ヒロガリ
「ねぇ、麻衣さぁ〜なんで朝こなかったの?」
ワタシは遅れて学校にきた麻衣に詰め寄った。
どんな理由があっても、自分のために聞いた。
「ごめん、ちゃんと電話したんだけど・・・」
「もっと早くできなかったの?
しょうがないから、来ちゃったじゃん」
来ちゃったんじゃなくホントは置いていった。
麻衣以外の人にはなんにも知らないから、さらに嘘をついた。
嘘つきは、どっちになるのかな・・・?
麻衣は完全にワタシに申し訳なく思っているだろう。
でも、麻衣って前からそんなに好きじゃないし、
先輩のコトもあるけど・・・別に麻衣のお姉さんって嫌われてるし、
ワタシのほうが印象もいいし。トモダチがどっちをとるかって言ったら、
ワタシだし。
そのときのワタシには、そんな
なんの保証もない自信があった。でも、
ホントのことだからね・・・、
その日の、放課後、ワタシは
さらに嘘をついてみた。
内容は、
「麻衣のお姉さん、優衣さんって、いじめにあってるらしい。」
ワタシはその嘘を平然とついた。
この嘘で、麻衣に対するみんなの態度が変わる。
だって、姉が権力者なら、誰も逆らいはしないけど
いじめにあってんなら、話は別でしょ?
まぁ、もともと、そんなに好かれてはいなかったようだけど。
万端の準備をととのえておく。
だって、自分が絶対悪くなくしたいから。
誰だって、そうなんじゃない?
ワタシは、決して自分がいいことをしているとは、思わない。
だけど、そんなのどうでもいい。
ただやりたかっただけ。
ちょうどいいスリルとが、とっても楽しそうに思えてならなかった。
まだ、始まってはいないけど、今までの
平穏な空気がキライだったワタシは、早く始まらないかと待ち望んでいた。
そう、ワタシが原因だったんだ。