デンワ
今日はやっと休みにはいった。
部活はない。
一週間が長くかんじられた。
どうしてかなんて、わかってる。
ミカはどうして変わってしまったのだろう。
どうしてあたしだったんだろう。
なんで、あたしが、こんなめに遭わなくちゃいけないの・・・。
どうして、あたしだったんだろう。
ただの偶然なの?
あたしがミカの近くにいたから??
わかんない、ワカンナイ。
もうなにもかも
終わりになってしまうような、
とてつもない恐さに
足がすくむ。
今日は家でゆっくりしよう。
せめて、土日だけでも
安心できる環境でもう考えなくてもいいように。
そのとき、
プルル、と電話が
部屋中に響いた。
あたしはとくに考えもせず受話器をとった。
「あ、こんにちは。もしかして麻衣?
ワタシ、ミカだよ!」
いまもっとも聞きたくない声が聞こえてきた。
あたしが何もしゃべっていないのに、
ミカは柔らかい、穏やかな声音でしゃべりつづける。
そういえば、ミカは声もそうだけど
顔も一見優しそうだ。
いつも、ミカと一緒に登校していたときは
3年生の男子から指をさされていた。
その3年はあたしや柚はそこそこに
ミカを見ていた。
そのときから、今のミカのように
人を惹きつけるような、
自分を絶対だといっているような
あの微笑みをしていた。
綺麗だけどやわらかな、ちょっと憂いをひめた。
あぁ、みんな騙されていたのか、
みんな。
ミンナ。
あたしは気づけたんだ。
たった独りなのに・・・。
「ねぇ麻衣?聞いてる〜?
大事な話なんだけど
聞いてないならもっかい話すね」
そういってミカは話し始めた。
内容は、はっきりいってありえない。
「ワタシね、欲しい雑誌あんだけど、買いにいくのめんどくさいの!」
だから買ってきてと
はっきりそういった。
最初はもちろん断った。
でも、あたりまえが通用しないミカは
たのんだよー、と電話をきった。
あたしは絶対にそんなことはしたくなかったから
買わなかった。
このとき、雑誌を買ってないのと
買っていたのと、どっちが
よかったんだろう。
そんなこと誰にもわからない。
神様だったらわかる?
ミカにはわかってたかもね。
一つだけ言えるコトはどっちでも
あたしが救われる選択は
どっちでもなかった、ってこと。