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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第五章 夏休み? いいえ、学園祭です
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第02話 - 学園祭前日のリハーサル

前回のあらすじ。

 黒薔薇三連星がBL好きを集め、学園祭でBL本を配布するための恐ろしい計画を練ろうとしていたが、クラスの出し物の件で強制的にお開きとなった。

 一方、渉達はテロリストを掻っ攫うための寸劇の最終打ち合わが無事終わり、学園祭リハーサルを残すのみである。

 滝川に頼まれた内容を黒薔薇三連星に伝えると、あからさまに渋々といった表情で教室に戻って行った。

 集会に参加していた他の腐女子達も、BL本拡散のための会議が出来ない事を悟ったのか各自退散して行く。

 空き教室の後方に位置する黒板(背面黒板)に書かれた“第一回 U.HO.(ウホッ)ノーマンは男色ホモなのか? 集会”という文字が、茜色に輝いていた。


「無駄に凝った書体で丁寧に書きやがって…。なんか消すのが勿体ない力作っぷりじゃないか!

 …っていうか、あいつら東方Projectの曲を知っててこんなタイトルにしたのか? まったく…、ファンに怒られてしまえってんだ、コンチクショウ!」


 色々と黒薔薇三連星にツッコミを入れてやりたかったが、出し物の調整を後回しにしてまでやることじゃあない。

 俺はやり場のない思いを愚痴りながら、背面黒板を丁寧に掃除していった。「どうか、第二回以降は開催されませんように」と、いるかどうかも分からない神や仏に祈りながら…。



 ちなみに、リテイクが入ることになった黒薔薇三連星の手掛けた仕掛けだが、大まかに以下の3パターンが用意されていたらしい。


【パターン1】男性だけの挑戦者だった場合

 均整のとれた顔立ちのイケメンゾンビとマッチョマンなゾンビが、執拗に唇を突き出しながら迫ってきて体にまとわりつくような仕草をする。更にその取り巻きとして、皮膚がただれ落ち「色々と丸見えで、キャッ恥ずかしい♪」な姿のゾンビが、数体で挑戦者を“かごめかごめ”して包囲網を形成する。


【パターン2】女性だけの挑戦者だった場合

 台所の黒い悪魔“G”、Gの捕食に定評のある“アシダカ軍曹”、落語のはなしにおいて草履ぞうりくだけで時間が掛かってしまうというネタでお馴染みの“異常に足が多いアイツ”、とぐろを巻くイメージの強い“細長い爬虫類”など…男女問わず嫌われてそうな生き物の群れが、挑戦者の足元をひたすら百鬼夜行する。


【パターン3】男女の挑戦者だった場合

 【パターン1】と【パターン2】が同時に発生する。正に地獄絵図。


 この話を聞いた時は、「ちったぁ自重しろよ、あの腐女子共!」と叫びそうになった。そりゃあ、リテイクだって是非も無しというものだ。


 尚、これを聞いた際の俺と滝川の会話は以下の通りである。


「テストプレイヤーはよく正気を保てたな。俺だったら、魔法で教室を吹き飛ばしかねないレベルの地獄絵図だぞ、それ…」


「……名誉のために被験者の名前は言えないけど、正直、渉達が教室に居なくて助かったと思ったわ…」


「………そうか」(たぶん、漏らしちゃったんだろうな、その子…)


 ……実に名状し難い空気を味わった日であった。



  ▲▽△▼△▽▲


 ─ 2012年11月1日(木) ─


 いよいよ学園祭を明日に控えた今日はリハーサル日である。

 俺達の寸劇も、網谷のライブと通しでリハーサルをするのだが、いかんせん学園の周辺に覗き魔(デバガメ)が多数発生しているので、やむを得ず体育館で行う運びとなった。


 ちなみに、リテイクとなった黒薔薇三連星の仕掛けはマイルドなものにダウングレードされ、無事テスト稼働をクリアしている。その内容は、如何いかにもゾンビといった姿の連中が足元を這ったり、皮膚がただれたゾンビが“かごめかごめ”をしてくる程度の内容に落ち着いていた。


「どうせただの映像だし、実際にチューするわけじゃないからBL要素を残してもいいじゃない!」


 黒薔薇三連星は最後までそのような事を主張していたらしいが、“一般男性にトラウマを植え付けかねない”という事を懇々(こんこん)と諭されたようで、断腸の思いで接吻せっぷんゾンビの映像を削除したらしい。誰が説得を試みたのかは知らないが、GJ(グッジョブ)である。


 さて、話は戻って寸劇の件である。

 本番用の特設舞台は既に準備万端となっており、怪人用のスーツ、倒された際に起爆するC4爆弾の量の調整、退避用の舞台穴の仕掛け…などなど、全て整っている状態だ。

 夏休みの間に散々練習した甲斐もあり、俺も神力製リダクションアーマーを使えるようになった。あとはテロリストを掻っ攫う際の台詞やら、舞台上での大立ち回りの流れをチェックをするだけである。


「──と、本番ではここでテロリストを担いで逃走する…と」


「いや~ん。渉にお姫様抱っこされるとか久しぶり~♪ ねぇ、今日はこのまま部屋にお持ち帰りしてくれてもいいのよ? 大丈夫、暫くは安全日だから♪」


 ……はい。テロリストを担ぐ練習というか、怪人スーツを着た状態で人を持ち運べるかのチェックを行っております。……莉穂姉をお姫様抱っこして。

 それにしても、最近俺との絡みがあっさりしていたからか、今日はやけに莉穂姉が積極的だ。マチュアの影響を受けたのか、はたまた他の理由か…何にせよ、俺の強靭な心(オリハルコンメンタル)が砕け散りそうになるから、性的に誘ってくるのは勘弁して欲しい。ノーマンに示しがつかないし、学園の風紀にも関わりかねないので…。


「莉穂姉、セクハラ発言です! あと、次のリハとして私と理事長…ついでに、マチュア先生も控えてるんだから、少しは自重してっ!」


「滝川さん、よく言ってくれました。渉君が天野君の提案を認めていない以上、私達はライバル同士ではありますが、蹴落とすことなく真っ向勝負してくる気概、大変好ましく思います。私が担任でしたら、内申点をアップさせたいと思ってしまうところでした」


「ちょっと、奈津美さん? アナタ、少しばかり幼馴染歴が長いからって、私を『ついで』扱いとは捨て置けませんね。籠月こもつき理事長、ちゃんとその辺も大人として指導して下さい。まったく、けしからんのはおっぱいだけで十分です!」


 体育館の舞台袖で莉穂姉の発言を聞いていた滝川、由子お姉ちゃん、マチュアから物言いが聞こえてきた。

 テロリストさらいの寸劇リハーサルにあたり、「本番前に、実際に人を持って移動してみようか?」という演劇部部長の一声により、俺とノーマンは舞台上でセリフを合わせた人攫い練習をしている。その栄えある攫われ役というのが、莉穂姉、滝川、由子お姉ちゃん、マチュアの4名である。

 ノーマンの方は、マージちゃん、篠山ねーちんの2名が攫われ練習担当である。


 さて、マージちゃんについて補足があるのでついでに説明するとしよう。

 夏休み中、群馬の研究所へ何度か行った際に転移用魔法陣が刻まれたマットに塗布されている“金属粉末入りの特殊塗料”を分けてもらい、ついに彼女の獣耳をトータルエクリプス島の倉庫に転移させるためのカチューシャが完成した。

 獣耳という微妙に大きなものをすっぽり覆えるカチューシャとなると、かなり幅広で不格好な物になってしまうのだが、その辺は研究所をカムフラージュするための魔法陣を応用して誤魔化している。獣耳に触れる側の方には転移魔法陣を刻み、表面──つまり、第三者から見える側には、“適度な幅のカチューシャと、グラデーションがかった濃い銀髪髪が見えるだけ”となるよう調整したのだ。

 そのため、今回は体育祭の時の様に在校生全員で獣耳を着け、“マージちゃんの獣耳をカムフラージュする”という努力が不要となったのである。


「はっはっは…。BB、モテる男は大変だなぁ。4回も人を運ぶリハをしなきゃならないなんて」


「うっせ。本番では、お前にテロリスト輸送任務を多く押し付けてやるからな」


 ノーマンのヤツがニヤニヤしながらからかってきたので、俺も負けじと本番の際は手抜きをする発言を返しておく。もちろん、言ったからには有言実行である。

 網谷のライブ前の大立ち回りでも、ノーマンに群がるよう演劇部と密かに打ち合わせ済みなので、あとは適当にやられるフリをして自爆すればOKだ。色々と下準備に尽力したのだから、肉体労働の方では手を抜きたい。


「おうよ、肉体労働なら任せろ! じゃんじゃんバリバリ運んでやるぜ! BBの作ってくれた気絶誘発魔法陣もテスト済みだし、紛争地帯で磨かれた俺の対人テクを見せつけてやる。…欲を言うなら、前線に居た時に欲しかったとは思ったけどな、コレ」


「何を言う。紛争地帯で活躍してた時は、普通に人間をぶん殴って良い状況だったろうが。今回はあくまで“劇”という枠でやってるんだから、本気殴りするわけにはいかんだろ? そのためだけの魔法陣なんだ。実戦でコレを使おうなんて甘えは、ダメ絶対」


 この怪人スーツの生地の裏には、マージちゃんのカチューシャにも使った金属塗料を一部塗布しており、魔力を流しながら触れた相手を簡単に気絶させる魔法陣が刻まれている。

 ノーマンが「テスト済み」と言った件だが、これは学園祭準備に勤しむ姿を見に来た覗き魔(デバガメ)がちらほら見受けられたので、そいつらをモルモットに魔法陣の試運転をした時の事を言っている。

 怪人スーツの上に透明ベルトを巻き、覗き魔(デバガメ)の背後に移動。そして、魔方陣に魔力を流しながら触れる。相手はしめやかに失神。この作業を俺とノーマンで行い、覗き魔(デバガメ)掃除をしながら効果確認も済ませたのである。

 まぁ、そのせいで「籠月学園の周辺で謎のガスが発生か?」というニュースが流れることになったのだが、“籠月グループの財力”と“世界連合防衛軍の圧力”であっという間に「問題なんて無かった」と発表された。有無を言わせぬ権力って素敵。…上司の沖中将からは小一時間ほど愚痴を言われたが、反省はしていない。


 ちなみに、怪人スーツについてだが、これは俺や研究所は一切関与していない。籠月学園の家庭部から、裁縫が得意な生徒や顧問が集まり、本気で仕上げたものである。

 材料は学園の潤沢な予算と籠月系列の会社から調達しており、スーツの完成度は「特撮を扱ってる企業で使ってもらえるんじゃね?」と思えるほどに見事であった。



 さて、そんなこんなで少しばかり賑やかな寸劇リハーサルとなったが、俺とノーマンの演技については演劇部部長から合格点を頂けたし。網谷のライブのリハーサルも学園の生徒達が軒並み集まり、大盛況で幕を下ろした。

 さぁ、明日からいよいよ本番だ。

毎度読んでいただきありがとうございます。

何とか投稿できましたが、その分やや短めです。

でも、これ以上書くと無駄に長くなりそうだったので、今回はこれくらいで…。


次回も金曜日更新予定です。

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