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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第二章 ドキッ!女の子だらけのGW~修行もあるよ!~
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第20話 - 学園の大きな樹=告白スポット…そう思っ(以下略)

「で、一体何があったの? なんか凄い勢いで抱き着かれたわけだけど…」

「え? 別に何も? いて言うなら、渉の匂いを堪能したいなぁ…なんて思ったら、身体が勝手に動いてたというか…」

「私は、莉穂が走り出した先に渉の姿を確認したので、独り占めさせまいと必死だったもので…」


 ノーマンのバカ力で、莉穂姉とマチュアを貼り付けたまま助け起こされながら質問してみると、二人とも別に急ぎの用件があったわけではないらしい。

 莉穂姉の抱擁は、俺もここ一週間ばかりご無沙汰気味だったので嬉しい限りなのだが、マチュアちょっと身の危険を感じる。主に性的な意味で。

 いまだ抱き着いたままの二人の肩越しには、先ほどから悔しそうな表情をしたままの由子お姉ちゃんと滝川が居るが、この二人も特に何か用があるわけではなさそうで安心した。


「はぁ……まったく、皆して突然走り出したかと思ったらこういう事ね…。まぁ、折角だし、部屋まで移動がてら渉達が調べた成果も聞かせて貰おうかしらね。…ほらほら、伊藤先輩も、そこの発情ロボットも、さっさと部屋に戻ってシャワー浴びて晩御飯にしましょう! いい子だから…ね? ホラ、早く離れなさいっての!」

「嫌よ! 私はもうちょっと渉を堪能するの!」

「私も堪能したいのです! あと、私はロボットではなく科学的な人造人間(アンドロイド)です!」


 今朝からグラマーになったままのマジカルゆかりんが呆れ顔で走ってくると、すぐに二人を引きはがそうと奮闘し始めてくれる。

 しかし、二人の何がそうさせるのか、なかなか俺を放さない。

 それにしても…マジカルゆかりんめ、実におっぱいぷるんぷるんなワガママバディになってしまったもんだ。二人を引きはがそうと悪戦苦闘するたびに、たゆんたゆん音が聞こえそうである。

 もう「マジカルゆかりん」なんて呼ばれていては、ただの痛い大人にしか見えないぞ…。

 あとで呼び方を苗字である菜月なつきに戻すか、あきらめて老化魔法エイジングを無かった事にするか選ばせよう。


「んな細かい事はどうでもいいからっ! 二人が離れてくれないと渉も動きづらいし、そこのグラサンまで餌食になったままになるじゃない!」


 ノーマンがどうかしたんだろうか? …と思いマジカルゆかりんの視線を追っていくと、今の俺と同じような状況になっているノーマンが突っ立っていた。

 ノーマン相手にコアラの様に抱き着いているのは、いかにもスポーツ美少女といった感じのショートヘアな篠山ねーちんと、黒と銀のグラデーションが綺麗なウェーブヘアのマージちゃんである。

 二人ともなかなかのモノを…特にマージちゃんは魔乳と言える大きさなので、“むよん”とか“ぼよん”とか、そんな擬音が聞こえてきそうなほどにおっぱいが絶えず変形している。

 …それにしても、いつの間に移動していたのかマジで気付かなかった。この二人、隠密の才能が有るのかもしれない。


「は~い、皆、菜月さんを困らせないの。マチュアさんやマージちゃんはともかく、莉穂ちゃんも楓ちゃんも、学園では先輩なんだから。後輩を困らせるのは“メッ”ですよ~」

「「う”…は~い。離れます」」


 のほほんとした雰囲気を出しつつ、しっかりとした声が聞こえたので視線を正面に戻す。

 そこには、今朝よりも更に幼女化が進んだ美希姉の姿があった。

 ほんわかした笑顔やゆるふわロングなアッシュグレーの髪はそのままに、ちんちくりんでツルペタな合法ロリになってしまっている。

 …マジカルゆかりんの服、胸元がきついって今朝言ってたもんな。修行ついでに、服のサイズに体が合うよう老化抑制魔法アンチ・エイジングの効果を調整させたのか。

 しかし、マジカルゆかりんにはかたくなな態度だったのに、美希姉相手には素直に引いたな。

 これが、幼少期の頃から逆らえない雰囲気を纏っていた美希姉の笑顔の圧力か。

 莉穂姉や篠山ねーちんにならってか、マチュアもマージちゃんもしぶしぶながら離れてくれた。


「美希姉ありがとう。あの状態じゃあ歩き辛かったから助かったよ。…まぁ、嬉しくもあったから少し残念な気持ちもあるけど」

「うふふ。どういたしまして。じゃ、さっさと移動したいから、御礼ついでに肩車してくれないかしら?」


 若干複雑な心境でお礼を言う俺に微笑みかけてきた美希姉が、さらっとそんな事を言い出した。


「えっと……なぜ、肩車?」

「この背丈だと、皆よりも歩幅が小さくて移動し辛いのよ。ね? お願い、運んで?」

「…はい」


 だったら老化魔法エイジングで姿を戻せばいいのに…とも思ったが、そうしたら服が裂けて美希姉が全裸(フル・フロンタル)になっちゃうからしょうがないね。

 決して、ロリ状態の美希姉の上目使いが可愛かったから言う事を聞いたわけではないよ?

 俺にロリキャラ萌えはない…はずだ……たぶん。



  ▲▽△▼△▽▲



「なるほどね~。…じゃあ、これからもこの前の様な騒ぎが起きるってことね?」


 莉穂姉達をそれぞれの部屋まで送って汗流しをさせたあと、全員で食堂に移動しながら本日の成果を報告し終わった際の由子お姉ちゃんの一言だ。

 やや面倒臭そうな感じがにじみ出ているが、俺も同じ気分である。


「まぁ、はた迷惑な話だけどそうなるね」

「でも、渉ちゃんと俊之ちゃんが居れば、ほぼ確実にどうにかできるでしょう? 私たちも、昨日今日で色々と力を付けたわけだし、手伝えることが増えるからより確実に解決できると思うわよ?」


 肩車が気に入ったのか、俺の頭にしがみついた美希姉が緊張感もなくそう言ってのけた。

 俺達の実力を信用してくれての言葉だろうが、それでも地味に面倒なのは変わりない。

 あと、肩車自体は軽いから良いんだが、莉穂姉や由子お姉ちゃんからの期待の眼差しが怖い。…「次は私も!」とか言い出さないよな。


 さて、修行組からの報告内容としては、問題なく全員がフル構築の魔法式を使いこなせるようになったという報告が一点。

 神力精製量が少なめな由子お姉ちゃんとマジカルゆかりんにも、少し神力による身体強化方法を教え、全員で神力を使ったスパーリングを行ったという計二点の報告がされた。

 …俺らの幼馴染達は肉弾戦が好みなのだろうか?

 いや、マージちゃんはノーマンと共に戦場を駆け巡っていたから分からんでもないんだがね…。他の皆は、本来魔女を目指した教育をされていたはずなんだけどなぁ。


 次に、俺達から皆への報告だが…。

 師匠が異世界で生活している…という事実は相変わらず伏せたままに、“たまたま偶然見つかった”師匠の手記から、先日学園に攻めてきたテロ組織ラスト・ワンとの繋がり、及びその教祖の真の目的が分かったというていで報告させてもらった。

 別に、師匠が生きてようと皆には大して影響がないし、「私も異世界旅行してみたい」とか言われるのも勘弁だからだ。師匠の話によると魔獣が居るとか言ってたし。

 マージちゃんは、自分の体を改造したのが師匠だとわかった際に「一言ちゃんとお礼を言いたかった」などと言っていたので、正直驚いてしまった。

 獣耳けもみみ少女にした首謀者だぞと突っ込んだのだが、元々体が脆弱だった事を認識していたらしく、ノーマンと共に戦えるような体になった事が嬉しかったから…と語ってくれた。


 …俺以外には素直な娘なんだな。

 俺も師匠の遺伝子を使ったクローンみたいな人造人間ホムンクルスだから、ある意味同一人物みたいなもんなのに…。


「私も姉崎あねさき先輩と同じ見解ね。はっきり言って、勝ち戦にしか思えないわ。…で、そういう意見も出ている今、渉達はどう出るつもりなの? 前回同様、迎え撃つ迎撃路線? それとも、打って出る攻撃路線?」


 体だけでなく気まで大きくなったのか、マジカルゆかりんが胸の下で腕を組んで挑発するように見てくる。…あ、この人の場合は最初から強気だったな。ドジッ娘属性があっただけで…。


「まぁ、迎撃路線しかないかな。相手の本拠地は記載されてなかったし。何より、師匠達の最終目的である“儀式”は、籠月学園で行う必要があるらしいからね」

「「「「儀式? 学園で?」」」」


 師匠から直接話を聞いた俺達以外のメンバーがハモる。

 折角なので、詳細説明の役割をノーマンに振ろうと目を向けたが、「そのまま続きを話してやれ」と言わんばかりに顎をしゃくられてしまった。


「…あぁ。寮と各校舎までの間に、ちょっとした広場があるでしょ? あの、ギャルゲーの告白シーンで使われそうな大きな樹が真ん中に生えてる所」

「「「「あー…」」」」


 皆すぐに分かったようで、「アレか」と納得した感じの反応を返してくる。

 莉穂姉、由子お姉ちゃん、滝川、篠山ねーちん、マージちゃんの五人だけは、なんとも微妙そうな雰囲気を含んでいたが…ギャルゲーだの告白だのという表現が悪かったのだろうか。


「えっと……まぁ、どこだかわかってもらえたと思うけど、その樹が儀式の中心点になる場所でね。全人類の“負の感情”を集めるための受け皿になるらしいんだ。具体的にどういった儀式をするのか知らないけど、そういうわけだから学園で網を張って適宜迎撃していくのが確実──」

「「「「あーーー! 何たる事ーーー!」」」」

「──えっ?! 何?! どうしたの皆?」


 先ほど微妙な反応をした五人が突然叫んだかと思ったら、一斉に膝をついて崩れ落ちた。

 あまりにも突拍子が無さすぎて、わけが分からない。


「BB、なんかセクハラまがいの発言でもしちゃったんじゃない?」

「今の説明のどこを縦読みすりゃそうなるんだよ!」

「いや~分からないけど、こう…女性にはセクハラに感じた的な?」

「無茶苦茶過ぎるだろ」

「「「「いえ、私達が勝手にショック受けてるだけだから、お構いなく…」」」」

((((告白してもらう予定だった場所が、そんな儀式のために用意されていたという事がショックだったなんて、恥ずかしくて言えない…))))

「…そうなの? だったらまぁ、いいけど…とにかく、そういった理由で迎撃路線で行く方針だ。ご理解頂けたかな、マジカルゆかりん?」

「え? あ…えぇ。事情はわかったわ。特に異論もないし、迎撃路線って事で了解よ」


 皆の打ちひしがれっぷりに驚いていたマジカルゆかりんが、突然話を振られて慌てていたが、まぁ何とか納得いただけたようだ。


 その後、何かにショックを受けていた五人は、晩御飯の最中も始終何かを考えている様な難しい顔をし。誰が“あ~ん”をさせるかといった事で揉めることも無く、「あそこならどうか?」やら「浜辺というのも捨てがたい」など、何やら小声で相談しながらいつもより大人しくご飯を食べていた。


「こうやって、普通にご飯を食べるのは久しぶりな気がするな。何となく物足りない感じもするが…」


 篠山ねーちんとマージちゃんが大人しいからか、ノーマンがそんな事を言い出す。


「無益な争いが無いってのは良い事じゃないか。いつもの様な“あ~ん合戦”があるより、平和にご飯が食えるの一番だ」

「嵐の前の静けさ…だったりしてね」


 ちょっと、マジカルゆかりんさん。物騒な事を言わないでもらいたいね。本当に嵐の様な出来事があったらどうするんだ!

 俺はもう、今日は静かにご飯を食べたあと、徹夜しちまったことの埋め合わせで今日はゆっくりと寝るんだからな。


 …などと考えてしまったのがいけなかったのか、はたまた既定路線だったのか。翌日の早朝、俺は由子お姉ちゃんに叩き起こされる事になるのであった。

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