れした速度で駆け抜けている。彼女の腰には黒い鞘の日本刀が下がっていた。

「しかしまさか女の子にお姫様抱っこされる日が来るとは思わなかったなー、重くない?」

持っている傘がコウモリにならないように気をつけながらデリックは茶化す。傘ない方がいいんじゃないかなぁ。

「言ってる場合か、それにもう女の子って歳じゃないよ」

そう言って苦笑いした。年下の男に女の子など。

「そうだな、アカネはどっちかというと兄貴」

「落とされたいのかい」

真顔に切り替わりそう言い放ったアカネに本気をみたデリックは即座に謝る。その様子に半ば呆れながらも彼女の足は速まっていた。

自分の知る限り、正直言って今日の彼では手に余る。そう思ったから。

「……少し心配だね」

気づいたらそうこぼしていた。

「問題ないさ。レオは案外負けず嫌いだからな」

即座に応えたその声に疑いの色はなかった。

「そうかい」

レナードとデリックの間にどれほど過去があり、絆があるかなど、アカネには知り得なかった。だがそれについてどうこういうこともない。ただ一言。

「前から思ってたけど、お前さんもレナードも相当の変わり者だよ」


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