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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第四章 無人島と学園祭への下準備と…
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第05話 - 爆弾、監視、ご用心

投稿が一日遅れて申し訳ありません。

花粉と風邪とがミックスされたのか、体調を崩してしまい昨日の投稿に間に合いませんでした。


ついでの報告ですが、明日で初投稿から1年経ちます。

今まで書き続けておきながら言うのもアレですが、こんな微妙な作品にわざわざ目を通して頂きありがとうございます。

ブクマして頂いている方が一人でも居るうちは、毎週金曜日投稿を目標に、最後まで書ききる予定ですので、今後とも「時間が有り余ってどうしようもない」という時にでも読んでいただければ幸いです。

  ─ 2012年6月12日(火) ─


 天野達との会談を終わらせた翌日のAM5:28、俺は微睡まどろみを振り払うために目をクワッと見開いた。

 俺はいつもこのくらいの時間に目覚めるようにしている。というのも、6時過ぎから始まる朝の清掃活動の前にしっかりと目を覚ましておきたいからだ。

 一応、目覚まし時計も5:40でセットしているが、ほとんどの場合は俺が先に起きて目覚まし機能をOFFにしている状態である。

 ノーマンがまだ紛争地帯に居た頃、急な頼まれごとをされて夜更かしをして寝過ごす…という事がたまにあったので目覚ましに頼る場合もあったが、今はお役御免といったところか。

 まぁ、そんなことを頭の片隅で考えながら、いつも通り体を起こし意識をハッキリさせていく。ほどよい温もりをまとった布団の誘惑をバサリと跳ね除け、ベッドから抜け出し身体を伸ばす。


「うっし! ジャージに着替えて今日も清掃頑張り──」


 ──パパパーンッ!

 ──ズドドドド……ッ!


「──んなっ?! 爆発音?! て、敵襲?! まさか上空からの爆撃か?! マチュア、現状報告をっ!」


 突然の連続した破裂音、そしてほぼ同時にやってくる地響き。俺は2~3回ほどしか体験した事は無いが、この感覚は複数の爆弾を起爆した時の音と振動に酷似している気がする。

 これは、教祖アリサが俺達をはかり強行してきた可能性もあり得るのではっ?!


「渉、落ち着いて下さい。これはノーマンが仕掛けた“寝起きドッキリ”です」


「……はぁっ? “ドッキリ”?! “ドッキリ”って言ったか、今?!」


「とりあえず襲撃されたわけではないので、ベランダから外を確認してみて下さい。ビーチの方角から煙が見えるはずです」


 俺はPCから聞こえてくるマチュア・コピーの合成音に促されるまま、パジャマ姿でベランダに飛び出した。

 階下のベランダからは、音に驚いた女子生徒達の不安の混じったざわめきが聞こえてくる。ちなみに、俺とノーマンが居る15Fは居住フロアの最上階()つ、今後増えるであろう男子生徒用に用意されたフロアとなっているのでパジャマ姿のまま出てくる女子の姿は拝むことはできない。目のやり場に困らない新設設計だ。


 ベランダに出てまず目に入ったのは、もうもうと立ち上がる煙を背景に建つ高等部校舎と、それに連なる教職員棟及び大学部校舎の姿だ。どの建物も寮から見る限り、傷はおろか焦げ跡すら見受けられない。

 まぁ、爆発箇所がその裏側のビーチらしいので、学園寮から見ることのできない部分がどうなっているのかは確認できないが、少なくとも校舎の窓ガラスは無事らしいので被害は出ていないのだろう。

 ちゃんと爆発範囲や威力を計算して起爆したようだ……って、そうじゃなくて!


「ちょっと! なんでマチュアはあのバカの行動を止めなかったのさ!? いくら威力を制御していたとしても、冗談で済まされる次元じゃないぞ! マチュア本体と連携して、止めるべきだったろ!」


「はい。確かに冗談では済まされません。しかし、『テロリスト相手に、BBは少し教祖の言葉を信用し過ぎてないか? 次の襲撃タイミングが分かったからと言って、気が緩んでるように見える。今のところちゃんと撃退できているが、一歩間違えば学園や生徒に被害が出る可能性も捨てきれないぞ…』というノーマンの言葉にハッとしまして、えて行動させた次第です」


 ふむ、確かにそれは一理あるかもな…。

 テロリストの親玉である教祖アリサが師匠と協力関係にあったとはいえ、その下っ端がヤクザの鉄砲玉よろしく強襲してこないとも限らない。今までのテロリストの武装がポンコツ仕様だったからといって、殺傷能力の高い普通の武器を持っていないという確証もないわけだ。

 そう言った意味では、「学園祭までは安心して準備ができる」と気が緩んでいたのは認める。


「…にしたって、なんで朝の清掃活動直前に起爆させるかな。これじゃあ校舎周辺の清掃担当が燻製になっちまうぞ」


 まぁ、魔法式をフル構築すれば、強制的に風を吹かせて霧散させる事もできるから実質的な被害はビーチにしか出てないので対応は楽と言えるか…。

 俺は溜息をついてからすぐに理事長である由子お姉ちゃんに電話をかけて事の発端等を説明し、寮内生徒及び警備員棟への報告をお願いするのだった。


「ふぅ…。何はともあれ、籠月学園周辺に民家が無くて良かった。じゃなきゃ今頃、えらい騒動になってたところだ…。……とりあえず、ジャージに着替えよ…」


 …危なくパジャマ姿で外に出るところだった。



  ▲▽△▼△▽▲


「BB、やっぱコレじゃあ教室内で拷問プレイをしているだけにしか見えないんじゃないか? 俺には物理的ダメージが全くと言っていいほどないし、他の方法にしたら?」


 俺を見上げながら、ノーマンが涼しい顔でそう告げてきた。


「いいよこのままで。コレはダメージを期待してのものじゃなくて、ただの嫌がらせだし。今日一日、全ての授業──昼食も含め、トイレ以外はその状態で過ごし、これでもかと言うほど不便な状況を味わってくれ」


 今朝の騒動のあと、校舎付近に立ち込めていた煙を俺が魔法で蹴散らし、ドヤ顔でビーチにたたずんでいたノーマン及び共犯のマチュア本体を確保。

 そのまま二人を理事長室に連行し、色っぽいネグリジェ姿で出迎えた由子お姉ちゃんに改めて事情説明を行った。

 ちなみに、由子お姉ちゃんは理事長室と扉で隣接している個室に寝泊まりしている。すっぴんで出迎えたのはしょうがないとしても、もう少しまともな服装ができたと思うのだが、どうやら学園内に騒動の報告を行った直後に俺が訪ねてきてしまったようだ。色々と申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


 ノーマンとマチュアが起こした騒動に関しては、“生徒や学園関係者をいたずらに不安にさせた”という事で謹慎処分とさせたいところだったが、学園がテロ組織“ラスト・ワン”に狙われているという緊張すべき状況に置かれているのも事実なため、“緊張感を持たせる良い機会にもなった”という点も否めない。

 そこで、罰を軽くするという方針で処分を考えた結果…。


 ○ノーマン:体育祭のテント設営で、重しとして活躍した“コンクリート製の重量ブロック(ブロック塀に使われているアレ)”を正座した太もも上に乗せた状態で一日授業を受ける。


 ○マチュア:渉へのスキンシップ及び、私的会話を一日不可とする。


 …という内容で決まった。

 どちらも減刑し過ぎという感はあるが、ノーマンは過激な方法だったとはいえ学園を思っての行動──言わば避難訓練みたいなものと置き換え、嫌がらせレベルの刑となった。

 マチュアは校舎に被害が出ないようシールドを張って建物をガードしていたので、共犯として止めなかった点に対しお小言をもらった上での嫌がらせレベルの刑となっている。…通りで、思ったよりも爆破音が大きかったくせに、衝撃によるガラスの破砕が起きなかったわけだ…。


 そんなわけで、一限目が始まる前からノーマンを正座させて重量ブロックを3つ乗せている状態なのだが…。ぶっちゃけノーマンへの物理ダメージ云々はともかく、見た目が拷問以外のなにものでもないな。

 本人がケロッとしているので、何も知らない人が見たらそういった特殊性癖があるんじゃなかろうかと疑われそうだ。

 まぁ、生身で戦車の榴弾受けても怪我一つ負わない男だから、この程度の重りを何時間乗せようと全くダメージにならないだろう。

 ちなみに、椅子に座った状態で授業を受けられる状態でもないので、自席の横の床に正座させた上で罰を実行中だ。そのため、「板書がみえづらくてノートがまともにとれん」とぼやいていた。

 仕方ないので、俺が都度都度見えない部分の板書をノートに書いて教えてやった。

 ぶっちゃけ、俺もノーマンも授業でやる内容自体は、試験管で赤ちゃん時代を過ごしている内に師匠が前知識として詰め込んでくれたから必死で板書を纏める必要もないんだが、一応は生徒だしちゃんと授業を受けておかないとね…。


 休み時間になるたびに、ノーマンが拷問を受けている風の貴重なシーンが見られるという事で、ちょくちょく見世物部屋みたいな状態ができ上がったが、その他はこれと言って特筆すべきことも無く放課後となった。

 マチュア本体も必要以上に関与して来ないし、エロネタに対して叱責するという手間が無かった分、久しぶりに平和な一日だった気がする。




「そういえば渉、今朝のノーマンの爆破騒動だけど、一体何を爆発させたの?」


「「あ、それ私も気になる」」


 いつものように皆と話しながら帰っている途中、ふと莉穂姉からそんな質問を受けた。それを聞いた滝川とマジカルゆかりんが同意してくる。


「だってさ、ノーマン?」


「いや、BBが聞かれたんだから、BBが答えてやればいいじゃない」


「いやいや、俺が分かるのは“空間拡張バッグから、何らかの爆弾を取り出して同時起爆させた”ってくらいまでだよ。具体的な爆弾がなんだったのかなんてさっぱり…」


「え~…。それくらい、爆破規模と破裂音と煙の量で分かって欲しかったんだがなぁ…」


 何その爆発物ソムリエみたいな判断基準。だいたい、ミリタリー系にまるっきり興味ない俺が、そんな宴会芸にも使えそうにないスキルを覚えられるわけないじゃないか…。


「まぁ、答えを言ってしまえば“C4爆弾”だよ。拡張バッグの中にいくつかあったから、せっかくだし“どういった音や衝撃がするのか”とか、生徒を含め学園全体で体験して欲しかったのさ。…一昨日来たテロリスト達が持っていたのはただの粘土だったしな。

 ちなみに、今朝は2個のC4をそれぞれ三分の一程度の大きさに小分けして、その6つに雷管を刺し込んで導線を使って同時起爆したんだ。まるまる使うと、シールドを張っても被害がでそうだったからな」


「あんな不意打ちで仕掛けて欲しくなかったよ、まったく…。まぁ、昼間とか夕方にやったら、観光スポットに来た一般人の耳に入る可能性もあったし、早朝くらいしかタイミングがなかったかもしれないけどさ…。

 にしてもノーマン、よくあんな危険物の携帯と使用許可が軍から降りたな。いくら俺達でも、そう易々とOKをもらえるとは思わなかったぞ」


「…え? 許可なんて貰ってないし、C4だって軍からの支給品じゃないぞ。一昨年ぶちのめしたテロ組織が備蓄していたものを空間拡張バッグに突っ込んだの忘れてて、昨日の夜に荷物整理してたら見つけたんで、ついでに使ってみただけだが?」


 このあと、寮に戻って無茶苦茶説教しといた。



  ▲▽△▼△▽▲


  ─ 2012年6月13日(水) ─


 今日も目覚ましより早く起きて清掃用のジャージに着替えていると、珍しく早朝からスマホに電話がかかってきた。


「…? こんな早朝から誰だろう? ……って、草壁くさかべ大佐じゃないか。…はい、もしもし」


『伊藤特佐ですか? 草壁です。早朝のお電話で申し訳ない。今、少々お時間を頂いてもよろしいかな?』


 スピーカー越しに、申し訳なさそうなトーンのナイスミドルボイスが聞こえてくる。

 声の主は、4月末のテロリスト引き渡しの際に“輸送艦おおすみ”の艦長である渡瀬わたせ中佐と一緒にご足労頂いた艦隊司令官の草壁大佐だ。二人とも端正な顔立ちのイケメンダンディだったのを覚えている。

 草壁大佐の方が寡黙な感じだったので、俺に電話を掛けてくるのはてっきり渡瀬中佐が最初になると思っていたのだが、実に予想外だ。


「これはご丁寧に…。このくらいの時間であれば、いつも起きている頃ですので問題ないです。あと30分ほどで朝の清掃が始まるのですが、重要な件であれば学園を休んで横須賀まで伺うことも可能です」


『いえ、20分もあれば事足りるので電話だけで問題ありません。

 …早速ですが、テロリストの潜水艇の件で連絡しました。横須賀のドックにて受け入れ準備ができたので、その報告となります』


 …一瞬、「潜水艇?」と聞き返しそうになったが、確かに受け渡しの話があったなと思い出した。

 今度、警備員の美沙都みさとさんや莉穂姉達を連れて行く約束をしている“俺所有の無人島”に放置したアレのことか。

 人避けの魔法陣を使った無人島に放置しているから、気にも留めてなさすぎて存在を忘れかけていた。


「…あぁ、その件でしたか。了解しました。本日中に転送することができますが、なるべく早めに対応した方が宜しいでしょうか? 最短で20分後、遅くて本日の夕方17時には転送が可能です。いずれにせよ、転送準備のために私が転送先を訪れる必要がありますが…」


『それでしたら、別段急ぎませんので本日の17(ひとなな)00(ふたまる)横須賀こちらへ来て頂ければ十分です。他にこちらで準備しておくべきものはありますか?』


「時間の件、了解しました。準備するものは特にありません。それでは、また後ほど…」


『了解しました。お待ちしております』


 そうして通話を切ろうとした矢先、草壁大佐から慌てた感じの声が聞こえてきたので俺もスマホを耳に当てなおした。


「草壁大佐、どうかされましたか?」


『すまない伊藤特佐。一つ確認しようと思っていたことを忘れるところだった。昨日、警戒任務に当たらせていた護衛艦から、今くらいの時間に「学園のある位置から大量の煙が見えた」という報告が上がっていたのだ』


「………」


 間違いなく、ノーマンのC4爆破イベントの話だ。

 まさか、学園周辺を見まわってくれていたとは…頭が下がる話である。


『幸い、すぐに煙は消えたとの事だったので連絡は控えていたのだが、何かトラブルはなかったかと思ったのでね…』


「あ~…いやぁ、お恥ずかしい話。アレはノーマンのおふざけ魔法の実験でして…。某マンガを読んでテンションが上がってしまったらしく、『ちょっとフィンガーフレアボムズの練習してみる!』と言って早朝に魔法を試し打ちした結果です。

 思ったよりも威力がデカかったという以外、一般人からも目撃はされていませんし、特にトラブルはありませんでした。えぇ、ありませんでしたとも!」


『そ、そうでしたか。あ、いや、そちらには野間特佐もおりますし、何かあっても対処できるとは思っていましたが、我々も「警戒網を抜けられたのでは?」と心配になりまして…。

 特に問題が無かったようで何よりです。それでは潜水艇の件、頼みました』


「あ…あはは…。はい、頼まれました…」


 今度こそ通話を終了させると、安心して大きく息を吐く。

 今回は誤魔化せたけど、ノーマンには改めて目立つことを自重するように釘を刺しておこう。そう思った俺はリビングに来ていたノーマンを見つけるや否や、転移魔法を使いおもむろにハリセンをとりだし、ヤツのおでこをしこたま引っ叩いてやるのだった。

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