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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第四章 無人島と学園祭への下準備と…
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第17話 - 師匠のアホな武勇伝と、自動人形の完成

前回のあらすじ。

 女子トークに花を咲かせた女性陣を研究施設の2Fに残し、渉と天野は研究室に移動した。

 研究室で天野のバトルスーツをサクッと調整し終えた渉は、時間があるからと関口に約束した自動人形オートマタの作成に移る。

 手持無沙汰になる天野の暇つぶしとして、「何か質問でもあれば答えるよ」と言う渉。

 そんな折、天野の口から「渉の師匠は、俺の心の師匠でもある」というトンデモ発言を聞くことになるのだった。←今ココ

「なぁ、渉。話しを聞く限り、お前の師匠って魔法だけじゃなく、近代史の裏でも色々と凄い事やってたはずだよな? ちょいと、第二次大戦を収束させた時の真相とかを聞かせてくれよ!」


 “俺の師匠=天野の心の師匠”という事実が分かったからか、天野が目をキラキラさせて師匠の話をせがんでくる。網谷が知ったら嫉妬しそうなほどの熱心さだ。


「あ~、もぅ! ちゃんと話すから、その“トランペットに憧れる少年みたいな目”を止めてくれ。そんなカッコイイ内容でもないんだから…。じゃあ、まずは戦争収束の決定打になった原爆投下……の、原因となった事件…というか、嫌がらせ? から話すとしようか」


「おぉお! 一体どんな嫌がらせをすれば、あんな超破壊兵器を投下させる要因になったのか、今、歴史の真相が明らかに!?」


 天野め、普段は「現実リアルの歴史なんて、今更知ったところでどうこうできるもんでもないんだから、イマイチ覚える意義を見いだせない」とか言ってるくせに楽しそうな顔しやがって…。


「『凄い事をしたんじゃないか』と、期待しているかもしれないが、実際はくっそ下らない嫌がらせだぞ? アメリカのお偉方の家や、軍事拠点のトイレというトイレを一夜にして全て和式便器に変えて回ったんだよ。ご丁寧に“魔女を統括する者からの嫌がらせ♪”と、日本語で書いたカードを添えてな。それはまぁ、向こうの人達は怒ったのなんの…。しゃがんで用を足すなんて慣れてないもんだから、『もう原爆使って憂さ晴らししようぜ!』ってなって決行したらしい」


 真相があまりにアレだったせいか、それを聞いた天野があからさまに肩を落として落胆する。


「ったく、たかがその程度でキレて爆弾落としたのかよ。当時の連中ってば乳酸菌が足りてなかったんじゃないか?」


 アニメの水銀燈みたいな事をぬかしよる。…というか、落胆した原因はそっちかよ。


「いや、それにしても師匠は凄ぇな! たった一晩で、アメリカ全土じゃないとは言え、相当数のトイレを改造して回れるなんて! 格が違うってのは、こういう事を言うんだな!」


 どうやら、今の天野はチョロイン並みに師匠への好感度が上がりやすくなっているようだ。

 俺は脱力するのを感じつつ、話しを続ける。


「…じゃあ次、アメリカに匙を投げさせる決定打となった原爆の件だ。天野は、原爆が広島と京都にそれぞれ落とされたのは知ってるな?」


「あぁ、広島の方は爆発したけど被害なしで、京都の方は爆発前に解体されたって話だったな。両方とも、魔女がやったと教科書に書かれていたが…本当は師匠の手柄なんだろ?」


「その通り。確かに魔女達は安全のため、防御壁魔法シールドを使いこなせるようになるのが絶対条件ではあるが、それでも現代の対物ライフルを一回やり過ごすので限界かな。既に拳銃の弾を何発か凌いだあとでは、耐久力が追いつかずに貫通する危険もあるらしいし…。まぁ、そうならないように、ある程度攻撃をしのいだら防御壁魔法シールドを張りなおすよう注意してるけどね。

 そんなわけで、とてもじゃないが魔女では原爆を防ぎきれない。そこで、師匠がその場でオリジナルの完全防御魔法を編み出して爆発に対処した……というわけだ」


「それが、教科書にも書かれている“黒い天蓋”の正体か」


 天野が得心がいったと言わんばかりにウンウンと頷く。

 ちなみに、天野の言った“黒い天蓋”とは、原爆が爆発する直前に広島全土を覆うようにして空中に現れた“黒い巨大な何か”を指しており、その正体は師匠が急遽作り出した魔法である。

 原爆の爆発を凌ぐだけであれば、師匠が魔法式をフル構築して全力で防御壁魔法シールドを作れば対処できていただろう。しかし、アレは爆発後に放射性物質をばらまくため、爆発だけをカットしても人体に影響が出てしまう。

 そこで、考える時間が取れなかった師匠は、「原子だろうと何だろうと、全て(・・)を通さない防壁を創り上げる!」というイメージをもとに魔法を発動させた。

 その結果、光も音も通さない、見た目が真っ黒な防壁が広島上空に出現。地上に居る人々の視界が遮られたため、一時的な交通マヒやパニックが起きてしまった。しかし、放射性物質による被曝や、爆発の衝撃波による死亡者を出すことなく防ぎきる事に成功したのだ。


「ちなみに、本来なら爆発させずに無力化する予定だったらしいんだけど、師匠が知っている歴史よりも1日早く投下されたみたいで、爆発の阻止に間に合わなかったと言っていたな。さらに言うと、次の原爆投下ポイントも、『京都ではなく長崎に投下されるハズだったのに!』とかグチってたっけ。まぁ、二度目はB-29をストーキングしまくって、投下確認と同時に拾って無力化したようだけど…。

 そんな事があったせいでアメリカが真っ先に匙を投げ、他の国も次々と白旗をあげていったという流れだ。それを見た当時の日本の武官達が『世界よ、これが日本だ!』とか調子こいた事を言ってたから、そいつらに遅行性の超強力な下剤をこっそり飲ませ、漏れるハザードの刑に処してやったらしい」


 師匠の嫌がらせが毎回トイレ関係ばかりで、「小学生か!」とツッコミたいところだが、いい歳したオッサンどもが公衆の面前でお漏らし(下痢状)をさせられるというのは、ある意味死刑よりも恐ろしいかもしれない。

 尚、この刑は日本の武官だけでなく、ドイツ、イタリアといった日本のお仲間である枢軸国の連中も対象となった。調子こいて無茶な要求を通そうとした連中は、武官・文官問わず公衆の面前で漏れるハザードの洗礼を受け、表舞台からしめやかに退場していったそうな。


「うぉぉ…怖ぇえ…。現実リアルなんてどうでもいいと常々思っている俺ですら、その刑に処されたら正気を保って居られるか自信がねぇや。通学中の電車の中で、万が一そんなことになった日には……恐ろしくて考えるのもはばかられる。まさに、SAN(サン)直葬ちょくそう!」


「10面ダイス2つか、100面ダイス1つを振ったあとでも正気度を保てるか? さぁ、あなたもレッツトライ! “旧支配者様がみてる”好評発売中!」


「『ひぃぃっ!? 窓に! 窓にぃっ!』……って、なんのCMだよ」


 俺が適当にコマーシャル風にふざけてみたら、ちゃんとノってくれた上にツッコミをしてくれる。さすがは天野だ。

 ちなみに、作品名はフィクションであり、ロザリオ授受で姉妹スールな伝統のある女子校とは一切関係はない。


「“SAN値”と聞いて悪乗りした。クトゥルフっぽければ何でもよかった。反省はしていない……などと供述してみる。

 …って、ふざけてたら自動人形オートマタ作成の手が止まってたわ。再開せにゃ、関口に怒られる」


 ただでさえ、島から帰ったあとには由子お姉ちゃん達の説教が待っているはずなのだ。そこに関口まで加わるなんてぞっとしない。


「言っとくが、作業の手が止まった件については渉の自業自得であって、俺は悪くねぇぞ。…それにしても、その自動人形オートマタの件に関してだが、関口にしては何というかこう……表情筋が緩みまくってるよな? 中学の時のイメージがベースになるが、基本的にはビシッとしたキャラだと思ってたから意外だ。学園に入ってから、表情筋の活動が豊かになったのか?」


「いんや? ついこの間この島に連れてきて、トロピカルジュースを飲ませてからあんな感じだな。だからあの変化は最近だよ。

 ……よし。各部関節の動きも問題なし…と。次に、“つぶらなお目々カメラ”と“頭部の骨組み”とを導線で繋いで…」


「そのカメラ、そんな可愛らしい名前だったのかよ…」


 俺が組み立て中に漏らした独り言を聞いた天野が、ため息交じりにツッコミを入れてくる。

 だがこれは俺のネーミングセンスが悪いのではない。師匠の頭が悪いのだ。


 そんな事を考えながら淡々と作業を続け、あとは自動人形オートマタのフワフワボディを形作るビニール地の加工を残すのみとなった。

 その間、天野の方は作業の邪魔をしないためか、あれっきり大人しくなっている。俺に「自業自得だ」と言っていた割に、気遣いをしてくれるあたりデキる男だと思う。

 逆に、「何でも質問どうぞ」と言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに作業を中断してしまった自分が情けなさ過ぎて泣ける。ノーマン相手だったら、軽くいなせていたのに…。いや、よく考えたらアイツ、アホな事ばかり言ってるから、ぞんざいに返すだけで大体どうにかなるのか。


「……なぁ、渉。ふと気になったんだが、ノーマンもお前と同じく人造人間ホムンクルスなんだよな?」


「…ん? あぁ、そうだけど……。一体、ヤツの何が気になったんだ?」


 ただの偶然だとは思うが、天野がタイミングよくノーマンの質問をしてきたので一瞬ドキッとしたのは内緒である。

 表情に出ていたわけじゃないと思いたいが、もし「ノーマンの事考えてた」というのが顔に出ていたとしたら、今後は黒薔薇三連星の前で男の事を考えるのは止めておこう。絶対、面倒なことになる。


「いや、ノーマンとお前って全然似てないけど、アイツも師匠の情報を基に産まれたのか? …と、疑問に思ってな」


「…あぁ、そういやノーマンの基になった人は教えてなかったな。アイツは、師匠のき友人の毛髪から採取したDNAを使ってるから、そりゃあ似てないだろうさ。別人だもの」


「まさか…、その“亡き友人”って、何らかの組織に狙われて命を落としたとか?!」


「いや、ただの老衰ろうすいだよ。師匠よりも十歳以上年上だったからね。死ぬ直前まで『一度でいいから“キャー! カッコイイ!”と女子に黄色い声援を送られる人生を歩んでみたかった』と、しみじみ言ってたから遺伝子を使わせてもらったんだって…。ちなみに、その人からも世界平和のために人造人間ホムンクルスをこき使う旨の了承は取ってある……って、この前師匠に会った時に聞いた」


「…死因が凄く平和だった。まぁ、よく考えてみれば、友人が死ぬような目に遭う前に、師匠だったら敵対組織を潰せそうだもんな…そりゃ事故死になるわけないか。

 それにしてもその友人、現実リアル女子にキャーキャー言われて何が楽しいと思ったのやら…」


 天野が「ヤレヤレ」と言いたげに肩をすくめたので、俺はツッコミを入れることにしてみた。


「天野よ。お前は大昔のアニメキャラを見て、『絶対に二次元に行きたい!』と強く想える自信はあるかね?」


「ごめん、渉。俺が間違ってたよ。確かにそれだったら、網谷の方が断然魅力的に見えると思う」


「へぇ~…。ということは、俺が天野に催眠魔法ヒュプノシスを使うまでも無く、網谷とはくっつく可能性あり…と」


 俺は満足気にニヤリと笑い、腕時計型魔力通信機への魔力供給を絶った。

 今頃は2Fで、網谷を中心とした恋バナがぶり返している事だろう。何しろ、天野にツッコミを入れる直前、「面白い告白が聞けるかも」と上に居るマチュアに精神感応魔法テレパシーを送り、期待通りの反応が得られたらすぐに網谷にチクるよう盗聴を行っていたのだから。


「あ。渉、今の事はくれぐれも話さないようにな!」


「あぁ、網谷には黙っておくよ」


 “俺の口からは”という但し書きが入るけどな。



  ▲▽△▼△▽▲



 あれから更に1時間ほど経ち、俺の作業はつつがなく終了した。

 女性陣の会話も一段落したのか、まったりとオタク会話を楽しんでいた俺と天野のもとまで降りてきたので、セーフハウスに戻ることにした。

 ノーマンには精神感応魔法テレパシーでセーフハウスに戻る旨を伝えたので、気がすんだらそっちで合流することになるだろう。


「今、自動人形オートマタに連絡したから、すぐに迎えのカートが来ると思う。

 それと……ほい、関口。例のブツだ、可愛がってやってくれ」


 俺は例のロッカー型倉庫に直結している転移魔法を発動させ、中から白くてフワフワした物体を取り出し、関口に向かって軽く放り投げた。

 放物線を描きながら自分の元へ飛んでくる物の正体が分かったようで、関口の表情が見る間に明るくなる。


「ん~♪ 柔らかくて可愛らしい抱き心地♪ 渉、早速やってくれてありがとう!」


「どういたしまして。そいつは、平常時は40cm(センチ)前後の大きさになるよう命令してるけど、最大で1(メートル)、最小で30cm(センチ)の大きさにできる。魔力を通して設定しようとすれば、転移魔法を使う時みたいに頭の中にインターフェイスが浮かぶから、色々と試してみてくれ。ここに居る連中みたいに料理を作るといった事はできないよう機能制限させてもらったが、基本的な二足歩行やら物を運ぶやらといった動作は可能だから、ただのおもちゃよりかは役立つだろう。大丈夫だとは思うが、仮に一般人に動作を見られたとしても、学園で試作したロボット…というていで辛うじて誤魔化せる範囲だと思う」


「うん。分かった! さて、なんて名前にしようかしら。“シロ”じゃあ、そのまんまだし犬っぽいわね。…“だいふく”、“マシュマロ”……南国産まれになるわけだし、ココナッツから取って“ココ”とか…」


「フランス語で、“ふわふわ”を意味する“モワルー”ってのも可愛らしいんじゃないか?」


 関口が名前を決めているうちにカートが到着しそうだったので、俺からも名前候補を提案してみる。


「あ、それ可愛い! じゃあ、“モワルー”で決定!」


 どうやら俺の助言は、関口の御眼鏡にかなったようだ。満足気な表情で、自動人形オートマタを“高い高い”しながら喜んでいる。


「ん~♪ よろしくね~、モワル~♪」


[はい。今後とも宜しくお願いします。マスター]


「「「「「………」」」」」


 皆にも自動人形オートマタの反応が聞こえたのか、関口を温かい目で見守っていた全員の動きが一瞬にして止まる。尚、製作者である俺と、自動人形オートマタの親戚みたいなマチュアだけは平然としたものだ。

 そして、真っ先に硬直が解けた天野が口を開いた。


「おい、渉! こいつ喋るぞ!?」


「落ち着け、天野。今のは喋ったんじゃない。こいつには、スピーカーを取り付けてないのだからな。つまり今のは、ただの精神感応魔法テレパシーだ」


「いやお前、それ“ただの”ってレベルの機能じゃねぇから!」


「大丈夫だよ。仮に一般人の目の前で使っても、自動人形オートマタ精神感応魔法テレパシーの対象となる人物を選別するからバレるこたぁねぇって──お。ちょうどカートも到着したな。よし、じゃあみんな帰るよ~。乗って乗って~」


 「解せぬ」とでも言いたげな表情の皆をカートに乗せ、俺達はセーフハウスに戻るのだった。

毎度読んでいただきありがとうございます。

今回も日常会話をさせつつ、説明回といった感じになりました。

あと4~5話くらいでこの章を終わらせて、次章で話を学園祭に持っていくつもりです。


次回も金曜日更新予定なので、お暇でしたら宜しくお願いします。

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