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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第三章 体育祭と海開き
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第12話 - あっけない完封劇(前編)

今年最後の投稿となります。

年末だというのに、こんな作品を読んで下さりありがとうございます。


また、拙作を評価して下さった方がいらっしゃったようで、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

ありがとうございます。

…最初見た時は、ブクマをして下さった方が一気に5名も増えたのか、或いはシステムのバグを疑いました(マジで)

 テント内に俺の驚愕の叫びが響き、莉穂姉達からは何ともやるせない空気が漂っていた。

 俺が精神感応魔法テレパシーでリアルタイムの情報を送っていたため、テロリストの反応が一気に3分の1も減った事と、ノーマンのしれっとした報告が一斉に伝わってしまったのである。


 先ほどまでは、「修行でレベルアップした私の力を試してみようじゃない」といった雰囲気を持っていたマジカルゆかりんだったが、今では目のハイライトを消して「私達、要らないんじゃね?」と言わんばかりの表情で俺を見ていた。

 今日は、去年も来ていた父兄の目があるという点を考慮してもらい、最近の“グラマラスなマジカルゆかりん”ではなく“小学校高学年くらいのマジカルゆかりん”に留めてもらっている。

 いつもは元気な部類に入る彼女なので、レイプ目に“どよん”とした雰囲気の少女の姿というのは、物凄い罪悪感を感じるから止めて頂きたい。心なしか、金髪ツインテールもしょんぼりしているように見えるから良心に響く。

 ちなみに、やる気がだだ下がりになっているのはマジカルゆかりんだけではない、美希姉に関口、妹尾せのおの計4名が消極的な雰囲気になっている。


 逆に、俄然がぜんやる気を出しているのが篠山ねーちんをはじめ、莉穂姉、滝川、由子お姉ちゃんと、科学的人造人間アンドロイドのマチュアを含めた4名と1体である。

 こちらは、「私の有用性を示して見せる!」といった意気込みから闘志を燃やしているのだろう。

 ここに集まっている皆は、この学園の中でもトップクラスの魔力保有量を持っているが、身体的には普通の人間である。この前の修行で魔法の扱いも上手くなっているだろうが、基本的には護身のために使って欲しいところだ。

 まぁ、そうは思いつつも、ここに皆を呼び出した時点で俺にそれを言う権利はないだろうが…。


「……えっと。とりあえず、ノーマンがやっつけてくれたおかげで、倒すべきテロリストはあと4人になったわけだが…。どうする? もう、このままノーマンに任せちゃう?」

「「「「「いいえ! とんでもない!」」」」」

「…ですよね~。知ってた」


 それとなく、テロリスト対策から手を引かせようと選択肢を提示してみたが、案の定、やる気になっていた面々に否定されてしまった。

 特に、篠山ねーちんの気迫は真に迫るものがあった。

 恐らく、マージちゃんという戦闘のプロがライバルに居るせいで、少しでも実戦を積んで差を埋めて置きたいのだろう。

 マージちゃんも、元々はアルビノで体が弱かったという過去があるが、師匠が暗躍して人体改造したおかげでとんでもないスペックの人間になっちまってるからなぁ。

 まぁ、その反動で狼の耳と尻尾が現れるという結果になっているわけだが、ノーマン的には萌えポイントの一つになっている。

 実戦ではノーマンの右腕として役に立ち、私生活ではノーマンの萌え心をくすぐり、2年にも満たない時間で親密な間柄を築いてしまっていたのだ。篠山ねーちん的には、この上ないライバルの登場と言えるだろう。


 篠山ねーちんだけではなく、莉穂姉達もかなり気合が入ってしまっている。

 マチュアの場合は、マチュア・コピーと連携が取れているからボディが丸ごと消滅しても復元はなんとかなるが、問題は生身の莉穂姉達だ。

 テロリストの装備品は、教祖アリサが用意した物だろうから殺傷力は前回同様のものだろう。だが、当たり所が悪ければ死んでしまうかもしれない…という程度の威力はあるのだ。

 なので、ここは冷静なツッコミ役を一緒に付けて二人一組ツーマンセルで行動してもらおう。


「じゃあ、篠山ねーちんには美希姉が。莉穂姉には妹尾。滝川には関口。由子お姉ちゃんにはマジカルゆかりんが、それぞれサポートとして付いて欲しい。共有している位置情報の通り、残りのテロリストは一人ずつ散って行動しているから、この4組でそれぞれ対応すれば万が一も無いだろう。…マチュアは、今から俺と一緒に寮へ移動だ」

「えっ?! そんな、まだ競技も終わってないのに激しい運動をする気? ま、まぁ、渉が望むなら私的には嬉しいというか…」

「ねーよっ! ノーマンに、『とっ捕まえたテロリストを、寮に運んでくれ』と今しがた精神感応魔法テレパシーで伝えたから、寮で改めてふん縛ろうって考えてるだけだ! …っんとに、ボディを得てからのお前はポンコツだな!」

「しょぼん…」

「口で言うなよ…。あざといと思いはするものの、それ以上に罪悪感が出るじゃないか」


 汚いさすがマチュアきたない。俺の性癖を色々と知っちゃってるだけはあるな。

 この中だと、俺の性癖を一番良く理解しているのがマチュアで、次が莉穂姉だろうか。

 くそぅ、色々と管理しているだけあって、俺の好きなストーリーとかキャラまで分析してるから性質が悪い。


「と・に・か・く! そういうわけだから、皆もそんな目で見ないで。…だいたい、こんな状況でマチュアに手を出すくらいなら、とうの昔に莉穂姉を押し倒してるっつの」


 やや心配そうな視線を向けていた莉穂姉、滝川、由子お姉ちゃんにそう伝えると、ホッとした表情で現場に向かって行った。

 さて、俺達も寮に移動するとしよう。



  ▲▽△▼△▽▲



 BB達がテントに向かうのを見送ったあと、俺は100m走の待機列に移動した。

 走る順番等は特に確認していなかったが、どうやら俺が一番最初に走るようだ。

 校庭に設置されているスピーカーから、一番手で走る人物の紹介がざっと流れてくる。これで紹介されてから、各クラスに割り振られているコースに移動するという仕組みだ。


 3-Cから順に始まり、2-Bの俺の紹介が流れたので移動しようと立ち上がった時、BBから突然テロリストの現在位置を示すレーダー映像が精神感応魔法テレパシーで送られてきた。

 急だったので少し驚きはしたが、視界の右上に半透明で見える様になっているので競技への支障が出るほどではい。

 …が、どうもマージにも映像が急に送られたらしく、一瞬ではあったが獣耳がピクッと動いていた。

 一瞬だったので気づいたヤツは居ないだろうと踏んだのだが、目敏く見ていたヤツが居たらしく、2~3人ほどざわついていた。

 しかし、俺がコースに歩いて行くなり、注目が一気に俺に集中してくる。

 「何で男まで獣耳を着けてるんだよ…」という落胆の声がちらほらと聞こえてくるくらいだ。

 「残念だったな。獣耳を着けている男子は俺だけじゃねぇ、BBも着けているから楽しみにしておくんだな!」と叫びたくなるのを押しとどめながらコースに立つ。


 暫くして全員の紹介も終わり、スターターピストルを構えた大学生のお姉さんがスタートラインの横に立った。

 残念ながら、獣耳カチューシャを装着してマージのカムフラージュを行っているのは、高等部の生徒全員と一部の教師だけなので、このお姉さんの頭には獣耳は存在していない。

 …うさぎ耳にハイレグ水着、網タイツを装備したら絶対似合いそうな外見をしているのに残念である。


「それでは、位置について…。よーい──」


 ──パァンッ!


 何とも平和な銃声が響き渡り、一斉にスタートを切る。

 クラウチングスタートの姿勢から全力で加速しそうになってしまったが、頭に着けていた獣耳カチューシャがぐらついたため、BBから「全力を出すな!」と注意されていた事を思い出せた。

 とっとと100m走を終わらせ、トイレに行くふりをしてテロリストどもをぶちのめしに行こうと考えていたせいで気が急いてしまったようだ。…ふぅ、危ない危ない。


 慌てず、ゆっくり、軽く走る…ように意識していたのだが、ぶっちぎりで一位を取ってしまった。

 観戦していたデバガメ軍団や父兄から「は…速い」といった驚愕の声がちらほらと聞こえてくるが、タイムの発表も無いから誤魔化せるだろう。

 あくまで、他の女子よりも圧倒的に速かったという風に言い訳ができるはずだ。

 某アルター使いな兄貴ように「また世界を縮めてしまった」とか言い出したりはしないから大丈夫…な、はずである。


「野間君…もう少し手を抜けなかったかしら? さすがにオリンピック選手ほどではないにしろ、一介の高校生が出すにはおかしな速さだったわよ…」


 ゴールして早々、順位別に生徒を並ばせる役割を任されていた2-B担任の仁科にしな先生が、苦笑交じりにそう言ってきた。

 …まぁ、オリンピック選手以下の速さに見られていたのならセーフと思っておこう。


「いやぁ、BBからも『絶対に本気を出すな』と言われてたんですが、ちょっとトイレに行きたくなっちゃいましてね。…そういうわけで、行ってきていいですか?」

「まったくもう、行ってきて良いわよ。…あ、使うのなら大学校舎のトイレの方が近いから、そっちをお勧めするわ。それと、次の競技の時はゆとりを持って行ってきておいてね」

「は~い。じゃ、行ってきま~す」


 仁科先生に言われなくとも、大学校舎に向かう予定ではあった。

 何しろ、教職員棟や高等部校舎に散っているテロリストと違って、大学校舎に潜伏しているテロリストの反応は二人一組ツーマンセルで行動していたからだ。

 どういった意図があるのかは不明だが、何か起こされる前にちゃっちゃと片付けてやろう。



  ▲▽△▼△▽▲



「──という流れで、今に至る」

「う~む。もうノーマンがトイレに行ったことになってから結構な時間が経っているから、仁科先生からは“大”な方で手古摺てこずってる…って思われてそうだな」

「あ…。しまったな、便秘って思われちゃったら嫌だぞ、俺」

「……渉、それに俊之としゆきも、今はそんな事を言ってる場合じゃありませんよ。さっさとこの二人を縛り上げて、潜入目的を洗いざらい吐き出させましょう」

「「…マチュア本体が、珍しくまともな事を言ってる」」


 俺、ノーマン、マチュアは、寮の1F奥にある在庫置き場に来て、事のあらましを話し合っていた。目の前には、透明化するベルトを外され、気絶した姿を晒しているテロリストが二人転がっている。

 話し合うとは言ったが、メインはノーマンがテロリストをぶちのめすに至った経緯の確認だ。

 まぁ、最後の最後でどうでもいい方向に話題が逸れてしまったわけだが、あろうことかここ最近エロ方面に脱線しまくっているマチュアからツッコミを入れられることになるなんて…。地味にショックと言わざるを得ない。


「『珍しく』とは何ですか! 私は本来、“美人秘書のようにデキる女”といった方向で作られているのだから当然の話です! まぁ、このボディのおかげで“仕事がデキる”と“エロい事がデキる”の両立が可能となったわけですが…」

「「やっぱ、『珍しく』だったじゃねぇか…」」


 ノーマンと二人でマチュアにジト目を送っていると、マチュア・コピーからリアルタイムで送られてくるテロリストGPSからほぼ同時に残っていた反応が消えた。

 どうやら、今回は派手にドンパチする事も無く、あっけなく片が付いてしまったようだ。

 一般人である父兄や覗き魔(デバガメ)も多く居るので、目立たないに越したことはないのだが、内心ハラハラしていたこちらとしては何とも肩透かし感が酷い一幕となった。

それでは皆様、良いお年を~。

次回もまた金曜日更新予定です。


「正月休みがあるだろうに、投稿ペースは変わらないの?」と思われた方、吾輩にハイペースで書けるような才能があると思ってはいけない。

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