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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第四章 無人島と学園祭への下準備と…
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第02話 - 放課後の会談(準備)

 さて、天野と話す時間を設けることには成功した。

 あとは制約魔法リストラクションの魔道具を使い、天野が万が一にも俺達のことを他言できないよう手を打っておく必要があるわけだが…、電話越しに効果発動させられるような魔法じゃないんだよな、アレ。

 まぁ、放課後になったら天野から電話をもらうことになってるわけだし、そこで改めて話し合いの場を用意して、そこに来てもらうようするしかないだろう。

 何にせよ、15時前後までに場所と魔道具を準備しないとな…。


「とりあえず、場所はうちの実家を使うとするか。転移部屋もあるし、天野の家からも近いから丁度良いだろう。

 魔道具の方は…、学園に常備されている制約魔法リストラクションの魔道具を一つもらって、魔法陣を改造しちまうか。少しばかり予定が前倒しになっちまったが、いい切っ掛けになったと思うべきか…」

「なぁ、BB。色々と策を練っているところ悪いんだが。その話し合い、俺が居る意味ある? 居なくてもいいなら、学園のプライベートビーチで水着のマージや篠山ねーちんとキャッキャウフフ…したい件について」


 俺の袖をクイクイと引きながら、ノーマンがしれっとそんな事をぬかしてきやがった。

 こいつ、自分が当事者の一人であるという自覚が無いのだろうか。


「お前も参加必須に決まってんだろ。何言ってんの!」

「え~…超メンドイ。だいたい、そういう交渉事ちっくなのって、基本はBBの分野じゃない。どうせ天野は、俺が日本に帰ってる事も知らないはずなんだし、俺が居なくても問題なくね?」


 “こてん”と首を傾げるノーマン。何その可愛らしさアピール、外見とのイメージの乖離かいりはなはだしいから止めろ。

 実際、仕草だけは可愛らしいのだ。やってる人物が、引き締まった細マッチョボディのグラサンオールバックな少年でさえなければ…。


「お前…、さてはアレだな? 『兵士ソルジャーって事がバレてる以上、どこかの紛争地帯に駆り出されている』というてい(・・)でバックレようって魂胆だな。やらせはせん…。やらせはせんぞ! 貴様の身体も、一緒に連れて行く! …ってわけで、ノーマンも強制連行だ。

 だいたい、お前だって悪いんだぞ? こんな風にお気軽に写っちまいやがって。自分が機密事項の一つってことを認識しとけよな…」

「BB…、形あるものはいつか壊れる。姿あるものはいつかバレるもんなんだよ」

「うむ。確かに、ノーマンの言う通りだ。制約魔法リストラクションの魔道具で強制的に他言無用にしたり、認識阻害の腕輪で見物人の意識を逸らしたりしない限り、俺達の事は隠しおおせるものでもなかったのかもしれない…。だが今回はお前の責任も含まれている。だから一緒に来い!」


 おごそかな雰囲気を醸し出しつつ“自分の非を軽減したい”オーラを出していたノーマンをバッサリ斬り倒し、放課後交渉タイムに連行する事を突き付けると心底面倒くさそうな顔をしやがった。サングラスの形も相まって、いい感じにストームトルーパーっぽい表情である。…あそこまで顔は白くないが。


「あ、そうだ。一応、グレッグ達にもご足労頂こうか。再発防止のためって意味で、魔道具の効果範囲に一緒に居てもらおうかと思うんだ」

「「「「「「サー、イエッサー!」」」」」」


 緊張が解けた雰囲気を一気に振り払い、見事な敬礼で返事をしてくるグレッグ達。

 流石は、ノーマンと共に最前線で戦っていた連中だ。切り替えの早さといい、動きのキレといい凄いの一言である。


「あぁ、それと。ノーマンが写り込んでる写真は、本日中に携帯の類からは削除するように。持ち出し厳禁の軍用PCにバックアップを取るのは良いけど、持ち出し可能な物からは完全消去をすること! 一応今回は、“俺とノーマンが、たまたまグレッグのスマホを見せてもらって発見した”って形で露見したという流れにしとくから、グレッグ達はあとでノーマンと行動を共にした部隊の仲間達にも共有をお願い。俺達からも、上層部から通達が行くよう動くけれど、対応は早いに越した事は無いからね」

「「「「「「サー、イエッサー!」」」」」」

「うむ。これにて、一件落着!」

「いや、まだ落着してねぇから! そのセリフを言うのは、天野の対応が終わってからだから! …ってか、なんでノーマン(お前)がしたり顔でしめてるんだよ。流れ的に、そのセリフ言うの俺の方じゃね?」


 遠山の金さんみたいなセリフでお開きにしかけたノーマンへツッコミを入れたものの、実際問題あまり時間が残されていないため、早急に準備に取り掛からないといけないのも事実である。

 俺はグレッグ達に後ほど連絡するという旨を伝え、不服そうにしているノーマンを引っ掴んで転移部屋から学園に戻らざるを得ないのであった。



  ▲▽△▼△▽▲



 学園の転移部屋に戻ると同時に、俺は精神感応魔法テレパシーを使って莉穂姉、美希みき姉、篠山ねーちん、関口、滝川、妹尾の幼馴染メンバーに連絡を入れた。幼馴染仲間の天野に俺とノーマンが軍事関係者である事がバレたという事実を伝えるためだ。

 昨日の体育祭での経験が活きたのか、すんなりと複数人同時に連絡を取れるようになっていた。つい2ヵ月前までは、近くに居て気配や方角をしっかり意識しないと、一人にたいしても精神感応魔法テレパシーを使うのが難しかったくらいだというのに我ながら驚くべき進歩である。

 精神感応魔法テレパシーで話しかけた瞬間、「まずは皆でお昼にしましょう」と、美希姉から有無を言わせぬオーラをまとった一言が届く。現在時刻は13時を回ろうかというところだったが、皆は俺達が戻ってくるまで昼食を食べていなかったらしい。

 連絡しなかった俺…とノーマンが悪かったので、ぐうの音も出ない。

 そんなわけで、皆にはお昼を食べながら用件を伝えるという流れに決まってしまった。


 警備員棟から寮の食堂へ向かいつつ、今度は学園理事長である由子お姉ちゃんと、俺達の担任である仁科にしな先生に精神感応魔法テレパシーで連絡をする。制約魔法リストラクションの魔道具に手を加える旨を了承してもらうためと、俺達が本日外出せざるを得なくなった旨を担任に伝えるためだ。

 時間が惜しいので事の成り行きをざっくりと説明しただけだが、二人は概ね事情を理解してくれたようで助かった。

 早めに手を打つため今日中に魔道具を使うために外出したい旨と、その上で魔法陣に手を加えたいという旨を伝える。

 仁科先生は「学園の重要備品に手を加えるなんて…」と最初は渋ったが、由子お姉ちゃんが理事長の名のもとに許可を下すと、諦めにも似た溜息をついて了承してくれた。精神感応魔法テレパシーでの会話だというのに、溜息をつくという小技を入れるとか魔法の使い方がレベルアップしていたのは俺だけじゃないんだな…。

 すぐに魔道具を引き渡してくれるそうなので、進路を変え教職員棟へ向けて全力ダッシュする俺達。あっという間にノーマンが教職員棟にたどり着き、驚きの表情を浮かべている仁科先生から魔道具を受け取ってくる。

 …最初からコイツ一人をファンネルとして使い走らせれば十分だったと気付いたが、すべては後の祭りである。

 ノーマンと合流した俺は急いで方向転換し、寮まで全力ダッシュするのだった。


 なんやかんやあって少しばかり寄り道してしまったが、俺達が食堂に着くのとほぼ同時に莉穂姉達も集まったらしい。

 一つ想定外だったのは、連絡をしていなかったマージちゃん、マジカルゆかりん、マチュアまでもが集まっていた事である。三人には関係の無い事だから…と思って連絡はしなかったのだが…。

 どうやらマージちゃんは、「俊之が帰ってからランチにする!」と昼食を我慢していたようだ。ノーマンを狙うライバルであり、最近では割と仲良くなり始めた篠山ねーちんから俺達が戻ってきたことを教えてもらい、今に至るとのこと。

 マジカルゆかりんは、師匠という立場から、弟子2号であるマージちゃんの我慢大会に付き合っていたとのこと。俺のことを弟子1号と称している割にはぞんざいに扱ってくるくせに…、何それ女子同士の絆ってやつですか。

 別に悔しくは無いのだが、単純に解せぬ。やっぱ女性は“姉”に限るな。常日頃から「お姉ちゃんはいいぞ!」が口癖だった師匠の気持ちが良く分かるってものだ。…師匠、異世界(向こう)では姉が居るが、この世界(こっち)では妹しか居なかったもんな。

 最後にマチュアだが、コイツがここに居る理由は簡単。俺達が転移部屋に戻ってきたことを、俺の部屋のPCに常駐しているマチュア・コピーが監視カメラの映像から察知し、本体であるマチュアを移動させただけである。全く持って、ストーカー案件待った無しの行動力と言えよう。



  ▲▽△▼△▽▲



「──と言う訳で、夕方頃に俺の家で天野に詳細説明()、改良型制約魔法(リストラクション)の魔道具を使った情報漏洩対策を行うつもりなんだ。ノーマンとくだん兵士ソルジャー達と一緒に…」

「俺はマージと篠山ねーちんと一緒に、学園のビーチでキャッキャウフフ…したかったんだけどな~」


 沖中将の部屋でやっていた表情ほど露骨ではないものの、不貞腐れ気味な顔をしたノーマンがランチをほおばりながら文句を言ってくる。

 ちなみに、食事中は俺の左右とノーマンの左右にそれぞれ女性陣が座って“あ~ん”する事がデフォルト化していたが、今は俺達からの報告が優先ということでそれを我慢してもらった。

 自分のペースでご飯を食べる事ができ、周りから生温かい目で見られることも無い…平穏って素晴らしいものだなぁと改めて思う。まぁ、莉穂姉とバカップルごっこできないのは少し寂しいが…。


「ったく、自分の迂闊な行動が原因の一端でもあるんだから、諦めて俺と一緒に来るんだ。それにビーチだったら、昨晩もちょいと話した俺所有の無人島に今度つれてってやるから機嫌直せ」

「絶対だぞ、BB? で、いつ行く? 明日か? 明後日か?」

「えぇい、落ち着け! 明日も明後日も授業だろうが。だいたい、あそこは日本との時差が17時間あるから、土日を挟まないと時差ボケが辛いんだよ…。

 とりあえず、視察は今週末の金、土、日に行うとして、がっつり遊ぶのは夏休みになってからってのはどうだ? ちゃんと泊まり込めるだけの設備もあるから。…な?」


 今にも飛び出さんばかりの勢いで身を乗り出してきたノーマンをたしなめると、「よし、言質げんちは取ったぞ!」と大人しくなってくれた。

 俺は皆に向き直り、当初の目的に話を戻すことにする。


「…とまぁ、話が脱線したが、そんなわけで今からこの魔道具の改修作業をしてくる。それが終わったら、東京の実家に帰って居間の準備という流れかな。それで、魔道具を使うついでに、魔女の事やこの学園の事も教えておこうと思うんだよね。

 どうせ制約魔法リストラクションの影響で他言できなくなるし、俺やノーマンの秘密を知っているけど、莉穂姉達が魔法を使えるって事を知らないっていうチグハグな状況を作り出すのもアレだから…」

「ん…。渉がそう言うなら分かったわ。お姉ちゃんも止めない」

「そうね~。かおるちゃんなら、仮に魔道具を使わなくても言いふらすことはしないでしょうしね」


 俺の意見に対して特に反対は無いようで、莉穂姉と美希姉がそれぞれ賛成の意を示してくれた。

 ただ、一人だけ不安げな意見を述べる人物も居た。…関口である。


「渉達の事を話す上で、魔法関係の内容は切り離せないだろうから色々と薫に伝える事は止めないけど……大丈夫? 『アニメかゲームの世界に行ける魔法を教えてくれ! 頼む!』とか土下座されないかしら?」

「「「「「………」」」」」


 関口の言った一言に、天野の性格をよく知る俺達は全員無言になった。「アイツなら本気で言いそう…」と、思ってしまったからである。


「え? 何、皆急に黙っちゃって…。今のって、加奈子かなこにしては珍しいギャグかと思ったんだけど……マジでそういうキャラなワケ? その天野って人…」


 俺達の表情から何かを悟ったマジカルゆかりんが、天野の人柄をやや引き気味に聞いてくるが、俺達は無言で頷くしかできなかった。

 何しろアイツは、自他共に認めるほどのどうしようもない二次オタなのだ。関口が言ったような事を頼み込んで来ない姿が浮かばないくらいである。


「ま、まぁ、だからといって魔法関係に触れずに俺達の事を説明するってのはほぼ不可能だし…。関口が言ったような事を天野が言ってきても、『無理』と本当の事を言うしか無いって。そうすりゃ、諦めてくれるさ…きっと。…たぶん。…恐らく」

「すっごく自信なさげじゃないの!?」

「マジカルゆかりんも、会って話せば分かるさ。アイツはマジ(・・)だ…って」

「いや~、止めとくわ。私みたいな金髪ツインテール美少女を見たら、抱き着いてきそうだし」


 そう言ってマジカルゆかりんは、グラビアアイドル風のポージングを決める。今日はグラマラスボディな姿ではなく、今まで通りのツルペタ貧乳ロリ体型だ。

 どうやら、グラマラスバージョンの方に合うサイズの服を揃えるには、お財布事情が厳しいらしい。


「あ、それは大丈夫。アイツは二次元美少女にしか興味ないから、マジカルゆかりんの事を見ても興味も示さないはずだ」

「……それはそれで何かムカつくわね」

「ま、まぁまぁ押さえて押さえて…。…とりあえず、今日中に天野に対して魔道具は使いたいから、俺は今から部屋に戻って魔法陣の改造をやってくるわ」


 魔法陣の改造に費やす時間がマジで怪しくなってきたので、一旦話を切り上げることにした。


「あ。ノーマンは改造が終わるまで自由にしてていいぞ。行くときになったら連絡するから、身軽にだけはしとけよ~」

「あいよ~」


 武士の情けとして魔道具の改造時間中くらいはノーマンを自由にしてやろうと一言残し、俺は部屋に戻るのだった。


 この選択が、のちにカオスな状況を作るとも知らずに…。



  ▲▽△▼△▽▲



 ──3時間後。


「……よっ。久しぶりだな、渉。相変わらず“ハーレム系ラノベ主人公な生活”をしているようで羨ましい限りだ」


 天野から電話をもらい、東京の実家で天野をお出迎えした際の開口一発がコレである。

 別段、天野が不機嫌なわけではない。いつもの軽い挨拶の一環だ。最早「チャオ」とか「ハロー」のノリである。


「はっはっはっ…、『羨ましい』などと心にも無い事を──って、そんな事はどうでもいい! 天野(お前)が居るのは分かるよ!? 俺が呼んだから。だけど…、だけど何で──」

「やっほ~。皆、久しぶり~。元気だった~?」

「──何で、網谷あみたにまで居るんだよーーーっ!?」


 本来なら、天野だけ(・・)を迎えるはずだったのだ。

 しかし、天野の横には満面の笑顔で挨拶をしてくるもう一人の幼馴染──6年前に引っ越して以降、売れっ子アイドルとなってしまった“網谷あみたに紗友莉さゆり”の姿があった。

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