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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第四章 無人島と学園祭への下準備と…
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第16話 - 幼馴染(男)から、衝撃の告白

前回のあらすじ。

 満を持して行われた空間拡張バッグなどの転移先である倉庫見学。

 しかし、連れてきた皆は設備に多少の関心を示すものの「へぇ~」止まりで終わってしまう。

 肩透かしを食らった感じに終わった見学会だったが、最後に案内した“島で採れるフルーツを保存する倉庫”で女性陣は大喜び。

 連れてきて良かったと思うものの、いまいち釈然としない渉なのであった。←今ココ

 俺がいつも使う転移魔法陣の秘密を見せ終えたので、皆を2Fにある師匠の居住スペース──という名の高級マンションばりの仕切りのない一部屋(ワンルーム)でおもてなしすることにした。風呂、トイレ、キッチン、テラスのある快適空間である。

 関口がやたらハマったトロピカルジュースも常に補充されており、急なお泊りやお客さんが来てもそれなりに対応できるようになっている。


 “なぜそのように準備万端なのか?”それはズバリ、師匠が作り上げた魔法のおかげである。

 基本的に設備や部屋の整理などは、島中に派遣されている自動人形オートマタが行ってくれているが、“何時いつ”“誰”が来るかも分からないようなこの無人島で、常にトロピカルジュースを製造し、腐ったら廃棄するという流れを行うのはあまりにもったいなすぎる。

 故に、この島で収穫した果物や自動人形オートマタが料理した物は、師匠が作り上げた“時間経過がとても遅くなる魔法陣”の中で保存するようになっているのだ。


 そう例えば、居住スペースに来る直前に皆で立ち寄ったフルーツ類の保管庫、転移魔法陣が常設されているセーフハウスの冷蔵庫、この研究施設の全冷蔵庫、これらすべてにその魔法陣は刻まれているのだ。

 その仕組みは至ってシンプル、倉庫や冷蔵庫の内部に魔方陣を刻んでいるだけである。ただし、ドアをまたいで刻まれているため、ドアを開けば魔法陣が途切れてしまい時間経過が普通に戻る。逆に、ドアを閉じる事で内部の魔法陣の魔導ラインが再度繋がるため、時間経過がゆっくりになる…という原始的なON/OFF機構となっている。

 ちなみに時間経過の割合だが、魔法陣の外で1年経過したとしても、魔方陣の中では1日経つか経たないか…といった具合だ。言わば、“逆・精神と時の部屋”である。

 そんなわけで、冷蔵庫に用意されているトロピカルジュースも、作ってからまだ2~3日経ったか経たないか。あるいは、作ってから1日未満レベルの新鮮さ…という可能性もあったりする。


 さて、アレやコレやと説明してみたが、俺は現在、今の話した内容とは全く関係の無い事をしている。

 それは──


「なるほど。装着していると全然気付かないけど、バトルスーツの内側って魔法陣っぽい紋様がいっぱい刻まれてたんだな」


「まぁ、天野は初めて目にするだろうが、『魔法陣っぽい』ではなく魔法陣そのものだから、コレ」


 ──本日の目的の一つ、バトルスーツの調整である。

 というのも、女性陣が2Fの部屋で恋バナを始めとした女子トークに移行してしまい、俺、ノーマン、天野といった男性陣が居辛い雰囲気を形成されてしまったのだ。

 関口やマジカルゆかりん辺りは恋バナには不参加だったものの、ジュースの味や島での過ごし方について夢中で会話していたので、俺達男性陣は速やかに1Fの研究室に移動。そして、現在に至るという流れである。


 バトルスーツの内側に刻まれた魔法陣も、先ほど説明した冷蔵庫と同じく着用することによって魔法陣の魔導ラインが繋がる仕組みになっているので、バラバラにした各部パーツだけではどれがどの魔法陣の一部なのかは、いくら魔女だろうと簡単に分かるようなものではない。

 ただし、設計者である俺は別である。どこにどういった効果の魔法陣を刻む…といった指示を事細かに指定したので、今回調整する予定の“音声によるスイッチのON/OFF”をどこに刻んだかも大体覚えている。


 魔方陣の魔導ラインが繋がるように、該当するパーツだけを組み立て魔法陣解析魔法マジック・アナライズを使い、魔方陣の効果を確認。該当の魔法陣で間違いなかったので、内容編集する様に魔力を注入して効果を修正する。


「……よし、終わりっと」


「早っ?!」


 あまりにもあっけなく終わらせてしまったせいか、天野がやたら驚いていた。


「まぁ、設計者は俺だしな。パパッと終わらせられなきゃダメだろう?」


 言いながらベルトを介してバトルスーツを転送し、天野にベルトを手渡す。

 そして、ふと視界に入った人物を見て、俺は疑問に思った事を口にした。


「…ところで、ノーマンがさっきから椅子に座って微動だにしてないが……寝てるのか?」


「いや、起きてるぞ。ちょっと、考え事をしていただけだ」


「考え事? ノーマンが?」


「もしかして、また女子のおパンツの事でも考えていたとか?」


 天野と俺が顔を見合わせた直後、それぞれが首を傾げながら疑問に思った事を言う。


「二人とも、俺に対して失礼過ぎやしないか?!」


「だってノーマンだし…」


「だってお前、一度似たような事を食堂で言った事あるし」


 まぁ、その記憶はマジカルゆかりんと俺との合同催眠魔法(ヒュプノシス)で無かった事にしてあるから、お前は覚えてないだろうがな。


ひでぇ……って、実際に言った記憶はないハズなんだが、『俺だったら言ってそう』と、納得できる内容でもあるな…。いやまぁ、それはいい。俺が考えてた事ってのは“ここ最近、BL女子達が絡んで来ないよなぁ”って事だよ」


「あぁ、黒薔薇三連星のことか」


「え? 何そのジェットストリームアタックしてきそうな名前。つか、そんな腐女子居たの? 去年、学園祭にお邪魔した時にそんなインパクトのある女子を見た記憶がないんだが?」


 まぁ、天野が「見た記憶がない」と言うのも当たり前だろう。だって、去年はヤツらと遭遇しないようにマチュアナビで避けながら学園祭を案内してたんだもの。


「まぁ、天野が来た時は魔力通信を使って、出会わないようにマチュアに誘導してもらいながら案内してたからな。下手に俺とのカップリングで興奮されてもアレだろ? …まぁ、ノーマンが転入してきたから、俺からすればネタにされるのが遅いか早いかの違いでしかなかったわけだが…。

 …で、ノーマンの疑問に関してだが…。たぶん夏の即売会に向けて原稿の仕上げで忙しいんじゃないか? 入稿の締切が迫ってるだろうしな。それに、中間試験の結果が散々だったハズだから、期末試験対策はしっかりしておきたいだろうし、俺らの動向に構ってる暇はないんだろう。

 ……昨日なんて、俺とノーマンらしきアダムアダムが、んずほぐれつしてるシーンを描いた漫画原稿っぽいのを、知らずに拾い上げちまうっていう事故にあったくらいだしな」


 寮の廊下を歩いていたところ「大き目の紙が落っこってる」と思って拾い上げたら、そんなオチだったという悪夢である。…いや、実際に起こったことなんだけど、夢であって欲しかった。

 彼女らが心血を注いで作り上げたものなので、俺は辟易しながらも黒薔薇三連星のリーダー格の女子のところへ持って行ってやったさ。モデルである俺が中身を見て、本人が手渡しで届けたもんだから色々な意味で歓喜していたっけ…。

 「やっぱり、興奮した?!」とか聞いてきたが、瞬殺で「No」と返してやったさ。だいたい、「やっぱり」ってどういう意味だよと小一時間問い詰めたかったが、相手が喜ぶだけっぽいのでスルーしたけどな。


「なるほど、その腐女子達は販売する側なのか。なかなかの行動力だ」


「天野は懐が深いなぁ…。それだけ深いんなら、いっそ網谷の思いを受け入れてゴールインしちゃえよ、YOU(ユー)!」


「いやぁ、そこらへんはまた別の窓口になるわ~。だから却下な」


 …ッチ、一考する時間も掛けずに即答しやがったコイツ。少しでも考える素振りを見せたら、すかさず小学生の様なウザったい茶々を入れてからかってやろうと思ってたのに…。


「そうかい…。……っと、材料が届いたみたいだな」


「「材料?」」


 この研究室は、廊下と部屋とを隔てる壁がほぼガラス張りとなっており、廊下を通して外の景色もよく見えるようになっている。そのため、俺が精神感応魔法テレパシーで頼んでいた材料を、自動人形オートマタがカートで運んできた事に気付けたのだ。


 暫く待っていると、複数の自動人形オートマタがトテトテとやってきて、魔法陣の刻まれた太い金属パイプ擬きや、白い厚手のビニール地などを作業台に乗せて帰って行った。

 もし関口が見ていたら、恍惚とした表情で愛でていたであろうこと間違いなしの光景である。


「さて、材料が揃ったし、ちゃっちゃと組み上げちまうか」


「BB、コレは?」「渉、コレは?」


 ノーマンと天野が同時に問いかけてきたので、俺は得意げに答えてやる。


自動人形オートマタの整備用予備パーツだよ。関口が欲しがってたから、今からサクッと組み上げちまうのさ。……というわけで、たぶん小一時間ほど組み立てに時間かかるから手持ち無沙汰になると思う。2階でくつろぐなり、島を散策するなりしてくれて構わないんだけど、二人ともどうする?」


「じゃあ俺は、BBの許可も貰えたし、島を散策してくるわ。丁度、とある目的に利用できそうな場所がないか、調べてみたいと思ってた所なんでな」


「『とある目的』?」


 俺がそう聞くと、ノーマンは楽しそうに人差し指を立ててこう言った。


「ウフフ…それはヒ・ミ・ツ♪ って事で」


「「うわ~、キモいわ~」」


 俺と天野のゲンナリした声が響いた。

 まぁ、なんだかんだアホな言動が目立つけど、悪用するような人間じゃないことは分かっているので好きにさせよう。


「…で、天野はどうする? 2階行く?」


「ん~、それだとどのみち手持ち無沙汰になりそうだしな。かと言って、島の散策も特に興味ないし…。なぁ、自動人形オートマタ組み立ててる時って、話しかけるのNGだったりする?」


「魔法陣を微調整する時以外は問題ないけど、見ていて楽しい作業でもないと思うぞ?」


2階(うえ)現実リアル女子の恋バナをBGMにするよりかは遥かに楽しいよ」


「あ~……まぁ、確かにそうかもな」


 天井を指さしながらゲンナリした表情をしながら返答する天野に対し、俺は苦笑交じりで同意せざるを得なかった。妙に生々しかったりするからな、女子同士の会話ってのは…。


「よし、そんじゃあ俺は早速、島を散策してくるぜ!」


「「あいよ~、いってらっさ~い」」



 ノーマンが飛び出して行ってから早十数分、部屋には金属パイプ擬きを組み立てたり、マニピュレーターの稼働確認をするカチャカチャという音だけが響き渡っていた。何の音かというと、自動人形オートマタの骨格部分を組み立てている音である。

 天野のやつも、話しかけてくるのかなと思いきやじっと作業を見ているだけである。

 俺が思っていた以上に、天野は機械的なものに興味津々なようだ。

 まぁ、アニメとかの創作物くらいでしか、自立して動くロボットとか出てこないもんな。……マチュアっていう出鱈目でたらめ性能のアンドロイドが、2Fで恋バナに花咲かせているけど…。


「……なぁ、天野。見てるだけで楽しいか?」


「あぁ、割と楽しいぞ。『モーターとかどうなってんのかな?』って思ってたけど、魔法陣の刻まれた金属パイプの骨組みだけで動いてたんだな、そいつら」


「まぁ、実際には間接球体とかダンパとかも仕込まれているけど、見た目は大小さまざまな金属パイプを人型っぽく組んでるようにしか見えんわな…」


 今の所、俺の腕の中に納まる程度の大きさしかない人型のパイプ擬きだが、稼働させるとパイプ状に収納さている各部が伸び、最大1(メートル)弱までの高さになる。

 ちなみに、骨組みだけでもそれを行う事は可能だ。…が、凄まじく貧弱そうな見た目になる上、ちっとも可愛くはないのでやりたくはない。


「とりあえず、何か質問が有ったら受け付けるぞ? …とは言っても、この自動人形オートマタの詳細については答えられない部分もあるから簡便な。なんせ、100%師匠設計による魔導ゴーレムみたいなもんだから、仕様を調べるとなると全部の魔法陣を魔法陣解析魔法マジック・アナライズっていう魔法で一つ一つ丁寧に解析して行く必要があるんだ。

 まぁ、簡単な動作部分くらいは以前調べたことがあったから、関口専用の愛玩人形レベルに機能を制限するくらいは割とすぐにできるんだけどな」


 機能を制限する理由は、高度な作業をできなくするためである。

 模範的な関口なので、人目がある中で高性能な作業をさせる…といったリスキーな事はやらせないだろうが、万が一のための布石というやつだ。


「そうか、ちょっと残念。

 ……そういや、その渉の師匠の事だけど、お前のクローン情報の提供元──要するにオリジナルなんだよな。ってことは、渉を老人にしたような外見だったのか? 話を聞く限り、90歳オーバーだったようだが?」


「あ~…実年齢はそうだけど、外見は30代後半から40代前半くらいに調整してたぞ。魔法で。だから、俺を単純にオッサンにした感じかな? あと、目元がキツ目の俺と違って、若干タレ目な感じだ。覇気が薄そうな顔立ちだったから、『研究所員とかから慕われ易かった』と言ってたっけな。ただ、からかわれ易くもあったという点だけは悩みの種だったみたいだが…。師匠がどうかしたのか?」


 俺が師匠の見た目を捕捉すると、天野は何かを思い出すような表情で唸り、こう続けた。


「…なぁ、ひょっとしてだが。その師匠って、よく白衣を着て出かけてたりしたか?」


 …あ。コレ、絶対に天野と師匠が“昔、出会ってた”パターンの流れだ。


「天野。お前のその反応…、師匠と会った事があるな?」


「あ、やっぱ白衣着たあのオッサンが渉の師匠だったのか。…実は渉が引き取られてくる前に、一度だけ“心の師匠”と崇拝したくなるオッサンと運命的な会話をしたことがあってさ。中学生前後になったお前を見た時、『あの師匠と似てるんだけど、さすがに他人の空似だよなぁ…』って思った事があったんだよ。いやぁ、ようやくスッキリした気分」


「待て。運命的な会話って何だよ?」


 かなり嫌な予感がする。

 重度の二次元オタクである天野が、「運命的な会話」とまで言っているのが特に…だ。何しろ、俺が天野とオタク会話を楽しめるのも、師匠がオタクだったからである。

 つまるところ、天野がこんな風になってしまった原因になったのは──


「そりゃあもちろん、『二次元世界に、俺は行く!』と心に決める切っ掛けとなった会話に決まってんじゃん」


 ──やっぱりそうだったか。

 いや、できれば予想が外れていて欲しかった。…可能性は限りなく低いと思ってたけどな。


 とりあえず、来週は師匠の妹である菖蒲あやめさんを異世界に連れて行くついでに、俺から師匠に説教をしてやろう。

 まったく、純粋な少年の性癖を歪めやがってあの野郎。

毎度読んでいただきありがとうございます。

今回も大きな進展の無い、会話回でした。本当は、

渉と莉穂姉をイチャイチャさせてやりたいんだけど、良く考えたら吾輩にそこまでのシナリオ&文章センスが無く、気付くと男同士のほのぼの(?)とした会話回になってしまうという罠…。


来週も金曜日更新予定です。お暇でしたら宜しくお願いします。

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